企業が販売する商品やサービスは大きくわけて2つ存在し、企業・法人(Business=BtoB)向け消費者(Customer=BtoC)向けというターゲットの違いがあります。

今回はBtoBBtoCの意味、向いている商材やマーケティング手法などBtoBBtoCの具体的な違いを解説します。

目次

  1. BtoB・BtoC・CtoCの定義
  2. BtoBtoC(B2B2C)とは
  3. BtoBとBtoCの具体的な違い
  4. BtoB・BtoCマーケティングを成功させるためのポイント
  5. BtoBとBtoCの違いを理解してマーケティング戦略を立てよう

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BtoB・BtoC・CtoCの定義

図_BtoB/BtoC/CtoCの違い
BtoBはB2B、BtoCはB2C、CtoCはC2Cと表記されることもあります)

BtoB(B2B)とは

BtoB(Business to Business)とは、企業間取引を意味し、企業が企業に向けて商品やサービスを提供する取引を指します。「ビートゥービー」「ビーツービー」と読みます。

BtoBはターゲットが限定されており、取引先も固定されている場合が多いため、TV広告などのマス向けプロモーションは少ない傾向にあります。

新規顧客獲得施策を行う場合は、リスティング広告テレマーケティングなど対象企業に直接アプローチできるような集客方法を取るのが一般的です。

BtoBに関わるビジネスは「BtoBビジネス」と呼ばれています。

●向いている商材

BtoBに向いている商材の例は、以下の通りです。

商材 具体例
オフィス用品 文具、印刷用紙、トナーカートリッジ、コピー用紙
業務用機器 産業用ロボット、発電機、工具類
ソフトウェア・アプリケーション 業務の自動化ツール、会計ソフト、CRM(顧客関係管理)、人事管理システム
コンサルティングサービス 人事コンサルタント、ITコンサルタント、経営コンサルタント

BtoBで扱う商材は、大きく「有形商材」と「無形商材」の2つに分類できます。

有形商材にはオフィスの消耗品や業務に必要な機器・設備などがあり、無形商材はビジネスプロセスの改善・業務の自動化を支援するツール、企業の業務改善・戦略策定サポートなどが代表的です。

BtoC(B2C)とは

BtoC(Business to Consumer)とは、企業が個人に対して商品・サービスを提供する取引を指します。例えば、家電メーカーやアパレル、デパートなど、一般消費者に向けてモノを売る企業がBtoCです。「ビートゥーシー」「ビーツーシー」と読みます。

消費者の認知度が重要であるBtoCの場合は、マス向けのプロモーションを軸に顧客獲得施策を行う場合が多く、利用する媒体はテレビ、雑誌、新聞などのマスメディア看板広告など、多くのユーザーにリーチできるものがメインです。

BtoCの場合、BtoBのように企業間での継続的な取引ではないため、個人が商品を購買する時にいかに選んでもらえるかが重要となります。

例えば「ガムを食べたい」というニーズを持った消費者に自社商品を選んでもらうためには、「ガムといえば◯◯」というイメージを持ってもらうためのブランディング施策が不可欠です。そのため、多くのBtoC企業は認知拡大とブランディングのために、マス向けの広告に予算を投下しています。

関連記事:値下げ競争から脱却するためには不可欠!「ブランディング」の基本と重要性を解説

●向いている商材

BtoCに向いている商材の例は、以下の通りです。

商材 具体例
衣料品 カジュアルウェア、スポーツウェア、ビジネスウェア、子供服
食料品 食品、調味料、飲料
家庭用電化製品 テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、掃除機
化粧品 メイクアップ用品、スキンケア用品、フレグランス
雑貨 書籍、家具、生活雑貨

BtoCは個人の消費者を対象としているため、購買してすぐに使用できる有形商材の取り扱いが中心となっています。

CtoC(C2C)とは

CtoC(Customer to Customer)とは、一般消費者が一般消費者にモノを売るビジネスモデルを指します。近年注目されている取引モデルです。「シートゥーシー」「シーツーシー」と読みます。

フリーマーケットはまさしくCtoCの代表的ビジネスモデルであり、古くから存在してはいましたが、ここ数年オンライン上でのCtoCサービスが盛り上がりを見せています。

電子商取引に関する市場調査の結果_CtoC.png
引用:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省

実際、令和3年度に経済産業省が実施した調査によると、2019年には約1.7兆円だった市場規模が2021年には約2.2兆円規模まで市場が拡大。その背景として、新型コロナウィルス感染症流行に伴うインドアで楽しめるエンタメ・ホビー系の需要増大などがありました。

