マーケティングという職域は、広く集客からサイト改善まで多岐にわたります。それゆえ、マーケティングの全体像を掴むのは難しく、何を基準に「優秀なマーケター」と定義すべきか、悩ましいと考えている方も居るかもしれません。

また、マーケター自身も広告運用やコンテンツマーケティング、Web分析など特定の領域で経験を積むものの、マーケティングの全体像をつかめず今後のスキルやキャリアに課題を感じることもあるでしょう。

一見して唐突ですが「旅」が、それらを解決するヒントになるかもしれません。

今回は、旅に関するビジネスを展開する株式会社TABIPPOの代表取締役社長である清水直哉 氏に、ferret Founding Editor 飯髙悠太が「旅人」が持つ価値というテーマから優秀なマーケター像を導き出します。

清水直哉 プロフィール

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創設から今までTABIPPOの代表を務める。東京学芸大学にてサッカー漬けの日々を送るが、人生に悩み、世界一周の旅へ。 旅で出会った仲間とTABIPPOを立ち上げる。 卒業後はWEB広告代理店の株式会社オプトへ入社、1年目からソーシャルメディア関連事業の立ち上げに参画。最年少マネージャーの経験などを経て2013年11月に退職、 TABIPPOにて法人登記を果たす。趣味は自分探し、夢は「やりたいことを、やりたいだけ、やりたい場所で、やりたい時に、やりたい仲間と、やり続けること」

株式会社TABIPPO | 旅で世界を、もっと素敵に
旅人採用

引用:清水直哉 | 株式会社TABIPPO

TABIPPO 清水 氏はなぜ「旅人」の採用にこだわるのか

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飯髙:
TABIPPOでは「旅人採用」っていう旅と求人を絡めたユニークな就職・支援サービスの試みをしてますよね。旅人採用ではどういった職種の採用を進めているんですか?ライターやカメラマンが中心ですか?

清水 氏:
今はむしろライターやカメラマンではなく、新卒と中途で分けて一般の企業で働きたいという方に特化して採用を支援していますね。旅から帰ってきて、特別なにかあるわけではなく「普通に働きたい」って人、結構居るはずなんですよね。僕もそうでしたから。

旅って、そこまで尖ってるものでもなく、特段珍しい行為ではありません。それに、ずっとバックパッカーを続けたいかというと、そうでもありません。普通に社会に出て活躍したいと考えている方もいるので、それをアピールできる採用の仕組みを考えたんです。

参考:
旅人採用

飯髙:
旅を重ねてきた人だからこそ備わっている強みとか、凄みとかあるんですか?

清水 氏:
はい、いっぱいあります。例えば 「認知能力(IQや学力テストで測れる能力)」と「非認知能力(他人と関わる能力、目的に向かって推進できる能力)」に分けて考えた時に、旅をすると特に「非認知能力」が高まると考えています。

一例として、学生時代に休学して世界一周に行くという学生が居たとしましょう。その学生って、普通の人ではなかなかできない大胆な行動を取っていますよね。休学したり、世界を周ることによるリスクもあるわけじゃないですか。そのリスクを考えつつ、決断して行動できます。それに、海外旅行ではトラブルがつきものです。トラブルに対応する能力も培われます。そういう主体性とか行動力が優れているんですよね。

あとは、ポジティブなマインドセットの人が多いですよ。世界を旅してみると、トラブルへの対処を通して「人生なんとかなるでしょ!」みたいな感覚を持っている人が多い。

マーケティングの話でいうと、人の価値観とか多様性、個性を受け入れる能力みたいな話は結構大事なんじゃないかと思っていて。それは、組織を作る上でも大切です。人って、価値観が違いますからね。それこそ、国が変わったら文化も違うので当然価値観も違います。それを受け入れてきたからこそ、価値観の違いも腹落ちできる。

そういった土台が養われている人が多いので、もちろん認知能力のような知識や学力も重要なのですが、非認知能力のようなスキルやマインドセットが高い旅人人材は、企業の採用担当者さんに紹介しやすいですね。

飯髙:
適応能力が高いんですね。それこそ、新卒でスキルや専門性がない状態でも、すぐに仕事を覚えて組織に馴染みやすかったりするんですかね?

