こんにちは、「PR TIMES」でプランナーをしている小林と申します。

11月23日は勤労感謝の日。2019年最後の祝日です。私が幼少の頃は働く父に何となくの感謝の言葉を伝え、その後は祝日を満喫していましたが、今や自分が働く側になると何をしていい日かよくわかりません。そもそも勤労感謝の日が生まれた当時と、私の父が働いていた時代と、そして今とでは「働く」ことへの考え方や価値観が変化しているからです。

それに応じるように最近では、企業・ブランドからの働き方に関する情報発信にも変化が感じられるようになりました。特に印象的だったのは、2019年8月のオイシックス・ラ・大地と『クレヨンしんちゃん』がコラボしたこちらの広告です。

かあちゃんの夏休みはいつなんだろう。

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ferret02.jpg©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK
参考:Oisix交通広告、クレヨンしんちゃんコラボ第三弾 みさえ、ひろしに続き、しんちゃんが登場 「かあちゃん、楽しい夏休みをありがとう。」

母親が家のことをするのが当たり前、とされていた時代にはきっと出てこないコピーです。そしてこの広告は、企業メッセージもあわせて展開されました。

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妻と小さな子どもがいる私には、決して他人事ではないメッセージでした。家族のために自分が「働く」ことが第一なのか、働くことを隠れ蓑にしていないか考える機会にもなりました。

全員が猛烈に「働く」時代ではない

「企業戦士」と呼ばれた猛烈に働くバブル期のサラリーマンを象徴するように、リゲインの「24時間タタカエマスカ」が1989年の流行語にも選ばれました。直接「働く」という言葉は使用していませんが、その時代の働き方を象徴する言葉だったと思います。実際に、この言葉に元気づけられ前向きに働くためのパワーになったという人も多かったのではないでしょうか。

一方で現代においてはインターネットの普及やテクノロジーの進化、法整備などに伴い、かつてなら少数派とされていた働き方が知られたり、新たに生まれたりと広がっています。スーツを着なくてもいいし、正社員じゃなくてもいい。フリーランスでもいいし、働くママもいれば育休を取得するパパもいる。勤務地に縛られないリモートワークや在宅ワーク、週5日で決まった時間に出社しなくてもいい。働き方が多種多様になった今、企業・ブランドの発信も一方向ではない広がりを見せています。

「働く」ことは、スーツを着たサラリーマン男性が猛烈に仕事することだけを指す訳ではありません。個々それぞれの働き方や生き方があり、それを認識した上で企業・ブランドは自分たちのポジションを明確にする必要があります。その上でアクションを起こし、賛同・共感の声や、時には反対の声も含めてユーザー・社会からのリアクションに結びつけていくのです。

個の価値観を尊重し、共感を生む企業メッセージ

そうしたアクションのひとつとして、冒頭で紹介したようなメッセージの形をとった情報発信が増えてきました。中吊り広告や新聞広告、企業のプレスリリースでも、語りかけるようなメッセージでストーリーや思いを伝えています。

決して製品の機能やベネフィットだけでなく、その背景や過程を丁寧に発信することで認知・理解を生み、SNSで共感の声などがあがっている事例を紹介します。

カフェ・ド・ボス/サントリー食品インターナショナル

ferret04.jpg出典:サントリー食品インターナショナル株式会社
参考:缶コーヒーの「BOSS」新シリーズ 登場!振って泡立つ「カフェ・ド・ボス ふんわりカプチーノ」、契約農園豆仕立ての「カフェ・ド・ボス ほろあまエスプレッソ」新発売

缶コーヒーのBOSSシリーズから登場した「カフェ・ド・ボス」のメッセージ。頑張って働くけど逆に一息のつき方がわからないという休憩迷子に向けて、仕事と休憩の区切りをつけるのにぴったりな一服提案。

味についてではなく、「サボる」をテーマにした思いを発信しています。岡崎体育さんとコラボした楽曲・MVも、昔のかっちりとしたサラリーマン像とはかけ離れた姿を見せてくれます。
参考:岡崎体育×BOSS『サボレボリューション』篇 2分28秒 岡崎体育 サントリー

2億円事件。/幸楽苑ホールディングス

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ferret06.jpg出典:幸楽苑ホールディングス
参考:2億円事件。

らーめん店「幸楽苑」が全従業員とその家族に向けて年末年始に掲出したメッセージです。「働く人の気持ち」、つまり社員とその家族のことを考え元旦休業に踏み切りました。1月1日の想定売上2億円を失ったとしても大切なものを守る、という意思と行動を示すことに。ちなみに2枚目の「今夜はおそば屋さんで年越しそばを食べてください」もユーモアがあって好きです。ちなみに休業しても月次売上は好調だったようです。

参考:大晦日15時閉店でもラーメン事業好調維持!

7月21日(日)は全直営店、閉店します/パタゴニア日本支社

ferret07.png出典:パタゴニア日本支社
参考:パタゴニア直営店、7月21日に閉店し、私たちの地球のための投票を促す

パタゴニアの新しいミッション「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」のもと、次世代に少しでも健全な地球を引き継ぐため、また、大切な人たちと語り合い投票に行くために、投開票日に直営店全店を閉店することを決定した広告。プレスリリースには、パタゴニア創設者イヴォン・シュイナードの「僕らには自然世界を破滅させるか、あるいは僕らの住処であるこの美しい青い惑星を救うかの可能性がある」という言葉も載せられています。

顔採用/伊勢半

ferret08.jpg出典:伊勢半
参考:20年新卒採用解禁!就職活動の不自由さに切り込む

就活メイクに悩む就活生に向けたメッセージ。就活ルールに縛られず「本当のあなたに会いたい」という思いを伝えています。履歴書やエントリーシートにも不自由があるということで、WebフォームだけでなくInstagramアカウントから写真・動画投稿でエントリーができることも特徴的な活動です。

#令和の就活ヘアをもと自由に/PANTENE

ferret09.jpg出典:プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社
参考:総勢139社の企業と共に、“画一的な就活ヘア”について社会全体で考えるプロジェクト始動・パンテーン#HairWeGo第4弾『#令和の就活ヘアをもっと自由に』

一人ひとりの個性の尊重について考える「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」キャンペーンの第4弾として、こちらは就活生に髪の自由を伝えるメッセージ。139社の賛同企業を集め、企業の人事担当からのメッセージもプレスリリースには盛り込む形で発信されていました。
参考:総勢139社の企業と共に、“画一的な就活ヘア”について社会全体で考えるプロジェクト始動・パンテーン#HairWeGo第4弾『#令和の就活ヘアをもっと自由に』

メッセージの方向性で、顔の見える企業・ブランドに

スーパーの食品では生産者情報がメッセージとして載っていることもあります。どんな生産者が、どんな思いで作ったか、その人の顔と背景を知ると興味や愛着が湧き、これまでとは違った楽しみ方やリピートにつながることもあるでしょう。

それと同じで、企業・ブランドも、自分たちがどんな人で、背景・思いを開示しポジションを示した上で、アクションをすることが重要です。正しい理解と、共感し継続して応援してくれるファンを増やすきっかけとなるでしょう。

働き方について考える

「働き方改革」をもっと知ろう!最低限押さえておきたい4つのキーワード

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今回は、働き方改革がビジネスに及ぼす影響とビジネスパーソンにとって押さえておくべき働き方改革のキーワードを解説します。 「働き方改革」は政府が掲げる重要な指針の1つであり、職場環境やこれからのキャリアにも関わってくるかもしれません。 ぜひポイントを掴んで、自分の働き方を考えるきっかけとしてみてはいかがでしょうか。