市場調査とマーケティングリサーチの違いとは?
マーケティングでは意思決定や課題解決のために調査を実施することもあります。調査の種類として一般的なものが、「市場調査」と「マーケティングリサーチ」です。
この2つの調査は一般的な認識があいまいであり、混同されています。この記事では、市場調査とマーケティングリサーチの概要や両者の違い、採用されている調査方法や実施する際のポイントについて解説します。
こんな調査は失敗する?NGリサーチとは
こんな調査は失敗する?NGリサーチにについて解説致します。
目次
- 市場調査と マーケティングリサーチ
- マーケティングリサーチと市場調査の違い
- 定量調査と定性調査
- 市場調査・ マーケティングリサーチのポイント
- 市場調査・マーケティングリサーチは外注をうまく利用しよう
- まとめ
市場調査とマーケティングリサーチ
市場調査とマーケティングリサーチはどちらもマーケティングにおいて重要な取り組みです。同時にコンセプトが似ており、しばしば混同されます。
まずは、市場調査とマーケティングリサーチの概要について解説します。
市場調査とは
市場調査は現在の市場のデータを集計し、マーケティングにおける意志決定に役立てる取り組みです。改めて調査を実施することもあれば、すでに企業で蓄積している情報を役立てることもあります。
主に製品開発のヒントを得るために実施されることが多いようです。
マーケティングリサーチとは
マーケティングリサーチは、市場に関する総合的な考察を行う取り組みです。未来の市場の動きに関する予測も、マーケティングリサーチに含まれます。
目に見えない顧客の潜在的なニーズを知ることが主な目的です。上述した市場調査もマーケティングリサーチに含まれるという考え方もあります。
混同されている理由
日本では市場調査とマーケティングリサーチの定義そのものがあいまいです。これが両者が混同されやすい要因のひとつでしょう。さらに、日本では市場調査を指して「マーケティングリサーチ」という言葉を用いることも少なくありません。
この場合、マーケティングリサーチを市場調査の境界線があいまいになります。市場調査を正確に日本語訳する場合、「マーケットリサーチ」となります。
マーケティングリサーチと市場調査の違い
マーケティングリサーチと市場調査の大まかな概要について解説しました。これだけでは、両者の違いが明確につかみきれないかもしれません。マーケティングリサーチと市場調査の違いについて3つの要素をピックアップして紹介します。
過去か未来か
1つ目の違いは調査のベクトルです。市場調査はベクトルが過去に向いているのに対し、マーケティングリサーチはベクトルが未来に向いています。
具体的に言えば、市場調査で過去の消費者行動を調べるのに対し、マーケティングリサーチは未来の消費者行動を予測します。
目的
2つ目の違いはそれぞれの目的です。市場調査で得たデータは主に製品開発や新サービスの企画創出のために役立てられますが、マーケティングリサーチの調査結果はすでにある商品やサービスをどのようなマーケティング施策で売り出すか検討するために役立てられます。
その名のとおり、マーケティングリサーチのほうが「マーケティング」という言葉本来の意味合いに近いと言えます。
データの性質
3つ目の違いは取り扱うデータです。市場調査はインターネット調査、アンケート調査、ヒアリング調査といった調査の結果を数値データとしてまとめます。
対して、マーケティングリサーチで取り扱うのは消費者のニーズや好みなど、数値化できない情報が中心です。質問の形式としては、自由回答形式を採用するのが一般的です。また、インタビューなどコミュニケーションからデータを得ることもあります。
定量調査と定性調査
市場調査とマーケティングリサーチの方法は、大きく「定量調査」「定性調査」に分けられます。
決まりがあるわけではありませんが、コンセプトや取り扱うデータの関係から市場調査には定量調査、マーケティングリサーチには定性調査を用いるのは一般的です。
それぞれの調査方法について詳しくお話しします。
定量調査とは
定量調査とは、「定量データ」を得る調査方法です。定量データとは数や量など「明確に把握できるデータ」を意味します。データの代表例としては、人数や割合、傾向値、顧客満足度、日時などが挙げられます。
定量調査の目的は「何を選ぶか」「何を選ばないか」といった事実を把握することです。一方で、選択の理由や背景、原因や深掘りについて深掘りする調査方法ではありません。その代わり、誰が見てもはっきりとわかりやすい結果が得られます。
