インターネットブログを公開していたり、ホームページをビジネスとして利用している方など、日々いろいろな画像や文字情報をアップしていると思います。
「更新」ボタンを押すだけでその情報は世界中の誰からでもアクセスできるようになるわけで、そのアップした情報が何らかの問題があったとしても「知らなかった」では済まされないこともあります。
最近ではインターネット上の法律違反などに関して裁判の判例も多くあり、アップする前に一度チェックしていただくと安心かもしれません。

※【訂正4/23】薬事法という記載がありましたが、正しくは「薬機法」です。ご指摘ありがとうございました。

著作権法

先日ヤフージャパンが運営する「スマホガイド」内のコンテンツで、とあるウェブコンテンツライターが某バイラルメディアの著作権侵害に関して争った経緯をアップして話題になりました。
内容は、ウェブライターの方が自力で集めた情報やその記事にしたものを自社サイトに掲載し、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などでアクセスを集める手法を取っていたことが、「著作権法に違反しているのではないか?」という内容でした。
裁判などに持ち込むにはお金と時間がかかるため直接運営者と面談し、和解に至ったということですが、そのバイラルメディアはほどなくしてサイト閉鎖をすることになりました。

以下に著作権法概要を引用します。

『著作権法では対象となる著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と規定しており、小説や随筆、論文、絵画、写真、図形、立体造形物、建築、音楽、映画、コンピュータプログラムなどがこれに該当する。新聞や雑誌、辞書などは要素の選択や配列といった編集に創作性が認められ、編集著作物として保護される。
一方、思想や感情ではない単なるデータや、創作性に乏しい他人の作品のコピーや誰が書いても同じになるような定型文書、文芸・学術・美術・音楽に含まれない日用品や工業製品、法令や判決文、行政機関などの発行する通達等の文書などは除外される。また、アイデアなどはそれを記したものはその表現が著作物として保護の対象となるが、アイデアそれ自体は著作物ではないため対象外である。』

引用:e-Words

具体的には、音楽、美術、映画や、本などの言語で書かれたものが著作物にあたり、逆にあたらないものとしてはアイデア段階のもの、データを集めたもの(事実)、また大量生産された工業製品のデザインなどはあたらないとされています。

特に該当するサービス例

バイラルメディア等

冒頭にも紹介をいたしましたが「引用」というテキストで引用元を紹介すれば良いものではありません。許諾、引用要件を満たしているかなどを確認する必要があります。

マップの利用

多くのサービスで利用される「マップ」ですが、実はこちらも利用に制約が設けられていることがほとんどです。例えばGoogleマップなどでも引用や利用にあたってのガイドラインがありますので、利用されているサービスは一度ご確認いただいたほうが良いでしょう。

個人情報保護法

2005年に施行された個人の情報の取扱いに関する法律です。個人情報を保持する企業は規定に違反した場合罰則を科すことができる法律となり、5,000件以上の個人情報を持つ事業者は、利用方法を事前に周知する義務が生じます。
個人情報に該当するものとしては、氏名、性別、生年月日、家族構成や職業など多岐にわたります。またメールアドレスなども個人名などと一緒になったリストになっている状態では個人情報にあたるとされます。
ただし記号や文字がランダムに並べられており、そこから個人が識別できず、個人を特定することができる情報との一致をさせなければ特定できないものは個人情報にはあたりません。

特に該当するサービス例

上記に該当する個人情報を扱うサービス全て

会員登録をしてもらったり、商品を発送するサービスなどの場合、ほぼ例外なくこの個人情報保護法を意識する必要があるといえそうです。

薬機法(旧:薬事法)

薬機法とは医薬品や化粧品、医療機器などの品質、安全性の確保を目的として制定されています。またこれらの製造、販売や流通にかかわる規定として、表示や広告に関する内容も定められています。
例えば、自社でサプリメント、健康食品などを取り扱う場合、医薬品と誤認される表記や広告の標榜に関しては注意が必要です。