清水 氏:
そうですね。例えば、「TABIPPOってこんな感じだろう」と思って入社したとするじゃないですか。でも、いざ入社して働いてみると、その時の印象とはギャップが生じるわけですよ。

最初にイメージしたままだったなんてことはなくて、意外とつまらないと感じることもあるかもしれない。人間関係が複雑だったとか、自分のスキルではできないことが沢山あります。当たり前に起こることなんですけど、入社した身としてはそう感じられないこともあります。

僕の感覚から言うと、「初めて南米を旅します」という感覚に近いんですよね。ガイドブックとかを読んで想像していた南米と、実際訪れた南米は違うから、現地で辛いと感じながらも旅をしている間受け入れ続けなければならない。

仕事も職探しも旅に共通しているなと思っているので、旅っていう軸でビジネスを掛け合わせていくのが楽しいんですよね。

体験価値を知る旅人と優秀なマーケターの類似点

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清水 氏:
今の時代って殆どのことがWeb上で知れるし、完結することがあります。無料で簡単に大量の情報にアクセスできる。なので、そこで得られる情報の価値ってどんどん下がってきていると思うんですよね。

だからこそ、リアルの体験の価値っていうのが貴重になってきており、無料でどこからでもアクセスできる情報と比べて相対的に価値が上がってきていると感じます。何かを知っているだけじゃなくて、体験したことがあるっていうのは、すごく価値が高い。旅ってまさに体験の価値そのものなんです。そういった価値を若い内に触れていることって大切だなと思います。

組織の中でもリアルな体験を沢山して、人間的に養われている人がいるとビジネスが加速するのではと思ったのが、旅人採用でもあるんですよね。

だって、マーケターは顧客の価値観を受け入れてそれをプロダクトに反映させる能力が求められるから。

飯髙:
そういった旅人のマインドセットに似ているかもしれないんですが、最近考えていることが1つあるんです。それは、「プライドを持っていない」人の方が良いマーケターになるなってこと。あと、ここぞという時に思い切りアクセルを踏めるということ。

世の中分からないことの方が多いじゃないですか。その分からないことを素直に知っている人に聞けるって大事だなと思っています。まさに「体験」にも繋がるんだけど、知っている人に直接聞きに行くという行動をしているんですよね。肌感覚ですが、最近は(分からないことを)聞きにくる人が減ったなって思います。

清水 氏:
素直に質問できる人って確かに良いマーケターだなって思います!オイシックスドット大地株式会社のCMT(チーフ・マーケティング・テクノロジスト)の西井敏恭(以下、西井)さんがまさにそうですよね。

あの方は、マーケターとして実績も立場もある方なのに、僕らの話をちゃんと聞いてくれて「そういうの良いよね」って、同じ目線で話してくれる。そして、とことんユーザー目線になってマーケティングを考えることが出来る。

それは、西井さん自身が世界を130ヶ国以上も旅をしていて、世界中で様々なことを体験してきたからだからこそだと思うんです。

飯髙:
どういう情報に触れるのが大切かって、やっぱり経験した人から直接聞くことですよね。Googleで検索すればほとんどの情報にアクセスできる時代だからこそ、何が正しいのかわからないですもん。

清水 氏:
人と関わることが大切ですね。

僕は世界一周の旅をして、世界中の大都市を訪れて思ったことがあるんです。

それは、世界中の大都市の中で、東京だけが非常に独特だということ。なぜなら、そこにいる人はほとんど日本人だからです。世界どこを見渡しても、東京ってとても独特な地域なんです。

もちろん、最近では外国の方も増えてきていますが、アメリカのニューヨークもインドのデリーも、イギリスのロンドンだって色々な国の人がビジネス街を歩いている。自然と多様性を受け入れられる環境が整っているんですよね。

旅をせずに体験の価値を手に入れる方法

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飯髙:
日本人だけで集まった組織で、価値観も少し凝り固まってしまうことがあるかもしれないよね。そういった環境の中で「変えていきたい!」と思った時、「旅」は1つの選択肢かもしれないけれど、すぐに出られない環境の人も沢山います。

