大会のストーリーと製品のビジョンがマッチ

ferret:株式会社CyberEでは、スポンサードする企業に対してどのような提案を心がけていますか?

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文氏:協賛企業様がお持ちのビジョンや課題をしっかり理解し、それをeスポーツシーンで生まれるストーリーに乗せられるような提案を心掛けています。eスポーツは若年層にアプローチできるというのは皆さんご存知の事実だと思います。しかし、単純にスポンサードして、ユーザーに受け入れられるわけではないということを理解していただくようにしています。プレーヤーたちは、さまざまなドラマ、ストーリーを経て大会に臨みます。例えば、「荒野王者決定戦」は、約50万エントリーの中から激戦を勝ち進んできたチームがやっとの想いで出場できた大会です。

ここまで辿り着くには、どの選手も相当な時間を費やして練習に励んでいますし、学業との両立に悩み、苦労してきた選手も少なくないと思います。そういった背景を理解し、各大会や選手、プロチームのストーリーに沿ったスポンサードをすることで意味をなすことができ、プレーヤーのファンや大会を見ている人たちに受け入れられると思っています。

今回のソニーモバイルコミュニケーションズ様の場合、協賛意図が明確でした。ゲームという「好き」を極めることに全力を尽くしている選手たちと、「好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを」というビジョンのもと、ゲーマーのニーズをくみ取った端末を開発することに全力を尽くしたソニーモバイルコミュニケーションズ様。Xperia 1の背景にあるストーリーと、「荒野Championship-元年の戦い」に参加したプレーヤーたちのストーリーの親和性が高かったと思います。商品の価値だけでなく、ビジョンがぴったりと重なったからこそ、良いスポンサード事例になったと考えています。

田倉氏:大会用公式端末として、「Xperia 1」を100台使用してもらったんですよ。陸上に例えるなら、CyberE様に会場を用意していただいて、弊社は選手のスパイクを提供しているようなものです。真剣勝負の結果を左右する場で大会用公式端末として使用していただいている為、ゲーム自体にトラブルが起きてもダメですし、端末に1台でも不具合が生じたり通信が不安定になるなどのアクシデントが起きてはいけない状況でした。

これはソニーモバイルにとって技術的威信をかけたチャレンジでもあるし、成功することによりXperiaであればこのような厳しい環境でも信頼性をもって使っていただけることをアピールでき、Xperiaでeスポーツを楽しむことが世の中に広まるきっかけにもなります。結果的に、失敗の許されない真剣勝負をする大会でXperia 1を安定した通信で100台同時接続させることに成功し、無事に終えることができました。

今後ますますeスポーツの場でのマーケティング効果は高くなる

ferret:eスポーツにスポンサードする上での心構えを教えてください。

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▲「荒野Championship-元年の戦い」の様子(提供:CyberE)

田倉氏:弊社としては、スマートフォンを買い替えるときに、何気なく端末を選んでいたユーザーが「そういえばeスポーツ大会でプロゲーマーの人たちがXperia 1でゲームしていたな」と、大会のことを思い出してXperia 1を選んでくれることを期待しています。ですので、すぐに端末が売れるようになるというよりは、未来を見ています。eスポーツの世界を活性化しながら、自社の製品やサービスをどのようにユーザーや消費者の方々に伝えられるかを考えることが大切だと思います。

文氏::繰り返しになるんですが、ただお金を出してスポンサードすることに価値はありません。お互いが残念な結果になってしまいます。なぜスポンサードするのかという目的とそれによって、結果的にどのような状態を目指すのか、双方で向かうべきゴールを設計し擦り合わせることが非常に重要です。

弊社としては、eスポーツの大会を通じて業界全体を盛り上げていくことはもちろんですし、これからスポンサードする企業の方々とプロゲーマーの橋渡し的な役割を果たしていくことを、今以上に増やしていきたいですね。

ferret:eスポーツの市場は今後どのように発展していきますか?

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▲「荒野Championship-元年の戦い」の様子(提供:CyberE)

文氏::株式会社CyberZでは「RAGE」という国内最大級のeスポーツイベントを開催させていただいていますが、「eスポーツを観戦する文化をつくる」「スター選手を生み出す」という想いでeスポーツに携わっています。日本国内においては、誰もが知っているようなスター選手と呼べる存在が出てきていないのが現状ですが、イベントを通して、そういう選手を一人でも多く生み出し、認知を拡大させていくことが、観戦する文化の広がりにも繋がると思っています。マーケティングの観点でいうと、eスポーツ市場は確実に価値のある場に成長してきておりますので、その価値をいかに最大化させ、多くの企業様に理解を広げていくかというところにも、弊社としては今後も取り組んでいきたいです。

田倉氏:2018年はeスポーツ元年と呼ばれましたが、今後ますますeスポーツが活発になってきます。2019年はeスポーツが一歩前進した年でした。ただ、日本はアメリカや中国と比較すると、遅れをとっているんですね。今後日本からも強豪選手やスター選手が輩出されるような文化を形成していってほしいと願っています。

そして、国などが盛り上げるようになると、もっとマーケティングの価値も上がってくると思います。弊社としては、ハードウェアの会社なので、eスポーツで使用されるスマートフォンの発展に注力して、eスポーツが盛んになるように貢献していきたいですね。

ferret:本日はどうもありがとうございました。

Xperia 1:https://www.sonymobile.co.jp/xperia/xperia1/

株式会社CyberE:https://www.cybere.co.jp/

RAGE:https://rage-esports.jp/