eスポーツの場でのマーケティング効果はこれから。ソニーモバイルの事例に学ぶ、eスポーツ協賛のポイント
2018年は日本でのeスポーツ元年とも言われ、eスポーツの市場が広がりつつあります。そんな中、NetEase Gamesが主催、株式会社CyberEが制作をつとめたバトルロワイヤルゲーム『荒野行動』のeスポーツ大会「荒野Championship-元年の戦い」が、2019年5月よりオンライン予選にてスタート。同年8月にはグランドファイナル「荒野王者決定戦」が開催されました。
賞金総額は2500万円、総参加者数は50万人を上回る大規模大会となった本大会に、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社がスポンサーとして協賛。大会用公式端末として「Xperia 1」を提供しました。
ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社がeスポーツ大会へのスポンサーとなることの狙い、eスポーツにかける想いとは? そして、eスポーツを活用したマーケティングソリューションを提案する株式会社株式会社CyberEが考える、スポンサードが企業にもたらすマーケティング効果とは何か? ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 商品企画部 ゲーム体験企画 田倉 研冴氏とeスポーツマーケティング会社の株式会社CyberE代表取締役社長CEO 文 晟新氏にお話をお聞きました。
プロフィール
- ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 商品企画部 ゲーム体験企画 田倉 研冴氏
- PC・スマートフォン周辺機器商品企画、工業用自動機械の商品企画を経て、2017年よりソニーモバイルへ入社、その後、2018年よりXperiaのゲーム体験企画に従事。Xperia 1から始まる、生まれ変わったXperiaのゲーム体験を総合プロデュース。
- 株式会社CyberE 代表取締役社長 CEO 文 晟新氏
- 大手ゲーム会社でのマーケティング職を経て、2014年に株式会社CyberZに中途入社。広告代理事業部でマネージャー職に従事し、翌年には株式会社CyberZ韓国支社を立ち上げ、代表に就任。2018年に、eスポーツに特化したマーケティング会社「株式会社CyberE」の立ち上げに参画し、2019年に代表取締役に就任。
“好きを極めたい人々”に端末を届けたい
ferret:今回「荒野Championship-元年の戦い」にスポンサードした理由は何だったのですか?
▲左:文氏 右:田倉氏
田倉氏:2019年の6月にXperia 1(エクスペリア ワン)を発売しました。「好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを」という弊社のビジョンに基づいて生まれた端末です。画面サイズが縦横比21:9というモデルで、ソニーの技術を結集して開発しました。この“好きを極めたい人々”の中にゲームが好きな人も想定していました。ゲーム好きの方にもさまざまな人がいらっしゃいますが、ゲームを極めている人たちが集まるのはeスポーツ大会だろうとなり、そこで我々のメッセージが伝えられるのではないかと考え協賛させていただきました。
実際に、eスポーツの大会はゲーム好きな方はもちろん集まりますし、若い人たちにリーチできます。今回「荒野行動」というタイトルを選んだのは、非常に人気の高いゲームであることでした。そして、その場でXperia 1がいかにゲームと相性が高い端末かということも広めていきたかったんです。TPS(※)のゲームはどれだけ筺体の中での視野が広く保てるかということが大事になります。プレーヤーの方たちはコンマ何秒の世界で戦っているので、視野がすごく大事なんですよ。プレーヤーがこだわっているスキルと、端末の相性がとても合っていたので、選手使用大会用公式端末としてXperia 1を提供させていただきました。
(※)TPS:Third Person Shooterの略。第三者視点で武器などを用いて戦うアクションゲーム
ferret:さまざまなeスポーツ大会がありますが、今回の「荒野Championship-元年の戦い」の特徴はどのようなものでしたか?
