PRとマーケティングは、お互いが遠い存在にあると思われがちです。しかし、市場が成熟している今、マーケターは消費者の購買行動や認識を変える力が必須となります。その力を養うためには、世の中視点となるPRの考え方が重要です。このインタビュー連載では、日本を代表する戦略PR専門家である本田哲也氏に、これからのPRについて伺います。

3回目は、インフルエンサーマーケティングが今後どのように変化していくかをお聞きしました。

フォロワー数重視から、フォロワーとの関係性が重視されるように

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ferret:インフルエンサーマーケティングではフォロワー数が重視されていたと思いますが、今はどのようなことが重視されているのでしょうか?

本田氏:以前はフォロワー数が重視されていましたが、今はフォロワー数以外のことも重要視されるようになりました。フォロワーの水増し問題などから、インフルエンサーの評価はフォロワー数からフォロワーとの関係の深さへと変化しています。

これから注目されるインフルエンサーは、自分のブランドのことをきちんと考えている人たちです。インフルエンサーというのは「こういうことを発信したい」という信念を持って活動しています。そのため、フォロワーにどう見られるかということを非常に気にします。自分の主張や考え方が近い企業に協力するようになるでしょう。

企業とインフルエンサーが対等になってくる

ferret:インフルエンサーと企業の関係はどのようになるのでしょうか?

本田氏:今まではよりフォロワー数が多いインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらい、高いリーチを獲得することが目的となっていました。どちらかというと、企業とインフルエンサーは雇用する立場と雇用される立場のような関係でした。これからは企業とインフルエンサーがコラボレーションする形が増え、対等な関係になっていくと思います。

ただし、マーケティング活動が、プロモーションやPR、マス広告キャンペーンと細分化されていったように、インフルエンサーマーケティングも同じようになるでしょう。プロモーションをしたい場合はフォロワー数が指標になったり、ブランディングを強化したいときはインフルエンサーとのコラボレーションになったりと目的によって変わってくると思います。

今後はインフルエンサープランナーという職種が増えていく

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ferret:著書『最新 戦略PR 実践編』でインフルエンサープランナーという職種が出てくるだろうと予想されていましたが、実際はどうでしょうか?

本田氏:出てきていますね。アメリカのPR会社ではインフルエンサーを専門にしている部門もあります。興味深かったのが、米系のPRグループでもある前職のブルーカレント時代に、アメリカのデトロイト支社からインフルエンサーの専門家が派遣されてきたんですよ。

ロサンゼルスでもニューヨークでもなくて、なぜデトロイトなのか不思議だったんですが、ゼネラル・モーターズやフィアット・クライスラー・オートモービル、フォード・モーター・カンパニーなどの大手自動車会社があるからなんですね。これらの自動車会社は早くからデジタライゼーションをしていたことから、インフルエンサーマーケティングにもいち早く取り組んでいたんです。だからデトロイトでは専門のチームができるほど詳しい人たちが多い。一昔前まで、PRの仕事をする上でメディアの人たちと一緒に仕事をしていない人は半人前だという考えがありました。しかし、今海外ではインフルエンサーの起用を専門にする人たちもいて、メディアとの仕事を一切経験していない人も多いんですよ。これからはインフルエンサーリレーションと言われるようになり、その分野が伸びてくるでしょうね。

日本も、アメリカほどではないですが、フリーランスでPRの仕事をしている人の中で、インフルエンサーを専門としている人が増えてきました。インフルエンサーを起用する会社も増えてきています。今後はインフルエンサープランナーが人気職業として高まっていくと思いますね。