課題は日本文化へのローカライズ

セールスフォース・ドットコムのセッションでは、セールスデベロップメント本部 コマーシャル事業部/スタートアップ戦略部 事業部長の鈴木淳一氏が代表して登壇しました。

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セールスフォース・ドットコムが日本法人を設立したのは米国での創業の翌年である2000年。以来、事業の成長を続けていたもの、創業当時から順風満帆に現在まで進んでいた訳ではありませんでした。
主な原因として、インサイドセールスにおける「海外のフレームワークのオリジナルをそのまま転用したこと」であると鈴木氏は言及をしました。

量だけを求めてしまい、仕事の質は低下、離職率は上昇

当時のセールスフォース・ドットコムは、インサイドセールスのKPIに、「アポイント件数」のみを設定していたものの、思うように売り上げが伸びず停滞していました。

KPIは本社のインサイドセールス部門が設定した数値をそのまま転用しており、海外では通用したKPIが日本では全く効果を持たず、我々はテレアポ部隊化してしまっていました。結果的に、他部門からはアポを取っているだけと低評価を受け、インサイドセールスのプレイヤーの仕事の質が下がると共に離職率も上がってしまいました」(鈴木氏)

本社での成功の要因として、そもそも本社では「セールスフォース・ドットコム」の圧倒的な知名度や、インサイドセールス自体の評価は高く、アポイント件数を指標にしてテレアポ部隊になったとしても、価値があるものとして十分組織化されていました。
そのため、日本でインサイドセールスを有効化させるためにはKPIを再設定させる。つまり、日本の文化にあったローカライズが必要でした。

営業からマネージャーを登用し、マインドチェンジを図る

まず日本では、営業のプレイヤーをインサイドセールスのマネージャーへ登用し、インサイドセールスのプレイヤーのマインドチェンジの実施と、適切な人材配置の意識化をしました。

「前提として、アポイントをとるだけでなく、お客様のビジネスの成功に集中することをマインドとして持ってもらいます。加えて、自分自身が経験したことを元にインサイドセールスを経験した外勤営業は確実に売れ、インサイドセールスは営業力を鍛える地位の高い仕事だと意識してもらいます。また、ただアポイントを取れば良いと、質の低いアポ取り電話をしてしまっていたインサイドセールスに対して、外勤営業で培ったノウハウを活用し、アポイントの質を高めようとしました。こちら側の一方的なアポイントではなく、双方がアポイントを取りたいと思っていただける様に、想定課題、事前準備、ロールプレイングをインサイドセールスのプレイヤーの横でサイドバイサイドに実施し、ノウハウを醸成しています。」(鈴木氏)

また、各企業でインサイドセールスを立ち上げる際に、御社で外勤営業を経験した人材をマネージャーに登用することをおすすめすると鈴木氏が言及するように、インサイドセールスの立ち上げにおいては、営業経験を持った人材を活用し、ノウハウをいかに固められるかが重要です。

営業成果に直結したKPIで売り上げにコミット

セールスフォース・ドットコムは、KPIの指標がアポイント件数のみであった状態から、指標の数を増やす施策を行います。以下が加えた指標です。

有効会話数:お客様と会話をした数
有効商談数:自分が決めたアポイントや、外勤営業が訪問し有効と認めた数
受注金額:自分のアポイントが実際に受注された際の金額

当時は、アポイント件数に加えた上記3つを指標で管理し、ただのテレアポ部隊から脱却する仕組みにしました。このように、ただ電話をするだけの質を求めない営業スタイルではなく、受注に向けた意味のある目標を指標に設定する必要があります。

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その後セールスフォース・ドットコムでは、アポイント件数はただ数をこなすだけで生産性が無いとし、指標から外し、KPI指標を「有効商談数」「新規受注数」の2つに減らし、改善を図りました。「有効商談数」は量の質のKPI、「新規受注数」は質のKPIであり、各プレイヤーの性質によって成果を残すKPIが分かれるため、各々に合うKPIへコミットができる仕組みです。質と量の両軸でKPIを設定する必要があると鈴木氏は言います。

最終的に、商談確定数・新規受注数を最終KPIに設定し、質を求める形にすることで、営業成果に完全直結する仕組みをセールスフォース・ドットコムは作り上げました。結果、売り上げは徐々に右肩上がりで伸び、停滞期からの脱却を達成しました。

このように仕組みが出来上がった後、セールスフォース・ドットコムは他部門との連携に力を入れはじめ、そこで「The Model」を活用しました。

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