Webマーケティングの仕事をしていると、このような課題にぶつかることはありませんか?

・思いつく限りの施策は全てやっているのに成果が上がらない...
・目の前の作業に追われてしまい考える時間がとれない...

例えば、ネット広告の運用を行っている方は、「CPAやCVなどの目の前の目標達成に追われてしまう...」「細かく運用しているけど成果が上がらない」といった課題にぶつかることはないでしょうか?

筆者は8年間、Webマーケティングの業界に関わってきていますが、目の前の作業に追われて、戦略を考える時間が取れていなくて悩んでいる人と多く関わってきました。

マーケティングの仕事をしているけれど、マーケティングそのものと向き合えていない」

仕事外でマーケティングトレースというコミュニティを運営していても、このような課題を抱えるマーケッターの方々と多く出会います。

参考:
[マーケティングトレース(マーケッターにとっての筋トレ)とは何かについて]
(https://note.mu/tomokikurosawa/n/n9ec466396774):blank

本日は、そのような課題を抱えているWebマーケティング担当の方々に向けて、「マーケティング思考を磨くヒント」をお伝えしていきます。

マーケティングトレースとは

筆者はマーケティング戦略を想像しながらトレースしてみるというトレーニングを「マーケティングトレース」と定義しています。企業の商品やサービスをマーケティングフレームワークに落とし込み分析します。

デザイナーの方々がUIトレースをしたり、観察スケッチをし、インプットとアウトプットを繰り返しているに合わせ、マーケターのトレーニング方法として筆者が実施しています。

マーケティングトレースについては次回詳しく解説します。

マーケティング思考とは何か?

マーケティングトレースでは、マーケッターが鍛えるべき思考を2つ掲げています。

一気通貫思考:戦略・戦術・実行を一気通貫で考え成果につなげる力
三方良し思考:市場・組織・顧客の三方良しの状態を実現する力

どういうことかをこれから説明していきます。

一気通貫思考:戦略・戦術・実行を一気通貫で考え成果につなげる力

戦略・戦術・実行とは何かをそれぞれ解説していきます。

マーケティング戦略:市場のマクロ・ミクロ環境を分析して、どのように組織リソースを配分していくのか考えるフェーズ

マーケティング戦術:ターゲットに対してどのようなコミュニケーションをとっていくか考えるフェーズ

・実行:決まった戦略・戦術を運用・効果測定を行うフェーズ

一気通貫思考を図解するとこのようなイメージです。
一気通貫思考

ただ多くのマーケッターが抱える課題に

「実行部分で忙しくて戦略を考える時間がとれない」ということがあります。

実行部分で時間を使いすぎると、そもそも戦略部分が間違っているために成果が出にくいということに気づかないという状況が生まれてしまいます。

この現状を図解するとこのようなイメージです。
image4re.png

一気通貫でマーケティングを考えることによって、それぞれの段階のつながりを意識し、成果に結びつけることができます。

三方良し思考:市場・組織・顧客の3方良しの状態を実現する力

2つ目のマーケティング思考の定義は、三方良し思考です。

マーケティング=三方良しで考えます。
三方とは、市場・顧客・組織です。

この、市場・顧客・組織の関係性を読み解いた上で、どのような施策を打つべきかを考え、顧客が買い続けてくれる仕組みを構築することがマーケッターの役割であり、持つべき思考だと捉えています。
三方良し思考

一気通貫思考+三方良し思考=マーケティング思考と捉えると、広告・SNS・アクセス解析のデータを分析して、説明責任を果たしているだけでは、マーケティングをしていると言えないわけです。一気通貫思考でそれぞれのつながりを理解し、三方良し思考で因果関係を読み解くことがマーケティング思考に必要なのです。

あくまで筆者の定義となりますが、マーケティング思考を考えるヒントにして頂ければ嬉しいです。

なぜWeb担当者にマーケティング思考が必要なのか?

次にマーケティング思考の必要性について考えていきます。

先ほどにマーケティング思考を定義しましたが、なぜWeb担当者にマーケティング思考が必要なのでしょうか?

結論からお伝えすると、戦略が間違っているのに実行部分を頑張っても成果につながらないからです。

例えば、A社、B社、C社があったとして、各社の戦略・戦術・実行それぞれのレベル感が下記の図の通りだったとします。
要は一貫性のある組織と、一貫性のない組織です。
image1re.png

自分もたくさんの組織を見てきて、それぞれの状態の組織におけるマーケティングに携わってきました経験から、戦略・戦術が明確になっている組織はマーケティング成果が出やすい傾向にあります。

逆に、戦略・戦術が不明確なのに実行を頑張っている組織は、現場が疲弊してしまって、成果も出ない悪循環に陥っている印象です。

もし後者の状態になってしまっているのであれば、実行部分を頑張るのではなく、戦略・戦術の見直しに視点を切り替える必要があります。

売れる仕組みが整っていないのに、無理やり広告を中心に売り込もうとするのはマーケティングではありません。

Web担当者がマーケティング思考で考えるとしたら

例えば、Web担当者がマーケティング思考=戦略・戦術・実行を一気通貫で考え、

マーケティング施策と、上流の戦略を連動させて議論を生む
・実行部分で取得したマーケティングデータを、戦略をつくる人にフィードバックする

といった行動をとることで、戦略・戦術が最適化していく流れができるはずです。

このような行動をとれる人は、付加価値の高いマーケッターであり、どんな組織にも必要とされます。

ツールやトレンドに捉われるのではなく、マーケティング思考を働かせて組織を変革する意識をもつことで、マーケティングの仕事は楽しくなるはずです。

マーケティング思考を磨くためにWeb担当者が業務の中で意識すること

ただ、いきなりマーケティング思考で戦略・戦術部分も考えてくれ!と言われても、なかなか難しいと思います。

そのため日常の業務の中で、下記のような考え方をもつ習慣を身に着けることが大切です。

  • 儲けの構造→ビジネスモデルを理解する
  • 適切なフレームワークを使って分析→戦略仮説をつくる
  • 戦略仮説をもとにマーケティング施策を組み立てる

これらを考える癖をつけるだけでも、一つ上の仕事ができるようになるはずです。

まとめ:まずはマーケティング思考を磨こう

マーケティングツールやマーケティングトレンドより、まずは根底にあるマーケティング思考力を磨くことが大切です。

根底にあるマーケティング思考力をおさらいすると、

・戦略・戦術・実行の一気通貫性
・市場・組織・顧客の三方良し

この2つです。マーケティング思考を意識し、業務に役立ててみましょう。