Webメディアの広告収入と聞くと、アドセンスやアフィリエイトを想像する方が多いのではないでしょうか。これらはWebメディアを運営していくうえで、とても便利なツールです。

では、そこに載せられている広告が、どれだけの人に響いているか真剣に考え抜いたことがある人はどれくらいいるでしょう。また、そのアフィリエイトやアドセンスを見た人の気持ちを想像し、メディアを運営しているチームはどれだけあるのでしょうか。

今回は、Webメディア「TABI LABO」を運営している株式会社TABI LABO 代表取締役久志尚太郎氏に「本当に必要とされているメディア広告とは」をテーマにお話を伺いました。

久志 尚太郎氏プロフィール

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1984年生まれ、株式会社TABI LABO 代表取締役。中学卒業後、単身渡米。16歳の時に飛び級で高校を卒業後、起業。帰国後は19歳でDELLに入社、20歳で法人営業部のトップセールスマンに。21歳から23歳までの2年間は同社を退職し、世界25ヶ国をまわる。復職後は25歳でサービスセールス部門のマネージャーに就任。同社退職後、宮崎県でソーシャルビジネスに従事。2013年より東京に拠点を移し、2014年2月TABI LABO創業。
2017年に社内組織BRAND STUDIO(ブランドスタジオ)を設立。

旅行のような体験をWebメディアで実現する

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ferret:
久志さんはなぜ、Webメディア「TABI LABO」を始めたのでしょうか。

久志氏:
「旅に行かなくても、メディアを通じて旅をしているような体験をできるようにしたい」と思ったからです。

一般的に”旅行”とは場所の移動を言いますよね。けれでも僕たちは、見えなかったものが見えるようになる瞬間が“旅”なのだと思っています。実際に旅をしたら、社会問題に直面するかもしれない。絶景に巡り合うかもしれない。そういう体験ができるメディアを作りたくてTABI LABOを立ち上げました。

ferret:
最近はオウンドメディアを経営している企業も増えましたよね。成長を続けているWebメディアを運営している立場からして、そういったオウンドメディアに対してはどのように感じていますか?

久志氏:
やりたいことが見えないオウンドメディアもたくさんありますし、そもそもメディアを運営するというのは大変なことですよ。。

オウンドメディアの中には運営者の方と話していても、「それって、本当にそれって必要なの?」と思う場面もあります。だったら、「やらなくてもいいのでは?」と感じますね。

広告・メディア業界のバリューチェーンを変えたい

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ferret:
メディア運営の目的は様々ですが、多くのメディアではアドセンスやアフィリエイトの広告などで利益を出していますよね。

久志氏:
そうですね。でも、アフィリエイトやアドセンスってうざくないですか?嫌だなっと思ってる人多いと思いますよ。

ferret:
誰しもが一度は思ったことがあるかもしれません。

久志氏:
そうですよね。でもそれが普通ですよね。

ferret:
最近では記事のうえから動画が表示されるようなものもあって、なかなか広告を避けては通れない。

久志氏:
アクセス歴などを読み取ってストーカーみたいについてくるし、「お前、これ好きだろ?」と乱暴なコミュニケーションもとってくる。今って広告に冒涜されているような感覚があるじゃないですか。その現状を僕らは少しでも変えていきたいんです。

大切なのは”How”ではなく”Why”と”What”

ferret:
乱暴なコミュニケーションをとるインターネット広告というのを快く思っている人はいないにも関わらず、それが「普通」になってしまっていますよね。

久志さんは、インターネット広告がこのような形になってしまったのはなぜだと思いますか。

久志氏:
「なぜ届けたいか」「何を届けたいか」よりも「どのように届けるか」を考えている人が多いからではないでしょうか。

ネット広告業界って、みんな”How”の話をしたがるんですよ。改善ツールがどうとか、そんな話ばかり。そこに何を乗せたいという“What”と、やなぜやるのか?の”Why”の話が出てこないんです。

ferret:
方法論ばかりになっているのが問題だということですね。

久志氏:
考え方の違いなので、“How”にこだわることが悪だとは言いません。でも僕は単純に、すごい違和感を覚えています。だって、本来は魅力を伝えるための手段であるが広告が、嫌悪感を与えるって本末転倒じゃないですか。

“How”にばかり注目するから、記事をたくさん作ってトラフィックを集めることに躍起になる。

ferret:
TABI LABOにアドセンスもアフィリエイトもないのは、そのような部分を意識してのことですか?

久志氏:
そうですね。

ferret:
でも、PRの文字が入った記事広告って嫌われがちな側面もありますよね。TABI LABOでは、そのようなことはないんですか。

久志氏:
まったくないですね。うち、記事広告のパフォーマンスが本当にいいんですよ。記事内CTRが二桁%超えるものもたくさんあります。

ferret:
記事広告で二桁%はすごいですね。記事広告CTRを上げるために、なにか実施してきたことはあるのでしょうか?

久志氏:
特別なことをしてきたわけじゃないんです。情報の受け手が「鬱陶しいな」と感じている必要のない広告を省いて、いいコンテンツを作り続けてきた。ただそれだけです。

当たり前のことを積み重ねたら結果がついてきただけなんですよ。