2023年3月7日、株式会社船井総合研究所と株式会社ベーシックにより合同で開催されたオンラインセミナー2023年時流 経営&最新マーケティング』では、最新のトレンドを踏まえた経営戦略やマーケティング事例が紹介されました。

今回は、当日に参加できなかった方向けに、セミナーの内容を抜粋して紹介します。

プロフィール

秋山 勝 氏
株式会社ベーシック 代表取締役
2004年にベーシックを創業し、これまで50以上の事業を創造。現在は、Webマーケティング領域に特化し、BtoBマーケティングのお困りごとをまるっと解決するサービス「ferret One」、フォーム作成管理ツール「formrun」、国内最大級のWebマーケティングメディア「ferret」を展開。
小梢 健二 氏
株式会社船井総合研究所 事業開発室 マネージャー 
船井総合研究所に在籍15年。経営コンサルタントして10年以上活動し多くの企業の業績向上へ貢献した。社内で新規事業を立案し、現在は経営者向けWEBメディア「社長online」の事業責任者。 経営者向けのコンテンツを作成しているため、様々な企業の成功事例を知ることができている。

目次

  1. 中堅中小企業の最先端で起こっていること
  2. 好調企業の成功事例紹介
  3. デジタル活用で「高付加価値・高生産性」の実現を!

中堅中小企業の最先端で起こっていること

小梢:
まずは、中小企業の経営を取り巻く環境の変化や、その中で重要となる考え方について紹介します。

  • デジタル化の促進(価値観、買い物などの生活、働き方)
  • パーパス(企業の存在意義・志の重要性が高まる)
  • 従来からの大きな社会トレンド

2020年のコロナショックをきっかけにデジタル化が促進されました。買い物などの生活様式、働き方なども、いまやデジタルなしでは考えられないという状況です。

また、昨年ごろから「パーパス」という言葉も注目され始めました。ただ働くのではなく、企業の存在意義や何を残していくかが注目されるなど、新たな価値観が出てきています。

さらに、従来からある人手不足や高齢化、人口減少、地方創生、グローバル化なども、抗うことが難しいトレンドです。スタートアップの促進やM&A、Web3.0の拡大、SDGsやカーボンニュートラルなども大きな社会トレンドとなっています。

2023年の経営のキーワードは「生産性向上」

小梢:
社会が大きく変化し、今まで有効だったビジネスモデルが通用しなくなってきました

例えば、100円均一のショップは社会の変化の影響を大きく受けているビジネスの一例です。100円均一という業態自体が通用しなくなったわけではないものの、物価の高騰などの影響により、体力のない一部の事業者は廃業に追い込まれています。200円や300円など、従来よりも高い値付けを行わざるを得ないケースも出てきました。

また、人手不足により、飲食店で配膳ロボットの活用が進んでいることも、社会の変化の影響を受けている事例のひとつです。

その中で重要なキーワードが「生産性の向上」です。船井総研では生産性を向上するために3つの視点を重視しています。

2023年時流 経営&最新マーケティング-投影資料1

一つ目は「企業規模の拡大化」です。スケールを拡大すると、大量仕入れによる原価削減など様々な優位性が出てきます。

二つ目は、「商材やサービスの高付加価値化」です。高単価商品を扱うことで、一人あたりや時間あたりの売上を高められます。

三つ目が、本セミナーで扱うトピックでもある「デジタル活用による高付加価値・高生産性の実現」です。これが一番取り組みやすく、比較的早く効果が期待できます。

業績が好調な企業の「2023年の経営戦略」

小梢:
業績が好調な企業の経営戦略をいくつか紹介します。

1. DXと育成の仕組み化で、人に投資する

ある住宅不動産会社では、DX活用人材育成の仕組み化により、強い人材の短期育成を図っています。マニュアル整備によるビジネスモデルの仕組み化や、営業を支援するSFAツールの導入、動画マニュアルによる研修など、「人に投資する」戦略に紐づいた取り組みにより、毎年15%成長を達成しています。

2. 時流に適応したデジタル関連事業を第二本業に

別の企業では、時流に適応した第二本業で成果を上げています。ある居酒屋企業では、コロナショック以降、料理のノウハウを生かした冷凍食品の販売で売上を伸ばしました。ほかにも、建設業でビル建設ではなく倉庫建設に注力したり、美容・コスメ業で店舗販売からEC販売にシフトしたりと、時流に合わせてデジタル事業を展開させた企業が好調です。

3. デジタル関連の新事業開発

デジタルを生産性向上に活かす戦略として、デジタル関連事業を新規で立ち上げた例もあります。インドアゴルフは、スコア100~70のゴルフ中上級者をターゲットとしたゴルフ練習場で、「弾道計測器」というデジタル機器が設置されています。競合他社との差別化ができ、投資回収も早いことが、この業態の特徴です。デジタル活用によりほとんど無人で運営され、高い収益性を実現しています。

このように、業界を問わず、時流に応じて経営戦略を最適化することが重要です。市場の状況や購買行動の変化に合わせ、デジタル活用で高生産性を実現していかなければ生き残れない時代になっていると言えるでしょう。

好調企業の成功事例紹介

小梢:
ここから、デジタル活用で成果を上げている具体的なマーケティング事例、オペレーション事例を紹介します。まず私から事例を紹介し、株式会社ベーシックでの取り組みや事例については秋山社長から紹介をお願いします。