清水 氏:
日本人は今も昔も「働きすぎ」なんで、休みを取って旅にでたら良いんですよね!長期休暇が取れなくても、週末で台湾に行けたりしますからね。

旅に限らず、久しぶりに会う友人と食事にでかけたり、日々のルーティンから抜け出す体験をしてみると良いかもしれません。

飯髙:
海外の大手企業の中には、入社したてのマーケターにはまず海外に赴任させるという企業があるって聞いたことがあります。もちろん、インターネット時代なので検索すれば現地の情報は手に入るんだけど、現地のマーケットを知り、ユーザーが使っているサービスを直接体験してくるということを重視しているらしいんです。

例えば、中国でWeChatが大衆的なメッセンジャーツールだっていう話は有名だけれど、現地の人とコミュニケーションを取ってみないと実感わかないですよね。他にも「QRコード決済が普及!」ってニュースをみても、日本で暮らしていたらあまり接する機会がないですよね。でも、現地に行ったらそれが本当に普通だってことがわかる。やっぱり、体験した人の価値って大きいなと思いますね。

身近な話だと、「TikTok」っていう動画アプリが流行っていますよね。

自分がユーザーだと思うと合わないなって思ったんです。でも、若者の間ではものすごく流行っていて、彼らなりの使い方がある。実際に経験してみると、どこにどんな広告メニューを設けたら良いのかとかアプローチの方法が考えられるようになりますよね。

清水 氏:
僕らの体験と、彼ら(若者)の体験の違いをわかっていないとマーケティングは考えられないですよね。僕も、本当にそんな感じで、Instagramとか結構使っているんですけど、若い子たちの使い方とは違うなって感じることがあります。ハッシュタグで検索とかやらないからなあ……。でも、(彼らは)こういう価値観で使っているんだなっていうのはわかる。

飯髙:
彼らと同じ使い方をするまではいかなくとも、自分で体験したり若い世代の話を聞いてみるのは大事ですよね。マーケティングはトレンドの移り変わりによる変化がすごく大きいと思うのですが、清水さんがマーケティングの軸足としている事ってなにかありますか?

清水 氏:
軸足は、「人の価値観を受け入れる」ですね。受け入れようと思ったら、自然とコミュニケーションが発生します。それに伴って、実際に体験することにも繋がりますよね。

まずは「受け入れる」ことが一番大切だなと思っています。マーケティングの知識って、それこそトレンドの変化に合わせてインプットすべき知識も変わるじゃないですか。その知識があったとしても、実際のマーケティング施策でどう使う?って問われた時、知識だけではなにもできないじゃないですか。

飯髙:
たしかにフレームワークとかも、当てはめただけでは何もできないですからね。じゃあ、これからマーケターとして成長していきたいっていう人たちは、何をすべきだと思いますか?

清水 氏:
これからマーケターとして成長したいという方であれば、知識を得るっていうのはもちろん大切ですね。でも、土台がない中での知識というのは、結構危ないものだなと思ってるんですよね。僕が新卒のときの上司に教えてもらったのは、「知識や実務スキルは足し算で増やしていくものだ」ということです。

でも、マインドセットとか価値観という部分は掛け算なんですよね。場合によっては、マイナスになることもある。マーケティングも同じだと思っていて、どれだけ知識を積み上げても「何のために役立たせるのか」というところを考えないといけないと思います。知識を沢山積み上げた結果、プライドが邪魔をしてしまったら結局意味がないですから。

「経験は知識を上回る」マーケターとしての心得

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飯髙:
たしかにそうかもしれない。とある企業の社長と飲んでたときのことを思い出しました。その方って、経営者になる前はマーケターで知識で言えば僕よりも何倍も持っているんです。その方は「経験は知識を上回る」とおっしゃっていました。「飯髙くんは、いま現場で実践しているから、飯髙くんが言っていることの方が正しい」と言ってくれるんです。

知識は持っておいたほうが良いにきまっているけれど、やるっていう行為を続けられるのが良いマーケターだなと思って。体験でわかっているからこそ、一見すると「わざわざやる必要ある?」ということも取り組める。

少し話が変わるんだけど、清水さんが新卒時代に最年少マネージャーになった時の話がありましたよね。社長にプレゼンしにいっても簡単には進まず、チーム作りも上手く行かず、結構苦しんだって話だったと思う。でも、その結果って絶対今に活きてますよね。

