自社のブランドを強化するため多くに費用を掛けたり、様々な施策を試している企業は多いでしょう。

しかし、今の取り組みが本当にブランディングとして正しく機能しているのか判断できない経営者や担当者もいるのではないでしょうか。

今回は、そもそも「ブランディングとは何か」について説明します。
そして、「本当に『ブランディング』は必要か」ということを今一度考えてみましょう。

なぜ「ブランディング」が必要なのか

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マーケティングだけでなく、営業、人事、経営戦略など、ありとあらゆる企業活動の中で、「ブランディング」という言葉は必ずと言っていいほど耳にするでしょう。

そんな中、なぜブランディングが必要なのか、考えたことはあるでしょうか。ブランド名を覚えてもらうため?それとも、かっこいいと思ってもらうため?

それって、本当に必要なのでしょうか?

まず、ブランド名を覚えてもらう、つまりブランド認知を高めることは、マーケティング施策がうまく機能したかどうかを判断するうえでよく使われる指標です。確かに、「効果測定がしやすい」というメリットがあります。

ただ、気をつけなくてはいけないのは、そのブランドが*「どんなイメージと一緒に認知されているか」*という点です。

極端な話ですが、単にブランド認知を高めることだけを目的とするのなら、最も手っ取り早い方法は、何か問題を起こしテレビで報道されることすらOKということになってしまうでしょう。

認知を高める=ブランディングではない

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ブランディングとは、次のように言うことができます。

・認知を高める ≠ ブランディング
・特定のイメージと一緒に認知を高める = ブランディング

ブランド名がどんなイメージと一緒に記憶されているかというのは、実は非常に重要なポイントであるにも関わらず、案外見過ごされてしまうことが多いです。

それは、今売り込みたい機能を伝えることが優先され、ブランド本来のイメージを強化するという視点が欠けてしまうことが多いからです。

もちろんマーケティングが、「個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・経営的プロセス(フィリップ・コトラー)」である以上、機能を伝えることはマーケティング上決して間違ってはいないでしょう。

ただし、そこに「ブランド・イメージを強化する」という視点は欠けてしまっています。

では、なぜブランド・イメージを強化する必要があるのでしょうか。

特定のイメージはどうやって育てる?

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例えば2つのブランドが、それぞれ同じような機能性を持つ3つの商品(商品A、商品B、商品C)を時期をずらして発売し、それぞれ以下のキーワードを中心にメッセージやイメージを開発し各タッチポイントで使用した場合、商品Cが発売されるまでに消費者が最も記憶するのは、どちらのブランドのどのようなイメージでしょう。

◯◯◯ブランド
・商品A:軽さ
・商品B:速さ
・商品C:丈夫さ

△△△ブランド
・商品A:軽さ+革新性
・商品B:速さ+革新性
・商品C:丈夫さ+革新性

シンプルに考えれば、△△△ブランドの「革新性」というイメージが、消費者の記憶に一番残るでしょう。

つまり、同じキーワードを繰り返し使用することで、「革新的」なイメージが△△△ブランドと結び付き、その結果、新商品が出る前から商品Cに対し「革新的」なイメージを持ってもらうことができるのです(もちろん「革新的」な商品でなければ消費者の失望に繋がることになるため、キーワードはブランドが提供できる価値に基づく必要があります)。