メディアにとってのメリットは?

では、この「Googleで購読」は、メディア側にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

コンバージョンへのつながりやすさ

先程述べたとおり、「Googleで購読」の機能によって、ユーザーが今まで感じていた「購読するハードル」という部分が大きく改善されることになります。

これはメディアにとって大きなメリットです。今まで面倒で登録を避けていたようなユーザーからのコンバージョンが期待でき、メディアとしても収益性の改善につながる可能性があります。

購読者との関係構築の促進

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また、登録後のユーザーとの関係構築も促進できます。

ユーザーとしては、登録状況の確認も簡単にでき、デバイスをまたいでの閲覧ができることなどから、コンテンツに触れる機会も増加することが予想できます。

また、Googleが提供するアプリGoogleニュース」で、購読されたコンテンツが「ニューススタンド」のセクションにて表示されるようになっているため、日常的にコンテンツを届けることができます。

月額制のモデルでは、登録してからのユーザーのライフタイムバリュー(LTV)を上げていくことが非常に大切になります。登録だけして、しばらく訪れずに解約という流れは避けたいところでしょう。

そうした意味で、ユーザーが日常的にコンテンツにふれる機会を作るものとして、「Googleで購読」から得られるメリットは大きいと考えられます。

取り組みの背景にニュースイニシアティブ

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引用元:About – Google News Initiative

今回の「Googleで購入」は、Googleが取り組みを進める「Googleニュースイニシアティブ」という活動の一環です。

これは、Googleが報道業界とのコラボレーションを進めるもので、業界が抱える課題に応えるようなサービスを展開したり、業界団体と提携したり、ジャーナリズムの様々な課題に取り組むプログラムを推進したりと、幅広い活動が見られます。

では、なぜGoogleはこのような取り組みを進めているのでしょうか?

Googleがもたらした、報道における課題

Googleは、情報発信のあり方を大きく変えました。以前は、情報の発信者として大きな力を持っているのは報道機関でした。しかし、インターネットが普及し、後に登場したGoogleなどのプラットフォームは、一般人の情報発信のハードルを大きく下げ、影響力を与えたのです。

これは、誰でも発信できるといったメリットがあった一方で、信憑性に欠けるような情報が流れたりといったデメリットももたらしました。

しかし、Web担当者の方の多くが理解しているように、Googleは質の低いコンテンツがユーザーに届くことを良しとしていません。それはアルゴリズムのアップデートからもうかがい知ることができます。

また、Googleの公式ブログにおいても、メディアや教育機関と連携し、選挙中の虚偽の情報の拡散を防ぐ試みや、若年層の情報リテラシーを高めるための取組みを進めていることが述べられています。

質の高い情報をユーザーに届けていくためにも、情報発信のプロフェッショナルが集まる報道業界との連携は必要不可欠なのです。

参考:
[Google、サブスクリプション型ニュースを立ち上げ――News Inisitativeに3億ドル投資 | TechCrunch Japan] (https://jp.techcrunch.com/2018/03/21/2018-03-20-google-news-initiative/):blank
The Google News Initiative: Building a stronger future for news