企業がSNSマーケティングを実施する際に、企業の公式アカウントを活用する例は多く見受けられる一方で、近年は個人アカウントを活用する企業も目にするようになりました。

たとえば、SNS運用代行等を事業とするテテマーチ株式会社は、多くの社員がTwitterの個人アカウントを所持しており、いいね報奨金制度*などの施策を行うことで、社員の個人アカウントを活性化させています。

今回は、個人アカウント活用を率先して進めるテテマーチ株式会社のコミュニケーションデザイン室 室長である福間昌弘大氏に、個人アカウントを活性化させた目的や、具体的な施策、実際の効果についてお話を伺い、Twitterを事業の成果へ繋げるためのポイントを探ります。

*Twitter、note、YouTubeの個人アカウントで発信した情報の、いいねやPV数に応じて社内で規定したインセンティブ報酬(1名最大5万円)が支給される制度。2019年5月13日(月)〜7月31日(水)の間、期間限定で実施された。

社員の成長と事業の成果に繋がり始めた

ferret:

そもそも初めから会社全体で個人アカウントの活性化を進めていたのでしょうか?

福間氏:
元々は会社全体でSNS戦略を進める予定はありませんでしたね。しかし、僕が個人でSNSを利用する中で、徐々にSNSをビジネス活用することに可能性を感じてきました。そこで、まずは役員へSNSの活用を広げ、その次は社員へという流れで会社全体に広まっていきました。

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ferret:
会社主体で進めたことで、どのようなメリットがあったのでしょうか?

福間氏:
テテマーチはSNSの個人アカウントの活用について、認知度向上と教育の2軸でメリットを感じています

まず、認知度向上については、「企業の中の人」の様な立ち位置で発信をすることで、外部には知り得なかった社員の考え方や、雰囲気が伝わりやすくなりました。

また、テテマーチは会社全体で、アカウントの名前やプロフィールのどこかに「テテマーチ」を加えることを推奨しています。これによりテテマーチの名がSNSで目に入る回数が増えるため、社名の認知度が向上しましたね。

教育の軸でいえば、SNSはインプット・アウトプットの場になると考えています。アウトプットは、学んだことをうまく言語化して自分の中に落とし込むスキルが必要になりますよね。例えばTwitterは自身の気軽な投稿がフォロワーから見られるので、140文字以内で端的に情報をアウトプットする経験ができる良い環境なんです。そういう使い方をする人が増えれば増えるほど、インプットとして活用できる場にもなります。ですので、積極的にSNSを活用してもらうことで、社員個人の成長が期待できますね。

ferret:
テテマーチの事業との相性の良さも関係しているのでしょうか。

福間氏:
そうですね。弊社は自社事業として、TwitterとInstagramの運用やPRの企画・提案などを行なっています。各SNSごとに独特の雰囲気や文化があり、ユーザーに刺さる訴求方法が異なるため、各SNSの文化を知らずに運用やPRをしたところで、効果は出ないですよね。

例えばTwitterでバズったら、「バズったので宣伝させてください」みたいな、バズを起こしたTwitterユーザーのみが宣伝を許されるような風潮など、このような文化を活用したPR動画があったりもします。

この世界観を知らないと展開できないクリエイティブは沢山あると考えているので、社員一人ひとりがSNSを利用することで各SNSの文化を知り、アイデアを生むきっかけになるので、プラットフォームの特徴を掴めるという意味では相性が良いですね。

ferret:
実際にテテマーチの事業への効果はあったのでしょうか?

福間氏:
事業と採用に効果がありました。

あるメーカーの方は、普段からSNSで僕と関わりがあり、僕自身やテテマーチの思想や考えを、ある程度認識していただいているため、受注に繋がったというケースがありました。

テテマーチが実施する勉強会などのオフラインイベントも、SNSのハッシュタグを使ってオンラインで拡散すると、そのハッシュタグの付いた投稿が企業やクライアントの目に触れることもあるので、「あのテテマーチなら大丈夫」と思ってもらえることが何度もあります。

そういう*「テテマーチの安心感」がSNSを通してどんどん広がっていくことで、間接的に事業へ繋がっていますね。*テテマーチってSNSを見ていると結構愛されている感じがするので、そういう信頼を創り上げるためにも、SNSを活用することは効果的であると感じています。

また、採用に関してですと、先日弊社に転職された社員の方は、元々Twitterで僕と相互フォローだったので、そこで僕のツイートやリツイートからテテマーチの雰囲気や勉強会などを見て会社の熱量が伝わったことが入社の後押しになったそうです。

他にもテテマーチが積極的にSNSに露出をしている影響で、本人やその周りの方々にもテテマーチを知っていただいており、本人にとってはあまり知られていない企業よりも安心感があることが大きかったそうです。社員の雰囲気を知った上での採用なのでミスマッチが起こりにくい点も大きいですね。