2020年1月10日。今年初といって過言ではない大きなニュースが届いた。アナグラムのフィードフォースグループへのジョインだ。アナグラムは総資産、売上高、営業利益のいずれにおいてもフィードフォースを上回っているにも関わらず、何故この決断をしたのか。

ferretは真相を知るべく、グループジョインのキーマンである株式会社フィードフォースの代表取締役社長・塚田氏とアナグラム株式会社の代表取締役・阿部氏に話を伺った。

これからも戦い続けるための決断

DSC_4277.jpgアナグラム株式会社 代表取締役 阿部圭司氏

ferret:グループジョインはいつ頃から検討されていたのですか?

阿部氏:フィードフォースが上場した後なので、2019年の夏ぐらいですね。上場するっていうのは官報などを見ていたので何となく分かっていました。そのころは「最近、塚田さんと会ってないな」って思ってましたね。

塚田氏:話がまとまったのは発表のギリギリですよね。

阿部氏:年末ですね。

▷プレスリリース:アナグラム株式会社のグループジョインに関するお知らせ

ferret:検討のきっかけは何だったのでしょうか?

阿部氏:アナグラムと銀行の融資に関することがきっかけで。銀行側から「これ以上お金を貸せません」っていわれたのが去年、一昨年かな

売上は上がってるし利益も出てますし、クリーンに経営してきたんですけど、銀行にそういわれたんで、もうこのあたりが限界値なのかなって思ったんです

ferret:単純に融資の総額として厳しいということだったのでしょうか?

阿部氏:はい、そういう理由でした。結局、フタを開けたらまだ貸せるってなったんですけど。ただ、僕らの規模で上場してない広告代理店ってまずないんですよね。その理由がこれなんだなって思いました。

融資自体は実行されたんですが、この問題はいたちごっこになるなと思ったんです。今年は大丈夫だけど、来年の成長に必要な融資額は追いつかなくなってしまうので。事業はうまくいってるのに資金がないから戦えなくなるなんて、最悪のケースですよね。

成長しないってなると社内の空気も悪くなるし、想像しただけで嫌ですね。それこそ選択肢としてはベンチャーキャピタルやIPOももちろんあります。それと同時に、ただ広告代理事業だけやってもよくある広告代理店になっちゃうので意味がないなって考えてたんですね。時間やお金より「意味がない」って方が僕の中では大きかったんです

ferret:「意味」を重視してパートナーとなり得る会社を探されていたのでしょうか?

阿部氏:実は以前からどこと組むのが一番いいかって考えてはいたんですよ

そんなとき、アナグラムの元取締役だった岡田さんと代々木の喫茶店で話したんです。岡田さんは今、フィードフォースの社外取締役ということもあり、アナグラムもフィードフォースも知っているんですね。そこで岡田さんから「フィードフォースと一緒になったら面白いと思うんですよね」と、特に深い意図はなく言葉に出たんです。そしたら「それはアリだね!」といった形で盛り上がりまして。

冷静に考えても「アナグラムと一番補完関係にあるのはフィードフォースなんじゃないか」って勝手に思って。それで「この話を塚田さんにしてもらえませんか!」って岡田さんにいいました(笑)それがフィードフォースが上場してすぐくらいですね。

働いてる方も似たタイプの方が多いというか「ちょっと変わってるよね」ってお互い思われる会社ではあるんですよね。アナグラムには営業がいませんし、会う人には「いい人が多いよね」っていわれるとか。フィードフォースも同じで、いい人が多いというか柔らかいですよね、皆さん。声を荒らげるイメージがない。

DSC_4491.jpg株式会社フィードフォース 代表取締役社長 塚田 耕司

塚田氏:そういう人はいないですね。

阿部氏:カルチャーが似てると思いますね。