SEO対策について考えるとき、「リンクパワー」や「被リンクの効果」は無視することのできない要素です。かつては「被リンクの本数」が絶対視されていましたが、ペンギンアップデートによりその状況も瓦解しました。

企業は顧客への商品・サービスの情報提供などのためにWebサイトを開設していますが、ユーザーに検索を経由して自社のWebサイトを見つけてもらうためには、検索結果の上位に表示する必要があります。

SEOの様々な施策のうち、「被リンク」は10年ほど前からSEOの重要な要素として大変注目される存在でした。以前と比べ「被リンク」を活用したSEOが話題になることは少なくなりましたが、現状では「被リンク」はSEOに有効なのでしょうか。今回は「被リンク」にスポットをあてて解説したいと思います。

目次

  1. 被リンクとは
  2. 被リンクを使うメリット
  3. 被リンクを使うデメリット
  4. 被リンクの注意点
    1. 悪徳業者から購入する被リンクは避ける
    2. SEOを狙った欲張り相互リンクはやらない
    3. 関連性の低いコンテンツからの被リンクは避ける
    4. 同じアンカーテキストからの被リンクが多いとよくない
    5. 隠しリンクを設置しているページは危険
    6. フッターに埋められた被リンクには注意しよう
    7. ワードサラダを利用してはいけない
  5. まとめ

被リンクとは

リンクとは、他のWebサイトから設置されたリンクのことです。SEOには大きく分けて内部対策と外部対策の2つがあります。
内部対策Webサイトの構造や内容を検索エンジンにとってわかりやすくすることですが、外部対策は他のWebサイトからの被リンクを利用した対策のことです。
つまり、外部対策はほとんど被リンク対策と同義になります。

外部対策によるSEOへの有効性は変化を続けています。
10年ほど前は被リンクによる外部対策が全盛期でした。
しかし、被リンクの品質により検索順位に大きな影響を及ぼすようにGoogleのアルゴリズムの変更があり、被リンクの増加を行うだけの作為的なSEOは淘汰されたのです。
このアルゴリズム変更は、ペンギンアップデートと呼ばれています。

リンクの品質が検索順位に影響を与えるとお伝えしましたが、被リンクには2つの種類が存在します。
作為的ではなく自然な流れで設置されたリンクがナチュラルリンクです。
それに対し、故意に設置したリンクはスパムリンクと言われています。

ナチュラルリンクは、有効なリンクとしてリンクを受けたWebサイトの評価を高めると言われていますが、
スパムリンクは逆であり、ペナルティを受け検索順位が大幅に下落してしまう恐れがあります。

ペンギンアップデートの施行前は目的達成を急ぐばかりに金銭により多数の被リンクを手に入れて不正なSEOによる順位上昇を狙う人や、そのような心理を利用して悪質な被リンク売買をビジネスにする人も現れてしまいました。
しかし、Googleはユーザーの利便性を最優先にしているため、このような不正を野放しにすることはありません。

リンクを正しく理解するためにも、Googleの品質ガイドラインに目を通すことが大切です。
具体的なガイドラインとして、リンクプログラムへの参加は違反と見なされることがあるとされています。
Webサイトに必要な被リンクはナチュラルリンクであり、自作自演リンクではないということは肝に命じておかなければいけません。

参考:
Googleヘルプページのリンクプログラムについて

被リンクを使うメリット

リンクを有効に活用するには、いかに被リンクについて正しい知識を持つかが大切です。
まずは、被リンクのメリットを把握しましょう。

「良質な被リンクにはWebサイトの評価を高める力がある」というのが被リンクの大きなメリットです。
ただし、「良質」ということがポイントであり、自作自演リンクではありません。有料で業者から購入するものではありませんので、突然手に入れられることもなく、急激に得られるわけでもないのです。
良質な被リンクは、前述のナチュラルリンクであり、必要とされて自然に設置された被リンクでなければいけません。

