スーパーをはじめとした小売店でよく見られる店内広告。「今日のおすすめ」や「店長のおすすめ」などのポップを掲示し、購買促進のためのアピールとして活用されています。これまでは紙に手描きされ、店舗ごとに工夫をこらすスタイルが主流でしたが、実はここでもデジタル化の影響を受けているよう。新たなマーケティングのセオリーを生み出す最新技術とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

目次

  1. 生成AIを用いたデジタルサイネージ広告で売上アップ
  2. AIの映像解析技術を活用して効果的に宣伝
    3.「LINE」の強みを活かしたダイレクトな広告アプローチも

生成AIを用いたデジタルサイネージ広告で売上アップ

店内広告に最新のテクノロジーを取り入れた例としてまず挙げられるのは、熊本県にあるスーパーストアダイノブ(以下、ダイノブ)です。ダイノブでは2024年5月に株式会社NTTドコモ、マーケティング活動を行う株式会社インテージ、デジタル化に特化したコンサルティング事業を展開する今村商事株式会社の3社と協力。ダイノブの店内で掲示する広告に生成AIを活用する実験を実施しました。

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出典:生成AIを活用した店舗内サイネージ向け広告配信に関する実証実験を実施

この実験ではまず、ダイノブが販売強化を希望する商品の広告コンテンツをNTTドコモが生成AIによって作成します。次に、インテージが提供するサイネージ端末を使って店内に表示。そして「誰が何をいくつ買ったか」を表すID-POSデータを今村商事が分析し、広告掲示の効果を検証します。

実験の結果、サイネージ広告を掲示した期間(ひとつの商品あたり7日間)で対象商品の売上が変化。実験中に平均1.2倍、最大3.3倍も売上が増加しました。また、今回は生成AIを用いたことで広告制作における工程の3分の2を自動化。内容の検討や広告に使う画像・文章などのコンテンツ作成にかかる時間を短縮し、最短1時間で完成品の広告動画を出力できています。

広告制作を外注した場合、本来なら作成に1週間程度はかかることも。一方生成AIを用いることで広告制作期間を大幅に短縮可能なので、入れ替わりの早い小売店での販促にもスピーディに対応できる点はメリットだと言えるでしょう。実験を行った4社は今回の結果をもとに、さらなるサイネージ広告マーケティング分野の開発を進めていくとしています。

AIの映像解析技術を活用して効果的に宣伝

テクノロジーを取り入れた店内広告の活用事例はほかにも。例えば2023年10月にはAI技術の活用を推進する楽天グループ株式会社が、食品マーケット事業を行う株式会社タカラ・エムシーと共に店内広告に関する

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