五感の中で、最も研究が遅れているのが「嗅覚」。VRやAIなど、視覚や聴覚に訴えかける最新技術が数多く開発されて浸透している中でも、嗅覚に関するものはあまり知られていません。しかし最近、嗅覚にフォーカスした最新技術やマーケティング手法が続々と生まれています。“香り”がマーケティングにどのように活用されているのか、導入事例と共に見ていきましょう。

目次

  1. 香りの販促をデジタル化して検証する「香りリテールメディア」
  2. デジタル化した香りが旅行意欲を刺激
  3. 香りの特徴を分析して言語化する「KAORIUM」

香りの販促をデジタル化して検証する「香りリテールメディア」

POSレジなどを提供する東芝テック株式会社と、総合企画事業を展開する株式会社スコープの2社が共同開発したのが「香りリテールメディア」。2024年6月に、香りを活用した新しいマーケティング手法としてサービス開始を発表しました。

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出典:店頭の“香り”体験で売上1.66倍増 新たなマーケティング手法「香りリテールメディア」とは?

同サービスでは既存の小売店の棚に香りが噴射されるデバイスを設置し、AIカメラでその香りを体験した顧客の動きを撮影します。これをPOSデータと紐づけることで、柔軟剤や芳香剤などの販売促進を検証。結果として、何人が立ち止まり、どの香りをかぎ、最終的にどの商品を買ったのかをカメラとレジで分析できます。

利用手順は、顧客が棚に設置されたデバイスの表示から、試したい香りを選んでボタンをタッチするだけ。選んだ香りはデバイス横の穴から噴射器によって噴射されます。なお噴射器には、目の前の人にだけ香るように指向性のあるものを使用。他の商品に香りが移ることはありません。

2023年の実証実験では「販促物なし」の場合と比較して、「香りリテールメディア+サイネージでの販促」をした場合に売上1.66倍という結果を残しました。2024年6月に導入第1号としてスーパーマーケット2店舗で実施したのが、「ライオンコーヒー」の香りを店頭で体験できる販促キャンペーン「飲まないカフェ」。同キャンペーンでは、顧客の売り場での滞留時間が延びたほか、売上が前月比約2倍になるといった販促効果が現れた店舗もあります。

香りリテールメディアの導入によって、従来の香り見本では把握が困難だった、消費者の購買行動における香りの影響を分析することが可能に。さらに顧客の商品への興味喚起や販促にも効果が見られ、今後の展開に期待が高まっています。

デジタル化した香りが旅行意欲を刺激

2024年6月に開催された関西エアポート株式会社主催の「旅博2024in梅田」には、「デジタル化された香りを用いて旅行意欲を刺激する」新技術を生み出したHorizon株式会社が出展。パンフレットやP

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