Adjust創業者から見た日本市場の特殊性

Global App Trends 2019および日本のトレンドの発表に続き、質疑応答が行われました。

-日本市場の特徴や日本ならではの課題はなんですか?
ミュラー氏:
日本は明らかに固有の特徴がある市場で、西欧社会と比べて多くの違いがあります。
先ほどモバイルバンキングに関する違いについて言及しましたが、配車サービス、ライドヘイリングのアプリについても違いが見られます。
日本ではタクシーアプリのほうが人気ですが、世界的にはウーバー型のサービスのほうが人気です。
ゲーミングに関しても、日本ではRPG、シューティング、戦略ゲームといったミッドコアゲームが、西欧ではパズル、アーケード、シミュレーションといったカジュアルゲームがより好まれるという違いがあります。

ヘンシェル氏:
日本は女性のゲームユーザーが多いことも、主な特徴と言えます。
日本ではモバイルゲームを利用する人口の半数以上が女性です。
日本ならではの課題は、やはりフラウド対策ではないでしょうか。
日本のユーザーは高い価値を持っているため、エコシステムの中での不正も多く起こりえます。
そのため、アドフラウド防止のためのツールを使っていくことも大事です。

アドフラウド対策が進んでいる国はどこですか?
ミュラー氏:
これは国や地域よりも、一人ひとりのマーケターの洗練度に左右されます。
例えばサンフランシスコのベイエリアのように経験値の高いマーケターが集まっている場所もありますが、意識の高いマーケターなら、どこにいてもフラウドに対する意識が高いものです。
モバイル産業はグローバルな市場ですが、日本のマーケターは信頼してはいけないものを完全に信頼してしまっている危険があると感じます。
例えば、パートナーが不正にリセリング(再販)をしている場合にも、信頼してしまっているかもしれません。
だからこそ教育が大事ですし、不正防止に努めたいと考えています。
当社ではユーザーを対象にウェビナーやモバイルスクールを開催して、どのような脅威があるのか教育しています。
今後、日本でも重点的な教育を行っていきたいと考えています。
日本は非常に興味深い市場です。
ユーザーの価値が高く、文化的にアドバタイザーとネットワーク間の信頼を大事にするところがあります。
そのため、今後もアドフラウド防止ツールが採用される余地は十分あると考えています。

まとめ

今回はAdjust株式会社が開催するカンファレンスにおいて発表されたGlobal App Trends 2019および日本市場のデータをご紹介しました。

世界を取り巻くアプリ市場の現況と日本市場の特徴を、ざっくりと掴んでいただけたのではないでしょうか。

世界のトレンドを日本に持ち込むにはどんな工夫が必要なのか、また、日本で開発したアプリを世界に売り込むにはどうすればよいかなど、今後の戦略を考えるヒントにしていただければと思います。