清水 氏:
できるかどうかというより、苦しんだけどそこにチャレンジしたことが大事だなって当時を振り返っても思いますね。下っ端のまま働き続けても、マネージャーの考え方がわからないですからね。マネジメントを理解するには「マネージャーをやってみる」のが1番手っ取り早いです。

僕が新卒時代の会社で最年少マネージャーを任せてもらった時、自分のチームを初めて持って、上手くできなかったという経験があるからこそ、いま理解できています。

マーケティングの話でいえば知識を沢山インプットしたからって、マーケターにはなれませんよね。一旦やってみて経験を積んでみるのがとても大事だなと思いました。

飯髙:
本当にそう思う。組織ではメンバーがマネージャーの位置に居ると錯覚を起こす瞬間っていうのがあるんですよ。マネージャーよりも自分のほうが優れていると思ってしまう。そもそも、マネージャーとメンバーでは役割が違うから、そういうメンバーをいきなりマネージャーに引き上げても失敗することがあるんですよね。

意図的に機会を与えて引き上げるっていうのは面白いんだけど、そう簡単に上手くいかないんですよね。そして、失敗してみても本当にマネージャーになれる人っていうのは、何回でもチャレンジしようとしてくる。

だからこそ、沢山打席に立って他人よりも手を動かして、その時間でどれだけ良いアウトプットを出せるかが大事。

清水 氏:
そうそう。僕は新卒時代に勤めていた会社と平行してTABIPPOがあったことが大きな経験かもしれないです。自分でマーケティングを実践できる場所なんですよね。新卒は代理店で働いていたので、あくまでクライアントのマーケティングをサポートする役割でした。だからこそ、自分が主体としてマーケティングができるTABIPPOという場所っていうのはとても貴重だったんです。

勉強したことをTABIPPOで試してみようとか、そういった機会が沢山ありました。イベントを開催するってなった時も、どうやって参加者を集めるかっていうところもすでにマーケティングなわけですから。その結果、「4P分析ってこういうことだったんだ」という気付きが生まれます。

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飯髙:
僕も、今でもそういった体験をしますよ。「えいや!」と実践してしまうタイプなんだけど、成功する時もあれば、失敗する時もある。でも、この経験が積み重なって、仕組みとか知識に当てはめて考えられるようになるんです。

清水 氏:
学生とか若手社会人向けに講演をやる時にも「行動すること」は強調して伝えています。僕がこんなに世界一周について語れるのも、実際に世界一周しているからです。それに、今僕が経営者をやれているのも、経営者になったからなんですよね。すごい単純な話なんですけどとても大事なことです。

飯髙:
実際にやってみることは、やっぱり大事。体験を経てできるようになる。でも、体験は施策とか現場の感覚を身につけることはできても、「市場の感覚」とか「土地勘」のような全体の感覚を身につけるにはどうしたら良いと思いますか?

清水 氏:
ターゲットとなるユーザーに会うことや、サービスを実際に使うことに集約されると思います。本を読んでも、インターネットで記事を読んでも、市場にいるお客さんたちが何を思っているのかわからないですからね。

例えば、Airbnbって日本上陸当初は否定的な意見が結構ありましたよね。でも、僕は流行って当然だって思っていました。なぜなら、海外ですでに沢山利用していたし、その時の盛り上がり方を知っているからです。一見すると「ぶっ飛んだサービス」のように見えるけれど、実際とても便利だという感覚がありました。

飯髙:
サービスが流行るかどうかっていうのは感覚としてわかることがあるけれど、それが正しいか正しくないかっていうのはわからないことがありますよね。

Airbnbのような新規性の高いサービスを立ち上げて、不確定要素の多い中でどのようにマーケティングしていけば良いと思いますか?場合によっては、上長のストップによって新規事業にもならないかもしれないことがありますよね。

清水 氏:
それは会社によるかもしれないですが、経営者視点で言えば熱量のある人がやるって言うのであればやったら良いって思いますね。逆にアイデアだけ出しても、熱量が無いのであればやらなくても良い。結局のところ、新規事業はやり遂げられる人が大事だったりしますからね。

