キャズムを乗り越える方法

革新性や新規性だけではうまくいかない

初期市場では専門知識が豊富で新しい知識を欲している革新的採用者、イノベーションが社会に与える影響や可能性を予測する初期採用者が決定権を持っているため、革新性や将来性が価値であり、選択基準になります。

初期採用者はビジョナリーな思想を持ち、イノベーションを社会に伝える役割も担っているため、新しいサービス・商品の導入にも積極的です。資金も多く有しているケースがあり、出資者として援助することもあります。

実利と実績をアピールする

こうして初期市場が作られていきますが、一般市場では実利が重視されます。初期市場ではある程度の不確実性(リスク)も背負ってサービス・商品を受け入れるものの、一般市場にいる初期多数派は実際に利益を出せるか、効率化できるか、コストカットできるかといった実利を踏まえてイノベーションの採用を判断します。一般市場に普及させるには、初期多数派にメリットをわかりやすく訴求することが求められます。

また、初期多数派は評判も考慮します。そのため初期市場で一定の実績を積み重ね、初期多数派が信頼できるだけの裏付けを作っておくと効果的です。大手企業や人気企業との取引など直接的でわかりやすい実績が望ましいでしょう。ただ、初期多数派はイノベーションの採用を決定するまでに比較的時間がかかるので、長期的なアプローチを想定してマーケティングの計画を立てるのがおすすめです。

保守的な後期多数派の取り込みに時間をかける

初期多数派の次に多いのが後期多数派で、潜在的利用者全体の34%だと言われています。キャズムを乗り越えるには、全体の約3分の1を占める後期多数派の支持も欠かせません。後期多数派は保守的で、イノベーションに対してあまり好意的ではないのが特徴であり課題です。

警戒心が強い後期多数派の支持を得るには、高い認知度と十分な実績が求められます。すぐには乗り越えられないかもしれませんが、時間をかけて確実な効果を訴求できるレベルにまで信頼と実績を積み重ねることが大切です。

キャズム理論で一般市場への普及を加速させる

多くの商品・サービスが初期市場と一般市場のはざまのキャズムを乗り越えられず、普及しないまま姿を消しています。理解されにくい革新的なものであればあるほど、一般市場でも浸透するようにキャズム理論を活用してマーケティングを行う必要があります。

イノベーターごとの特性を踏まえたマーケティングを推進し、それぞれのフェーズで効果的な訴求を行って商品・サービスを普及させましょう。

参考:キャズム理論とは-ハイテクマーケティングの定番 | カ行 | マーケティング用語集 | 株式会社シナプス

参考書籍:カフェ de 読む 図解キャズム理論がよくわかる本 (FLoW ePublication)