秋山:
よろしくお願いします。

客層別MA(マーケティングオートメーション)で高い開封率や反響を実現

●ある住宅販売店の事例

小梢:
最近ではBtoBだけでなくBtoCでも、MA(マーケティングオートメーション)を取り入れる企業が増えています。ある住宅販売店では、一般的なMAからもう一段階施策を細分化し、客層別にメールの内容を分けることで年間集客数を約1.5倍に増加させました。

2023年時流 経営&最新マーケティング-投影資料2

小梢:
具体的には、まだ温度感が低い見込み顧客に対して、第三者評価を軸にしたメールを送っています。情報収集をする段階では客観的な情報を伝えるメール、来店を決断する段階では安心感や親近感を訴求するメールというように、送る内容を客層別に分けることで開封率や反響を高めました。

さらに、来店率や契約率の高い見込み顧客の条件をデータとして把握したことも、成功要因です。「展示場ページを7日間以内に5回以上閲覧した」、「イベント告知メールを3日間に2回以上閲覧した」などの条件に合致したユーザーに営業担当者がアプローチし、来場や受注を獲得しています。

●株式会社ベーシックの事例

小梢:
株式会社ベーシックでは、MAについてどのような取り組みをしているのでしょうか。

秋山:
弊社でも、ニーズ別の情報提供に取り組んでいます。送り手側の考えではなく、受け手側の立場に立って内容を考えることが、重視しているポイントです。受け手側の悩みや解決したい課題に合わせて伝える内容を変えています。

例えば、以前開催したセミナーの集客では、マーケティング担当者の悩みに沿ったアプローチで非常に多くの反響が得られました。

2023年時流 経営&最新マーケティング-投影資料3

秋山:
マーケティング活動していく上において、多くの担当者が抱えている悩みは「与件の整理」です。社内で上申する時に、現状やるべきことや予算感、手に入れたい成果などを整理したいものの、社内に相談できる相手がいないというケースがよくあります。そうしたことでお悩みではないですかというメッセージで、悩みを解決するためのセミナーを開催したところ、多くの参加者が集まりました。

悩みを抱えているターゲット層が狭くても、その方々にとって非常に有効な情報源になれば、信頼感を醸成することが可能です。客層別にメールの送り分けを行うことが、この企業からの情報は信頼できるという認知につながります。

RPAによる生産性向上で5,000万円以上の利益を創出

小梢:
次に、デジタルを使った生産性向上について、船井総研の事例を紹介します。あるバックオフィス企業では、PC作業を自動化できるRPAの導入で大きな成果を上げました。

好調な中小企業の経営・マーケティング事例3.jpeg

その企業では、4年前からRPAによる事務作業の自動化に取り組んでいます。1年目には16個の業務で合計854時間分の作業を自動化できました。以降、事務スタッフがRPAオペレーターとして転身し、4年目には約1万2,000時間もの業務を削減しています。

人件費に換算した場合、コスト削減効果は5,000万円程度です。さらに、同社のスタッフがRPAコンサルタントとして活動を始め、営業利益がさらに増えました。

この事例のように、既存の業務負荷をRPAで減らし、新たに付加価値の高い仕事を始めることが一人あたりの生産性を高めるために重要です。

年間200件だった問い合わせが2か月で1,000件に増加

秋山:
次に、弊社のツールである「ferret One」の活用により生産性を向上した事例を紹介します。ferret Oneは、Webサイトの作成や更新が簡単にできるツールです。BtoBのサイト運用に特化した機能で、マーケティング活動の生産性を向上できます。

一般的に、Webサイトなどのコンテンツを作る時には、外注業者や社内エンジニアなど一定のリソースが必要です。ただ、指示書の作成や内容チェックなどのコミュニケーションに多くの手間がかかります。

自ら考えたものをすぐ実装できるferret Oneのツールでコンテンツ作りを内製化すれば、非効率なやり取りを無くすことが可能です。

2023年時流 経営&最新マーケティング-投影資料5

秋山:
また、コミュニケーションコストの削減だけでなく、コンテンツの更新による反響の改善にもferret Oneが貢献できます。ある企業では、年間200件だった問い合わせがferretOneの導入から2か月で1,000件近くまで増加しました。

小梢:
200件から1,000件への増加は非常に大きな変化ですね。具体的には、何が変わったのでしょうか。

秋山:
その企業はマーケットでは有名な会社だったのですが、Webサイトがかなり前に作られたもので、問い合わせしにくい内容でした。ferret Oneの導入により、サイトのコンテンツ時代に合わせた内容に変更したことがポイントです。

デジタル活用で「高付加価値・高生産性」の実現を!

小梢:
デジタル活用で生産性を向上することは、今最も求められていて、かつ効果がある取り組みです。ぜひデジタル活用で、業務負荷の削減や付加価値の向上に取り組みましょう。

秋山:
マーケティングの内製化や生産性向上に課題をお持ちの方は、ぜひ「ferret One」にご相談ください。

BtoBマーケティングをこれ1つで|ferret One

BtoBマーケティングをこれ1つで|ferret One

戦略設計からサイト運用、必要な施策の実行まで、BtoBマーケティングに特化したツールとノウハウの提供で解決します。

小梢:
また、今回お伝えした以外の事例などさらに経営情報収集したい方には、弊社が運営する経営者向けメディア「社長online」をぜひご活用ください。本日はありがとうございました。