良質なリンクとは

リンクが自然に発生するWebサイトになるには、ユーザーから共感を得られることや、情報を知りたい人の手助けになることが大切です。
このWebサイトを友人に教えたいという意欲や、自分のように困っている誰かの役に立つので広げたいという思いが生まれなければ、被リンクを設置してもらえることは少ないでしょう。
知識・ハウツーなどWebサイトからユーザーへの様々な情報提供による貢献が、メリットのある被リンクを作り出す条件の一つだと言えるのではないでしょうか。

それではどのような被リンクが良質と言えるのでしょうか。
良質な被リンクとはナチュラルリンクではあることはもちろん、自社のWebサイトと関連性の高いページに設置されたリンクなのです。

例えば、自社のWebサイトがリノベーションサービスについて紹介しているものであれば、音楽関係のWebサイトからの被リンクは関連が薄く、良質な被リンクとは言えません。
Webサイトの評価を高める有効な被リンクは、似通ったテーマであることが大切です。

優良な被リンクをたくさん集めたからと言って、必ずしも検索順位が上位になるわけではありません。
ポイントは競合性であり、自社のWebサイトより良質な被リンクが少ないWebサイトでも総合的に評価が高ければ、順位では負けてしまうでしょう。
リンクにばかりこだわる必要はないということです。

被リンクを使うデメリット

リンクにデメリットが生じるのは、被リンクの品質が低い場合です。
作為的な被リンクは、低品質とされてしまいWebサイトの評価を著しく低下させてしまう恐れがあります。
業者から購入したどこの何かもわからないような被リンクは、自社の大切なWebサイトにどのような悪影響を与えてしまうかもしれないため危険です。
ペナルティの対象になりそうな危険な被リンクを使うのは避けるべきでしょう。

また、被リンクSEOに使う場合、被リンクの管理が必要になります。
自分が知らない間に低品質と評価されているWebサイトから被リンクを向けられている可能性があるからです。
リンクは定期的にチェックし、検索順位の下落など悪影響を及ぼしていないか確認しなければいけません。

悪い影響を与えている被リンクを発見した場合は、被リンクの発生元に連絡して、リンクを削除してもらう必要があります。
相手と連絡が取れない場合は、サーチコンソールからリンクを否認しなければいけません。

検索エンジンから悪質なWebサイトと判断されてしまうと順位の下落だけではなく、最悪の場合、インデックスが削除されてしまうかもしれませんので注意が必要です。

被リンクの注意点

リンクの品質がSEOにとってプラスにもマイナスにも働くとお伝えしました。
それだけ被リンクは検索順位に影響を与える重要な存在ということです。
リンクに関する注意点を把握して、低品質な被リンクの影響を受けないように気をつけましょう。
どのような被リンクに警戒が必要かなどいくつかご紹介します。

悪徳業者から購入する被リンクは避ける

Googleは検索順位に悪影響を与える可能性のあるリンクの中に、PageRankを転送するリンクの売買を挙げています。
リンクそのものやリンクを含む投稿に金銭が伴うものも対象です。

検索順位を上げるために、被リンクを有償で手に入れるのは気をつけた方がよいでしょう。
順位上昇を急ぎ、被リンクに金銭を投じるよりユーザーが必要とするコンテンツの制作に注力した方がよいのではないでしょうか。
検索結果に上位表示させるなら、Google広告を利用してオーガニックサーチの検索結果よりも上位に自社の広告を表示するという方法もあります。
目的に合わせた施策の選択が重要です。

SEOを狙った欲張り相互リンクはやらない

相互リンクはお互いのWebサイトが被リンクを得ることで双方ともにSEO効果があるとして以前流行したものです。
しかし、ランキングを意図的に改ざんしようとする行為としてペナルティを受ける危険があるため、おすすめできません。

ただし、ここで言う相互リンクは、SEOを謳ってリンクを集めたWebサイトです。例えば、企業WebサイトとブランドWebサイトを相互リンクにしたからと言って、ペナルティが生じると言っているわけではありません。

