デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation、DX)事例

ここからは、実際の企業のデジタルトランスフォーメーションの事例を紹介します。
紹介するのは以下の4つの企業です。

  • 三井住友銀行
  • 三菱電機
  • バッジェリー・ミシュカ
  • 三越伊勢丹ホールディングス

1.三井住友銀行

三井住友銀行では、年間35,000件を上回るお客様の声を分析・見える化しています。従来では、このお客様の声をまとめ上げるだけで多くの人件費と時間がかかっていました。

そこでテキスト含意認識技術を導入し、人の力で行うよりも効率的に高度な分析が可能になったのです。それだけではなく、今まで気づかなかった新たな知見を獲得することにもつながっています。

2.三菱電機

三菱電機ではIoTをレーザー加工機に活用。これによって、加工予測時間や障害の予測がより正確になり迅速な顧客サービスにもつながっています。

三菱電機サービスセンターとレーザー加工機の稼働工場・データセンターがそれぞれ連携をとっており効率的かつ正確なリモート機能を実現しています。

3.バッジェリー・ミシュカ

バッジェリー・ミシュカはニューヨークの高級ファッションブランドで 、ランウェイのモバイルアプリを発表したことが話題になりました。このモバイルアプリによって、ショーに出ているモデルに対してのリアルタイムな反応を可能にしています。

ファッション業界は、発表から小売までの期間が長くトレンドの予測が難しい業界で、ショーを見られるのも一部の限られた人だけでした。しかし、アプリによって実際に商品を購入する消費者のフィードバックを得ることができるようになったのです。

そのデータを活かして、生地の発注やデザイン展開にも活かすことが可能になり、より精度の高い販売促進を行うこともできるようになりました。

4.三越伊勢丹ホールディングス

三菱伊勢丹ホールディングスは、大手百貨店にITを活用するという成長戦略を実施しています。実店舗に加えECサイトにも豊富な品揃えやパーソナルスタイリングサービスを実現しており、オンラインとオフラインの融合を見事に果たした事例と言えるでしょう。

ECサイトにおける在庫情報や取引先の情報連携も徹底しており、蓄積したデータをより有効に活用するような動きも出ています。

デジタルトランスフォーメーションの課題

ここまでデジタルトランスフォーメーションの非常に有効な点を説明してきましたが、導入には課題もあります。デジタルトランスフォーメーションを導入するにあたって、現場で懸念されている課題は以下の3つです。

  • 既存システムとの連携
  • スムーズな情報共有
  • 変革疲れ

デジタルトランスフォーメーションの導入と同時に、これらの課題を認識しておくことで目標や注意点が明確になるでしょう。

1.既存システムとの連携

すでに社内で導入しているシステムが複雑なため、デジタルトランスフォーメーションの導入が進まないというケースもあります。特に、部署や部門単位での修正やアップデートが行われいる場合は、全体でのデータの一括管理がうまくいかないことも。

このように、システム面での社内全体の連携がうまくいかないため、デジタルトランスフォーメーションが進まなくなってしまうのは課題の一つでしょう。

2.スムーズな情報共有

システム面の連携がうまくいかないことに関係して、IT 担当者や現場での反発や混乱を招くこともあります。これは、システムの管理が部署やその担当者に付随していることから起こるのです。
また、現場や担当者がデジタルトランスフォーメーションの必要性や既存システムの問題点を明確にしたとしても、経営陣との意識に差がある場合も。

経営陣との間に意識の温度差があれば、当然デジタルトランスフォーメーション化は進めることができません。部署・現場・経営陣の情報共有や、認識のすり合わせは不可欠と言えるでしょう。

3.変革疲れ

いわゆる変革疲れにも注意が必要です。変革疲れとは、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする変革を計画する企業が途中で挫折してしまうことです。やはり、1から新しい仕組みを作っていくことは非常に大変なもの。

実際に海外の企業でも変革疲れは起きており、今後日本企業がデジタルトランスフォーメーションを推進していくにも大きな課題となるでしょう。変革疲れを防止するには、変革の目的や課題を認識してデータを十分に活用する方法を身に付ける必要があります。