NGな表記例

・必ず痩せる
・シワが無くなる
・若返る
・***が治る

そのため、社内で薬機法に詳しい人員を育成・採用や、薬機法関連に慣れた制作会社や代理店に相談することをおすすめします。

特に該当するサービス例

健康食品、サプリメント

効果、効能などの表現方法に関し、特に注意する必要がある分野です。

化粧品

こちらも表現できる言葉は限られます。特に言い切り表現や断定表現を使う際には、事前に確認する必要があります。

古物営業法

インターネットでオークションを行うことは一般的になりました。自分の手元にある不要なものを手軽に販売できるのがオークションの魅力です。
このオークションに出品する書品の中には高額な取引も発生する可能性もあり、中にはビジネスとして始める方もいらっしゃいます。
販売の目的が無く購入したものを転売することは特に許可は必要ありませんが、販売する目的で仕入れたものに関しては、取引に当たり古物商許可が必要になります。
警視庁のホームページなどに詳しく書かれていますので、一度チェックしてみることをお勧めします。

特に該当するサービス例

古本、中古家電その他中古品などを買い取って販売するサイト

自分のものを売ること自体には問題ありませんが、それを買い取って売るというビジネスモデルの場合は「古物商許可」が必要になります。

オークションサイト

こちらは「古物競りあっせん業」という届出が必要になります。つまり、ただオークションを行う場所を提供するだけでも、法に触れる可能性があるということです。

景品表示法

景品表示法とは簡単に言うと、誤解を生むような表示をしている商品やサービスなどから消費者を守るための法律です。例えば、産地などを偽ったブランド牛や野菜・果物などの食品関連が度々問題となっているのは、そのためです。

法律自体は以前からあるものですが、消費者庁ではインターネット上のビジネスの変化やサービスの多様性に合わせて、平成23年10月にインターネット上のいくつかの商取引に関して景品表示法上の問題点及び留意点を公表しています。

特に該当するサービス例

フリーミアム

いわゆるスマートフォンアプリなどの多くは、無料でダウンロードができ、かつ無料でプレイができるものが多く存在します。しかし、実際はゲームを進める際に有料のアイテムなどを使わないとクリアが出来なかったりする場合もあり、こういったときに「無料」の範囲をきちんと明示する必要性が出てきます。

口コミサイト

自社のサービスなどを口コミ上でよく見せるよう自作自演の投稿により、その内容が実際とは異なるケースなども注意すべき点として挙げられます。例えばレストランのオーナー自身が自分のお店の商品に対し、「(実際は海外産のものを提供しておきながら)日本産のマツタケを使っているのでお勧めです」などの投稿を行うことは、この景品表示法の問題となります。

その他アフィリエイトサービスやドロップシッピングなどに関する注意点なども公開されておりますので気になる方は消費者庁のリリースをご確認ください。

インターネット異性紹介事業

簡単に言えば出会い系サイトやインターネット上でのお見合いサイトなどを運営する場合に留意する法律です。異性紹介などを標榜しないサイトであっても実態がインターネットを使った異性のマッチングを行っていた場合などは届け出が必要な場合もあり、実際にビジネスを行っていく場合にはきちんと弁護士などに相談することが良いと考えられます。

特に該当するサービス例

結婚相談サイト

異性をサイトを通じて紹介させるため、適切に届け出を行う必要があります。

出会い系サイトその他

こちらも届け出が必要な場合がほとんどです。多くの法律事務所などでは業態を慎重に判断しながら届出の必要性に関して相談に乗ってくれます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。Webに関連する主な法律をまとめてみました。
現在インターネットを使ったビジネスを展開する人はもちろんですが、これからサービスを展開していこうと考えている方などにはどれも一読の価値があります。
冒頭でも述べましたが、法律は「知らなかった」では済まされません。

特に変化のスピードが速いインターネット業界では、今まで問題にならなかった事例などが、法律の改正により違反に問われるようになってしまうケースも見られます。
積極的に情報収集を行い、知らず知らずのうちに法律を犯していたなんてことが無いようご注意ください。

その他のWebにまつわる法律についてはこちらを参照。
ホームページ運営する前に要確認!インターネット関連法規6つ