また近年では、個人と個人・企業等の間でモノ・場所・スキルなどを売買・貸し借りする「シェアリングエコノミー」の浸透によってメルカリや楽天ラクマに代表されるモノの売買のみならず、場所やスキルなど取引の対象は多岐にわたります。例えば民泊仲介サービスのAirbnbや、自分のスキルを売買できるココナラなどもCtoCビジネスの代表例です。

●向いている商材

CtoCでは、主に以下のような商材が扱われます。

商材 具体例
中古品 家具、家電、古着、スポーツ用品、自動車、楽器
ハンドメイド品 アクセサリー、洋服、インテリア雑貨
個人サービス Webサイトのデザインや制作、料理教室、翻訳サービス、コンサルティング

CtoCで取引される有形商材は、中古品ハンドメイド品が中心です。有形商材だけでなく、各種業務の代行サービスといった無形商材の取引も行われます。

BtoBtoC(B2B2C)とは

上記3つのビジネスモデルに加え、BtoBtoC(Business to Business to Consumer)というモデルも存在します。

BtoBtoCとは、企業が消費者へ商品を届けるまでの間にもうひとつ企業を介するビジネスモデルのことです。BtoCを支援する企業や、企業と消費者をつなぐ問屋業や流通業などがこれにあたります。

具体的には、ECサイトの制作会社やマーケティング支援の会社などが挙げられます。

BtoBとBtoCの具体的な違い

ここではBtoBBtoCについて、以下の5つの項目からそれぞれの違いを比較します。

  • 商品単価
  • 商品を選ぶ基準
  • 意思決定者の数
  • 購買に至るまでのプロセス・期間
  • マーケティング手法

商品単価

BtoBBtoCでは、商品の単価が異なります。

BtoBの場合、取引先が企業であることからBtoCよりも商品単価高額となるケースが多い傾向にあります。単価は扱う商材によって異なりますが、数十万~数百万円となることもあるため、購買・契約してもらうための営業活動が重要です。

一方でBtoCは、個人で購入できる比較的低価格な商品が多い傾向にあります。価格が少額な分、なるべく多くの消費者に商品やサービスを購入してもらえるような工夫をすることが重要です。

商品を選ぶ基準

BtoBBtoCには、商品を選ぶ基準にも違いがあります。

BtoBでは、商品やサービスを選ぶ際に「企業業績や利益に貢献するものかどうか」という点が重視されます。費用対効果や商品そのもののコスト・品質も調査し、合理的な判断のもとで商品を選定・購買します。

対して、BtoCでは商品を選ぶ際に、商品に対する自身の感情や感覚などが優先されます。衝動買いといった行動も見られるなど、BtoBと比べて情緒的・感覚重視な購買行動が多い傾向にあると言えるでしょう。

法人向け営業と個人向け営業との基本的差異.png
出典:企業(法人)向け販売と、消費者(個人)向け販売では、売り方はどのように違うのでしょうか?

意思決定者の数

BtoBBtoCには、意思決定者の数にも以下のような違いがあります。

BtoB:意思決定者が複数人(担当者、部門長、役員、社長など)
BtoC:意思決定者は1人(消費者)

基本的にBtoBでは、商談や商品の選定を行う担当者とは別に、商品の購買を決定する決裁者が存在します。社内稟議にかけられれば、購買の意思決定に複数人が関わる場合もあるでしょう。

対して、BtoCの購入決定者は消費者本人であることがほとんどです。家族や友人・同伴者など身近な人物が購入行動に関係するケースもありますが、最終的な意思決定権は消費者本人が持ちます。

購買に至るまでのプロセス・期間

BtoBBtoCでは、購買・購入に至るまでのプロセス・期間も異なります。以下は、BtoBにおける一般的な購買プロセスです。

【BtoBの購買プロセス】
1. 問題・課題を認識
2. 解決方法の模索・情報収集
3. 商品・サービスの認知
4. 商品・サービスに関する情報収集や資料請求
5. 比較検討
6. 社内稟議・承認
7. 購買・契約締結

先に挙げたように、BtoBは商品の単価が高く複数の意思決定者が存在することから、購買に至るプロセスが複雑化しやすい傾向にあります。購買までの期間は1~2年が目安と言われており、3年以上かかることも珍しくありません。