文氏:今回の大会で特徴的だったのは、ライトカジュアル層が多かったこと、特に若い女性のお客様の割合が他のeスポーツ大会と比較して多かったことです。株式会社CyberZでは2015年から国内最大級のeスポーツイベント「RAGE」を運営していますが、やはりeスポーツ大会は、コアな男性ファンの比率が大半を占めることがほとんどです。
今大会はNetEase Games様からのご要望もあり、幕間でダンスユニットによるパフォーマンスを披露したり、誰でも気軽にお立ちよりいただけるように、サブコンテンツを充実させたりと、ライトユーザーの方にも楽しんで頂ける仕掛けを、株式会社CyberEとしても意図的にご提案させて頂きました。例えばラグビーのように、自分はやらないけど観戦に行くとか、ルールは詳しくないけど一度見に行ってみたいとか、そんな風に感じて下さる、いわゆる“にわかファン”が増えることが、eスポーツ市場の盛り上がりにも、タイトルとしての広がりにも繋がると考えていますので、今回の大会でライト層が多かったことはポジティブに捉えています。
また、女性が多い分、会場内には黄色い声援が飛び交っていましたし、出待ちの方の温度感も高かったように感じました。単純にゲームが好きだから来るという人だけではなく、純粋に選手を応援したいファンの方が集まる、という構図も理想的だったと思っています。
▲「荒野Championship-元年の戦い」の様子(提供:CyberE)
大会のストーリーと製品のビジョンがマッチ
ferret:株式会社CyberEでは、スポンサードする企業に対してどのような提案を心がけていますか?
文氏:協賛企業様がお持ちのビジョンや課題をしっかり理解し、それをeスポーツシーンで生まれるストーリーに乗せられるような提案を心掛けています。eスポーツは若年層にアプローチできるというのは皆さんご存知の事実だと思います。しかし、単純にスポンサードして、ユーザーに受け入れられるわけではないということを理解していただくようにしています。プレーヤーたちは、さまざまなドラマ、ストーリーを経て大会に臨みます。例えば、「荒野王者決定戦」は、約50万エントリーの中から激戦を勝ち進んできたチームがやっとの想いで出場できた大会です。
ここまで辿り着くには、どの選手も相当な時間を費やして練習に励んでいますし、学業との両立に悩み、苦労してきた選手も少なくないと思います。そういった背景を理解し、各大会や選手、プロチームのストーリーに沿ったスポンサードをすることで意味をなすことができ、プレーヤーのファンや大会を見ている人たちに受け入れられると思っています。
今回のソニーモバイルコミュニケーションズ様の場合、協賛意図が明確でした。ゲームという「好き」を極めることに全力を尽くしている選手たちと、「好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを」というビジョンのもと、ゲーマーのニーズをくみ取った端末を開発することに全力を尽くしたソニーモバイルコミュニケーションズ様。Xperia 1の背景にあるストーリーと、「荒野Championship-元年の戦い」に参加したプレーヤーたちのストーリーの親和性が高かったと思います。商品の価値だけでなく、ビジョンがぴったりと重なったからこそ、良いスポンサード事例になったと考えています。
田倉氏:大会用公式端末として、「Xperia 1」を100台使用してもらったんですよ。陸上に例えるなら、CyberE様に会場を用意していただいて、弊社は選手のスパイクを提供しているようなものです。真剣勝負の結果を左右する場で大会用公式端末として使用していただいている為、ゲーム自体にトラブルが起きてもダメですし、端末に1台でも不具合が生じたり通信が不安定になるなどのアクシデントが起きてはいけない状況でした。
これはソニーモバイルにとって技術的威信をかけたチャレンジでもあるし、成功することによりXperiaであればこのような厳しい環境でも信頼性をもって使っていただけることをアピールでき、Xperiaでeスポーツを楽しむことが世の中に広まるきっかけにもなります。結果的に、失敗の許されない真剣勝負をする大会でXperia 1を安定した通信で100台同時接続させることに成功し、無事に終えることができました。
今後ますますeスポーツの場でのマーケティング効果は高くなる
ferret:eスポーツにスポンサードする上での心構えを教えてください。
▲「荒野Championship-元年の戦い」の様子(提供:CyberE)
田倉氏:弊社としては、スマートフォンを買い替えるときに、何気なく端末を選んでいたユーザーが「そういえばeスポーツ大会でプロゲーマーの人たちがXperia 1でゲームしていたな」と、大会のことを思い出してXperia 1を選んでくれることを期待しています。ですので、すぐに端末が売れるようになるというよりは、未来を見ています。eスポーツの世界を活性化しながら、自社の製品やサービスをどのようにユーザーや消費者の方々に伝えられるかを考えることが大切だと思います。
文氏::繰り返しになるんですが、ただお金を出してスポンサードすることに価値はありません。お互いが残念な結果になってしまいます。なぜスポンサードするのかという目的とそれによって、結果的にどのような状態を目指すのか、双方で向かうべきゴールを設計し擦り合わせることが非常に重要です。
弊社としては、eスポーツの大会を通じて業界全体を盛り上げていくことはもちろんですし、これからスポンサードする企業の方々とプロゲーマーの橋渡し的な役割を果たしていくことを、今以上に増やしていきたいですね。
ferret:eスポーツの市場は今後どのように発展していきますか?