関連性の低いコンテンツからの被リンクは避ける

リンクのメリットの部分でも少し触れたように、被リンクを設置しているサイトと自社のWebサイトの関連性は重要です。
検索エンジンは、ユーザーによって有益な環境を構築しようとしていますので、関連性の低いコンテンツ同士が結びつくことを高く評価することはないでしょう。

情報を必要としてWebサイトを訪れたユーザーが、さらに深い情報を入手するために有益な被リンクであることが求められていることを忘れてはいけません。

同じアンカーテキストからの被リンクが多いとよくない

意図的な被リンクを使わなければ、気にする必要がないことですが、アンカーテキストが常に同一であるなどの偏りには注意しましょう。

アンカーテキストとは、被リンクを埋め込むテキストのことです。
通常、同じアンカーテキストのみが繰り返し使われるということはないため、不自然な被リンクとしてペナルティを受けてしまう可能性があります。

隠しリンクを設置しているページは危険

隠しリンクは、ユーザーが視覚的に認知しにくいように設置されているリンクのことです。アンカーテキストがわかりにくいように背景色と同じ色にすることや、フォントサイズを小さくし可読性を下げることなどが該当します。

このような仕掛けをしているWebサイトGoogleから品質の低いコンテンツとして評価されている恐れがあり、自社のWebサイトにはこのような仕掛けは行わないのはもちろん、被リンクを送られるのも避けましょう。

フッターに埋められた被リンクには注意しよう

Webサイトのフッターに多数のリンクが設置されている場合があります。このようなWebサイトはペナルティを受けている心配があるため、被リンクを受けるのは避けましょう。不自然なリンクはマイナス効果という基本を忘れてはいけません。

ユーザーに必要とされるコンテンツの中から適切なリンクが貼られることが、自社のWebサイトにとって有益な被リンクとなるのです。

ワードサラダを利用してはいけない

ワードサラダはプログラムによりコンテンツを自動的に生成するものです。ワードサラダにより作られたコンテンツは、内容が破綻した無意味なものであるため、低品質でしかありません。

もちろん、このようなコンテンツから被リンクが送られてしまうと、自社のWebサイトの評価にも悪影響を及ぼす恐れがあります。ペナルティが生じてしまうとその後の対応が大変です。SEOにおいても、マイナスの効果になりうると考えておきましょう。

まとめ

リンクWebサイトSEOにとって、影響力の高い存在であるからこそ、その取り扱いには十分な注意が必要です。
ユーザーから有益なコンテンツとして発生するナチュラルリンクに関しては、メリットを与えてもらえるため警戒する必要はありません。
リンクの影響力を利用して、意図的にランキングを操作しようとするのはやめましょう。
ユーザーにとって必要とされる検索環境が何であるのかよく考えることがSEOにとって重要なのです。

Googleの品質ガイドラインを読むと、誠実な取り組みこそが最も優先するべきSEOというイメージが見えてくるでしょう。
リンクの力がほしければ、自然に被リンクが増える魅力的なコンテンツをつくらなければいけません。
そして、ユーザーにとって利便性の高いWebサイトだということが、検索エンジンにも伝わりやすいように構造に配慮することもSEOにとって大切です。
リンクを増やすには、自社のWebサイトに共感しそうな人にできるだけたくさん閲覧してもらわなければいけません。
そのためには、ソーシャルメディア広告など認知を増やす施策にも目を向けたほうがよいでしょう。

リンクをテーマにした今回の記事ですが、最後におすすめしたいのは、被リンクのチェックです。
もし、検索順位が著しく低下してしまったなど、気になることがあれば、被リンクチェックツールを使ってみましょう。
リンクチェックツールは、Webサイトがどこから被リンクを受けているのかが確認できるものです。
低品質なWebサイトからの被リンクを発見することができるため、使ってみるとよいでしょう。

有益な被リンクであるナチュラルリンクをたくさん集めるようにするには、ユーザーニーズに応えられる内容の濃いコンテンツづくりに注力することです。
ユーザーの望むことやほしい情報をしっかりと考えてみる、これがSEOにとって大切な軸となるのではないでしょうか。