対して、BtoCの購入プロセスは以下の通りです。

【BtoCの購入プロセス】
1. 問題・課題を認識
2. 解決方法の模索・情報収集
3. 商品・サービスの認知
4. 比較検討
5. 購入

BtoCは商品単価が比較的低く、購入は消費者本人の意思に委ねられるため、購入に至るまでのプロセスはBtoBよりも簡素となる傾向にあります。購入に至るまでの期間も即日〜数日ほどと、短いのが特徴です。

マーケティング手法

BtoBBtoCにはマーケティング手法の違いもあるため、ここではそれぞれの特徴について解説します。

● BtoBは量より質でじっくりと

商品単価が大きく、購買プロセスが長期化しやすいBtoBマーケティングは時間・費用などのコストをかけ、特定の企業や部署・担当者に対してピンポイントでじっくりと商品を訴求する必要があります。

また、企業間の取引においては時間をかけて信頼関係を築くことも重要です。セミナーや問い合わせ、営業などを接点として訪問・電話・メールなどの手法で定期的・長期的にアプローチを続けます。

多くの企業にアプローチするよりも、長期的な取引につながる企業へのサポートやアプローチをじっくり行うことがBtoBマーケティング手法の特徴です。

● BtoCは集客数を重視

商品単価が低く、消費者と長期の取引関係を築きにくいBtoCマーケティングでは、多くの消費者に商品を認知してもらうことが最優先です。広告やSNS、オウンドメディアを駆使して不特定多数の消費者に情報を発信する「マスマーケティング」が施策の中心となります。

そのほか、購入者の口コミも強力なマーケティングツールにもなるため、口コミを増やすキャンペーンなども有効です。

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BtoB・BtoCマーケティングを成功させるためのポイント

ここでは、 BtoBBtoCマーケティングを成功させるための具体的なポイントを解説します。

BtoB:専門性の高い情報発信やコンサルティング活動がカギ

BtoBマーケティングを成功させるためには、以下の5つのポイントを重視しましょう。

ポイント 概要
ターゲット企業の特徴を把握する BtoBマーケティングでは企業単位での取引がメインとなるため、ターゲットとなる企業の業種や規模、業務内容、課題などを正確に把握する
課題解決のソリューション提供を重視する 複数の意思決定者を納得させられるよう、顧客が抱える問題やニーズに対して、自社の商品やサービスがどのように役立つかを明確に伝える
専門性をアピールする 企業に対しての提案・コンサルティングが求められる場合が多いため、専門的な知識や技術力をアピールする
イベントやセミナーを活用する 直接的に接触する機会を設けることで、顧客のニーズをより正確に把握するとともに、信頼関係を構築できる
コンテンツマーケティングを展開する 自社が持つ専門的な知識・情報をもとに、ブログやSNSなどを通して顧客にとって有益なコンテンツを提供することで、信頼関係を築ける

BtoBマーケティングに取り組む際は、自社を選んでもらえるよう専門性の高い情報発信を行い信頼性を高めることが重要です。また、長期的な取引関係を続けるためにも、企業が抱える課題に合ったサービスを提供しましょう。

BtoC:消費者のニーズに適したアプローチを

BtoCマーケティングのポイントは以下の通りです。

ポイント 概要
ターゲット層の特徴を把握する ターゲットとなる消費者の属性や行動特性、ライフスタイルなどを正確に把握することで、ターゲット層に合わせた訴求やプロモーションが可能となる
商品やサービスの魅力をアピールする 消費者のニーズや価値観に合わせたプロモーションを展開することで、購買意欲を高められる
オムニチャネル展開を行う ECサイトやSNS、実店舗など、消費者が利用する様々なチャネルを活用して接点を増やす
キャンペーンやイベントを展開する 消費者にとって魅力的で参加しやすいイベントやキャンペーンを展開することで、購買意欲を高められる
リピート購入を促進する 特典やポイント還元などの特典を付与することで、消費者の満足度を高めるとともにリピート購入を促す

消費者の購買意欲を高めるには、ターゲット層に合わせた訴求・プロモーションを行うとともに、キャンペーンやイベントなども活用しましょう。また、BtoBと比べてリピート率が低い傾向にあるため、購入後のフォローに力を入れることも重要です。

BtoBとBtoCの違いを理解してマーケティング戦略を立てよう

BtoBBtoCには、対象とする顧客はもちろん、商品を選ぶ基準購買・購入に至るまでのプロセスなど様々な点に違いがあります。

さらにマーケティング手法も異なるため、自社が取り扱っている商材やサービス、顧客の種類に合ったマーケティング戦略を立てましょう。

BtoBマーケティングにおける戦略設計や各種施策のノウハウについては、以下の資料にて詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。

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