近年、盛り上がりを見せているeスポーツ。ゲームで数億円ものお金を稼ぐプレイヤーが出てきています。今やゲームは娯楽ではなくスポーツとして捉えられ、プレイヤーは、野球選手やサッカー選手と同様に立派な職業へ変化しました。

eスポーツとは

eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略で、コンピュータゲームをスポーツ競技とした場合の呼称です。インターネット経由やローカルネットワーク上でゲームを行い、順位や勝敗を競い合います。近年ではその高まりから、オリンピック競技の追加種目として検討されるほど、スポーツ業界で市民権を獲得し始めています。

eスポーツの市場規模

日本のeスポーツ市場は*2017年度は3.7億円程でしたが、2018年には48.3億円となり、1年で13倍になりました。*今後も市場は急拡大を見せると予想されています。

最近ではその盛り上がりから日本eスポーツ連合の発足やプロライセンスの発行開始など1つの業界としての環境整備が整いつつあります。さらに、マスコミによるeスポーツの取り扱いも増え始めており、紙媒体での特集やeスポーツを取り上げたテレビ番組なども始まっています。

参考:2018年日本eスポーツ市場規模は48.3億円と推定 ~Gzブレイン発表~

eスポーツの種目

eスポーツはジャンルごとに分かれていて、賞金もジャンルによって偏りがあったりします。世界的に賞金額が高いジャンルはMOBAと言われるものです。

FPS/TPS

シューティングゲームのこと。FPSは画面が一人称視点のもので、TPSは三人称視点のものです。日本では三人称視点のシューティングゲームが人気があります。他にはSPSと呼ばれる二人称視点(自分の視点と敵の視点)のタイプもあります。一人で戦うのではなく、4,5名がチームとなって相手チームと戦う種類のゲームが多いです。『Call of Duty:Infinite Warfare』や『Halo 5:Guardians』が有名なゲームです。

MOBA

MOBAとは、3対3や5対5などでチーム同士で相手の拠点を攻撃し、相手の陣地を奪い合うゲームです。ゲームでMOBAが確立したのは遅いですが、比較的多くのMOBAがeスポーツに採用されており、賞金額も上がっているジャンルです。League of LegensやDotA Allstarsなどがあります。

RTS

RTSとは、real time strategyの略称です。自らが主観的にプレイするゲームというよりも、俯瞰しつつ様々な戦局に対応しながら戦略を練るゲームです。戦いはリアルタイムで行われるため、参戦していない間でもゲームが進行するので、大局を見通す力が重要となります。

格闘ゲーム

一人で一人のキャラクターを操作して格闘するゲームです。昔ながらのゲームと言えば、このジャンルで日本ではストリートファイターや鉄拳、大乱闘スマッシュブラザーズなどがあります。日本で格闘ゲームは人気のeスポーツの1つです。

スポーツ

一人で複数名のキャラクターを操作しながらスポーツを行うゲームです。日本人にとっては、こちらもプレイし慣れているジャンルなので格闘ゲームと同様に日本では人気です。ウイニングイレブンや実況パワフルプロ野球が代表的なeスポーツに採用されています。

パズルゲーム

ルールがシンプルなので、ゲーム経験の浅い方でも楽しめるゲームです。単純明快なので、見ている方も理解しやすいです。ぷよぷよやテトリスなどがあります。

DCG

カードゲームをオンライン対戦可能にしたのがDCGです。一人で対戦でき、かつ参加者も多いので日本国内では盛り上がっているジャンルです。Shadowverse、HearthStone、MTGaが代表的なゲームです。

参考:今さら聞けない「eスポーツとは何か」? ゲームがオリンピック種目になり得るワケ

競技人口

eスポーツが盛り上がっている中、競技人口も拡大中です。
一部の推測データでは世界中で1億3000万人ほどが競技者だと言われていますが、今のところ正確な統計データは発表されていません。国別にみると人口の多い中国やeスポーツを早期に取り入れたアメリカで競技者が多いです。日本の競技者は2018年時点で120名程度であり(JeSUが正式に発行したプロゲーマーライセンスから勘案)、他国と比較すると競技者人口はかなり少ないです。

参考:eスポーツの競技人口はどのくらい?世界各国を徹底比較!中国だけでも3.5億人に到達!?

eスポーツの賞金

eスポーツの賞金は主にスポンサーの広告や観客のチケット代などのイベント売上から充当されます。そのため広告額やイベント売上額により、賞金はバラバラです。人気のイベントやゲームの場合はかなり高額な賞金が期待できます。

例年、高額賞金として有名なeスポーツイベントが「The International」です。こちらの賞金額はベースとなる賞金額に加えて、ユーザーが購入した観戦チケットや課金アイテムの売上も賞金に充当されるので高額な賞金額を実現しています。また、最近注目を浴びているイベントが『Fortnite World Cup』です。ゲームがリリースされてから3年余りしか経過していない「フォートナイト」ですが、こちらは予選リーグの賞金1億円と決勝リーグの賞金32億円なのでざっと33億円が優勝賞金になります。

参考:eスポーツ賞金別ランキングまとめ 世界最高賞金タイトルは? <2019年版>

eスポーツの可能性

スタートしたばかりのeスポーツですが、市場拡大のペースを見るとビッグビジネスへと変貌する可能性が期待されます。注目度も高いので世界規模でビジネスを展開している大企業にとっては全世界向けの広告を出す恰好の市場となるでしょう。

eスポーツで広告出稿として注目

日本国内でも市場動向に敏感な企業はすでにeスポーツに関するビジネスを始めています。eスポーツに特化した会社も存在しており、今後とも新規参入企業は増え続けるでしょう。

CyberZ

サイバーエージェントの子会社であるCyberZはゲーム特化型の動画配信サイト「OPENREC.tv」やeスポーツイベント「RAGE」を運営しています。完全にゲームに特化したビジネス展開をしている企業です。

TOYOTAやSUBARUなどの自動車企業

自動車企業もeスポーツへの参入を始めています。まず、TOYOTAは北米『Overwatch』プロリーグ大会の公式スポンサーとなり、SUBARUは2017年に「SUBARU INVITATIONAL」というeスポーツ大会を主催しています。両社とも車離れが叫ばれている若者層にアピールする取り組みとして、eスポーツを位置づけています。

おやつカンパニー

スナック菓子の製造・販売を手掛けるおやつカンパニーは名古屋OJAとスポンサー契約を締結して、「RAGE Shadowverse Pro League」に参戦しています。「ゲームをしながらスナック菓子を食べる」という仕組みづくりのために、積極的な参入を行っています。

盛り上がりを見せるeスポーツ

動き始めたばかりのeスポーツ業界ですが、上述の通り、大企業がスポンサー参入を決めるなど市場は盛り上がりを見せています。お金が集まれば、イベントもさらにより良いものになるので好循環で市場が拡大しそうな予感があります。とくに若年層を取り込みたい企業は今後も続々とスポンサー参入を始めるので、若者を中心とした巨大市場になる可能性が十分にあります。