具体的な定量調査としては、
- 企業が行う選択式のアンケート
- 飲食店が店頭で実施している満足度調査
などがあげられます。
定量調査の方法
代表的な定量調査の方法をいくつか紹介します。
方法に関係なく、定量調査では数や量をアウトプットすることになります。
【ネットリサーチ】
インターネット経由で回答を集計するアンケート調査。
ターゲットとして該当するユーザーにメールを送り、回答してもらう。
PCユーザーのほか、スマートフォンのユーザーにも実施可能。
【会場調査(CLT)】
イベント会場に集まった対象者に実施するアンケート調査。
【ホームユーステスト(HUT)】
新サービス・新製品の利用者に感想や意見を聞く調査。
【郵送調査】
アンケート調査票を郵送で送り、記入後に返送してもらう調査。
【街頭調査】
街頭に調査員を派遣し、道行く人に口頭で質問する調査。
【来店者(来場者)調査】
店舗に来店した顧客に対して実施するアンケート。
カウンターやテーブルに置いてあるアンケートなど。
【FAX調査】
アンケート調査票をFAXで送り、記入後に返送してもらう調査。
【電話調査】
対象者に電話をかけ、アンケートに答えてもらう調査。
定性調査とは
定性調査とは「質的データ」を獲得する調査方法です。質的データとは、数や量では表せないデータです。原則として「言葉・文章」が主なデータ形式になります。
定性調査では、その回答を選んだ理由や経緯などを深堀して調査します。より広く言えば、「Why(なぜ)?」や「How(どうやって)?」といった考え方や心理を把握するための調査方法と言えるでしょう。質問への回答も自由記述形式で求められます。
多くの場合、定性調査で手に入る情報を役立てるためには、その情報をもとに考察する必要があります。あるいは、情報をもとに何らかの共通点を見出すことも定性調査の一般的な活用法です。
定性調査の方法
定性調査の方法の代表的な方法を紹介します。
定量調査では、意見や考え方を調査するため、インタビューなどのコミュニケーションが必要になる場合もあります。また、上述した定量調査の質問と同時に、自由回答の質問を設けることもあります。
【グループインタビュー(FGI)】
座談会形式のインタビュー。
ファシリテータ(司会者)が、参加者に対して質問をしていく。
【インデプスインタビュー(IDI)】
面談形式で一人ひとりに深く話を聞く調査。
【訪問観察調査】
調査員を対象者の自宅に派遣して、質問をする調査。
【日記調査】
商品・サービスを利用してもらい、対象者の了承のもと感想などを一定期間日記として残してもらう調査。
【行動観察調査(オブザベーション調査)】
商品やサービスの利用状況を、調査員が実際に利用現場に赴いて調べる調査。
市場調査・マーケティングリサーチのポイント
市場調査・マーケティングリサーチにはそれぞれポイントがあります。
実施する際は、以下のポイントを意識してください。
市場調査のポイント
市場調査を行う場合、まずは「何のための調査なのか」という点を明らかにしましょう。
市場調査には、立証したい「仮説」が必要です。調査後にデータが出そろってから活用法を探すケースもありますが、調査範囲が大きくなりすぎてしまう、データ量が膨大になり分析に手間がかかるといった弊害が出ます。
目的にそって必要なデータを集めたほうが、調査がスピーディーになるでしょう。
また、そのほうが分析もはるかに効率的です。「仮説が正しいか検証する」というスタンスで市場調査を実施することをおすすめします。
また、調査方法の選択はとても重要です。調査方法によって得られるデータの種類や信ぴょう性がまったく異なります。大きく分けると上述した定量調査と定性調査がありますが、有効なデータが必要であれば慎重に方法を検討しなければなりません。
調査方法を選定する際にも、調査の目的が判断材料となります。「設定していた仮説をいかに立証するか?」を基準に調査方法を考えれば、選びやすくなるはずです。
調査のスケジュールについても慎重に決定してください。市場調査で得られるデータのクオリティは、調査に時間をかけるほど高くなります。一方で時間をかければかけるほど、調査のコストは増大していきます。
調査の目的によっては、調査に時間をかけすぎるとデータを活用するベストなタイミングを逃してしまうかもしれません。そうなると、せっかくかけたコストが無駄になってしまいます。調査のスケジュールをコストについては、着手する前に把握しておきましょう。