▲「荒野Championship-元年の戦い」の様子(提供:CyberE)
文氏::株式会社CyberZでは「RAGE」という国内最大級のeスポーツイベントを開催させていただいていますが、「eスポーツを観戦する文化をつくる」「スター選手を生み出す」という想いでeスポーツに携わっています。日本国内においては、誰もが知っているようなスター選手と呼べる存在が出てきていないのが現状ですが、イベントを通して、そういう選手を一人でも多く生み出し、認知を拡大させていくことが、観戦する文化の広がりにも繋がると思っています。マーケティングの観点でいうと、eスポーツ市場は確実に価値のある場に成長してきておりますので、その価値をいかに最大化させ、多くの企業様に理解を広げていくかというところにも、弊社としては今後も取り組んでいきたいです。
田倉氏:2018年はeスポーツ元年と呼ばれましたが、今後ますますeスポーツが活発になってきます。2019年はeスポーツが一歩前進した年でした。ただ、日本はアメリカや中国と比較すると、遅れをとっているんですね。今後日本からも強豪選手やスター選手が輩出されるような文化を形成していってほしいと願っています。
そして、国などが盛り上げるようになると、もっとマーケティングの価値も上がってくると思います。弊社としては、ハードウェアの会社なので、eスポーツで使用されるスマートフォンの発展に注力して、eスポーツが盛んになるように貢献していきたいですね。
ferret:本日はどうもありがとうございました。
Xperia 1:https://www.sonymobile.co.jp/xperia/xperia1/
株式会社CyberE:https://www.cybere.co.jp/
eスポーツにスポンサードするメリットを詳しく知る
マーケターが注目すべき新たな市場「eスポーツ」。大会への広告出稿やスポンサーになることでの企業のメリットとは?
現在、世界的な盛り上がりを見せるeスポーツ。日本においても、2018年に日本eスポーツ連合が発足するなど、eスポーツへの今後の期待が伺えます。そんな中、eスポーツ大会を開催することやスポンサーとして協賛することは、マーケターにとって新たなマーケティング手法として注目を集めています。そこで、eスポーツを活用したマーケティングソリューションを提案する「株式会社CyberE」の代表取締役社長 CEO 文 晟新(むんそんしん)氏にお話を伺いました。eスポーツの場に広告を出稿することによってどのような人たちにリーチでき、どのようなことを想起してもらえるのでしょうか。
- オンライン
- オンラインとは、通信回線などを使ってネットワークやコンピューターに接続されている状態のことをいいます。対義語は「オフライン」(offline)です。 現在では、オンラインゲームやオンラインショップなどで、インターネットなどのネットワークに接続され、遠隔からサービスや情報などを利用できる状態のことを言う場合が多いです。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- 広告
- 広告とは販売のための告知活動を指します。ただし、広告を掲載するための媒体、メッセージがあること、広告を出している広告主が明示されているなどの3要素を含む場合を指すことが多いようです。
- タイトル
- ホームページのソースに設定するタイトル(title)とは、ユーザーと検索エンジンにホームページの内容を伝えるためのものです。これを検索エンジンが認識し検索結果ページで表示されたり、ユーザーがお気に入りに保存したときに名称として使われたりするため、非常に重要なものだと考えられています。「タイトルタグ」ともいわれます。
- コンテンツ
- コンテンツ(content)とは、日本語に直訳すると「中身」のことです。インターネットでは、ホームページ内の文章や画像、動画や音声などを指します。ホームページがメディアとして重要視されている現在、その内容やクオリティは非常に重要だと言えるでしょう。 なお、かつてはCD-ROMなどのディスクメディアに記録する内容をコンテンツと呼んでいました。
- タイトル
- ホームページのソースに設定するタイトル(title)とは、ユーザーと検索エンジンにホームページの内容を伝えるためのものです。これを検索エンジンが認識し検索結果ページで表示されたり、ユーザーがお気に入りに保存したときに名称として使われたりするため、非常に重要なものだと考えられています。「タイトルタグ」ともいわれます。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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