飯髙:
アイデアはあっても実現できない理由を述べる人とかもね。そこにチャンスがあると思うんですよね。メルカリとかも、ヤフオク!とか近いサービスが色々ある中で、何がすごかったのかってスマートフォンに特化したことじゃないですか。そこに対して、出品者と購入者の母数を一気に増やしたから大成功した。突き詰めるとシンプルに考えられる。

Airbnbに否定的な空気が当初あったっていう話が挙がったけれど、日本人って凝り固まっているのかもしれない。

清水 氏:
受け入れる力というのかな、そういうのが弱い気はしますね。例えば日本では、LGBTへの許容に関して統計を取ってみると、やはり世界的にみても「許容している人」の割合が少ないんですよね。島国で、日本人が圧倒的に多いから異なる価値観を受け入れ難いというのがあるかもしれません。

でも、10数人に1人っていう割合でLGBTの方々はいるわけですよ。マーケティングって考えた時、市場として結構大きい。こういった方々に理解を示さずマーケティングするっていうのは、ダメだなって思います。稀に、LGBTに関連したプロモーションで炎上することがありますよね。それはLGBTではない人にとって気づきにくい繊細なところだったりします。なので、マーケティングするにしても受け入れて理解示すことは本当に大切です。

良いマーケターが生まれる条件とは?

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飯髙:
僕の友人にもLGBTの方が居て、そういったプロモーションを見ると本当に不快感を示していた。確かに、理解して考えていかないといけないことですよね。

最後に聞きたいのですが、今後どうしたら良いマーケターが生まれると思いますか?

清水 氏:
まずは、マーケティングの捉え方を変えることかなと思います。

西井さんもおっしゃっていたけれど、マーケティングって地味で泥臭いことを当たり前にやることが殆どなんですよね。意外とそれが楽しかったりもする。でも、現状はマーケティングっていうのが想像以上に若い人たちに伝わっていないって感じます。

大きな企画とか商品開発とか、CMみたいなマスプロモーションのようなイメージが先行しちゃうんですよね。マーケティングの概念って経営の中でも上流の概念だったりするので、現場とのギャップは生じやすいかもしれません。ある意味では「人生を生き抜く」のもマーケティングだったりします。もちろん「営業」だってそうですしね。それくらい大きな概念。

なので、最近学生とかにアドバイスしているのは、進路で悩んでいるならマーケティングが学べる会社に入るべきだって伝えているんです。身につければとても万能で、「ポータブルスキル」だよと伝えています。

飯髙:
確かに、マーケティングは様々なものに関連して考えられますからね。

清水 氏:
そうそう、例えば、「彼氏できないんですよね」っていう女の子がいるとして、可愛くて性格も良いのに彼氏ができないと。じゃあ、インプレッションが足りないよねと。じゃあどうするか、接する人数を増やすために合コンに参加したり、友達を増やすみたいなものをKPIにする。

これは恋愛に限らず、転職活動における求職者と企業の関係性にも同じことが言えますよね。そう考えると、何をするにもマーケティングが活きてくる。そして、常に色々なものをマーケティングだって捉えられる人は良いマーケターに育っていくと思います。

あとは、やっぱり世界中を旅してほしいですね(笑)僕らTABIPPOは旅を広めている会社なので。自分の世界を広げて、世界の多様性を受け入れられる日本人が増えてほしいなと思ってます。

飯髙:
人生のあらゆる出来事をマーケティングで考えられるから面白いよね(笑)
本日はありがとうございました!

参考:
株式会社TABIPPO | 旅で世界を、もっと素敵に

まとめ:多様な価値観を受け入れられる「旅」をしよう

TABIPPO 清水 氏は、自身の世界一周という「体験」から、旅と旅人が持つ価値を見出しました。「体験を重視し多様性を受け入れる」という旅人が持つマインドセットは、トレンドの移り変わりの激しいマーケティングという領域において適応可能なマインドセットです。

これはマーケターが自身の価値を高めるためにも、優秀なマーケターを採用したい企業の担当者にとって参考になるのではないでしょうか。もちろん、旅が必須というわけではありません。

知識だけにとらわれず自ら新しいサービスや商品を体験し、利用ユーザーの価値観を受け入れるというマインドセットが優秀なマーケターとして定義できるはずです。

Photo by 青木勇太