マーケティングリサーチのポイント
マーケティングリサーチは既存の商品やサービスが起点です。それぞれの商品・サービスで達成すべき目標を明確にする必要があります。さらに、現状の商品・サービスが市場でどのポジションに位置しているのか、目標との間にはどれくらいのギャップがあるのか、その時点で抱えている課題はどのようなものか、といった点を確認しなければなりません。
その後、マーケティングリサーチの目的を定めます。マーケティングリサーチの主たる目的は市場調査と同じように仮説の立証です。あるいは、新たな仮説を得るためにマーケティングリサーチを実施することもあります。
実際にリサーチ行う前には、リサーチ結果の活用法をイメージすることが大切です。
マーケティングは仮説を実証しただけで終わりではありません。有効な打ち手を見出すためには、リサーチ設計の段階で打ち手をイメージしていく必要があるでしょう。
例えば、仮説を充実させるためにアンケートのような手法を取るのは意味がないかもしれません。アンケートは、すでにある仮説を実証するための手法だからです。また、意思決定のために定性データを用意したり、規模の小さい調査を実施したりしても意味がないかもしれません。
マーケティングリサーチにおいて軸になるのは、このような徹底した「目的志向」です。目的と手段が対応していない、もしくは目的そのものがないマーケティングリサーチが頻繁に行われており、その結果「リサーチは意味がない」というイメージが蔓延しているようです。
市場調査以上に手法が多岐にわたるマーケティングリサーチですが、有効なリサーチを実施するためにまずは目的志向に立ち返るようにしてください。
市場調査・マーケティングリサーチは外注をうまく利用しよう
市場調査・マーケティングリサーチは手間がかかります。そもそもノウハウがない状態では、有用性のある結果を得るのが困難です。企業で市場調査・マーケティングリサーチを実施することもできますが、使える結果が得られるとは限りません。
社内に知見がない場合や社内リソースが不足している場合は、市場調査・マーケティングは専門事業者に外注するのがおすすめです。ノウハウを蓄積している事業者が調査を行うため、客観的で有用性のある結果が期待できるでしょう。目的に対して最適なリサーチを設計できない場合も、事業者がコンサルティングを行ってくれるはずです。
コストはかかってしまいますが、無駄に調査規模が大きくなってしまいがちな企業で独自に行うケースよりも安くすむことが大半です。市場調査・マーケティングリサーチを検討している場合は、まず専門事業者に見積もりを依頼してはいかがでしょうか。
関連:
マーケティングに必要な市場調査代行業者まとめ 各社の特徴や費用など
まとめ
市場調査・マーケティングリサーチの違いについて紹介しました。
どちらにおいても重要なことは、実施する目的を明確に設定することです。結果的に実施する調査が市場調査、マーケティングリサーチのどちらになるかは大きな問題ではありません。
どちらも直接利益を生む取り組みではないだけに、有意義なものにするためには目的設定や結果の活用方法の設計が求められます。調査を外注したとしても、最終的に結果を活用するのは企業自身です。
調査結果を無駄にしないために、このポイントをしっかりとおさえておきましょう。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- マーケティング
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- コンセプト
- コンセプトとは、作品やサービスなどに一貫して貫かれている考え方をいいます。デザインと機能がバラバラだったり、使い勝手がちぐはぐだったりすると「コンセプトが一貫してないね」などと酷評されてしまいます。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- マーケティング
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- マーケティング
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- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
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