「旅するマーケター」西井敏恭氏が、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画。

第2回は、Facebookを使った恋活・婚活マッチングサービス「pairs」や、恋人同士のコミュニケーションツール「Couples」などを提供している株式会社エウレカの代表取締役CEO、赤坂優氏にお話を伺いました。
前編では、pairsが成功した要因やFacebookマーケティングについてお伺いしました。

前編:「プロダクトの差別化なんて最初からある訳ない。」pairsが成功した3つの要因を語る エウレカ代表・赤坂優氏【前編】

後編では、赤坂優氏の大事にする言葉や尊敬するマーケターなどに関してお話をお聞きしました。

人事も広報も採用も、会社はすべてマーケティング

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西井:経営者としてみたときに、エウレカのなかでのマーケティング自体は、立ち位置としては経営のすべてという感じですか? 

赤坂:僕は会社は全部マーケティングだと思っています。人事も広報も採用も全て。

マーケティングを別な言葉に言い換えるとしたら、ホスピタリティだったり、相手のニーズ理解だったり。そこに合わせてちゃんと芯をとらえてバットを振れるかみたいなことですよね。

西井:全部それですよね。今までの人事を考えても、採用はエージェンシーに希望するスペックを伝えてマッチングさせていました。

でも、今は選ぶ手段がたくさんあって、インターネットで誰でも検索ができて、その人がたどり着くところにちゃんと情報があって、プールがあります。そこにアクセスしてもらうというのはマーケティングそのものですよね。

そこにはいい人材が集まるし、アクセスできない人はいい人材じゃなかったりする。人材はマーケティングそのものだと思いますね。

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赤坂:うちの社員は、僕との面談や一対一でご飯食べに行ったりしたら「楽しかったです」「ありがとうございます」という人が8割いるかもしれません。

けれど僕が社員だったら、社長には当然そういいますよね。逆に、相手の気持ちになればきっとそうではないこともたくさんありますよね。仮に面談をやって、相手がちらっとでも腑に落ちてなさそうな表情をしたら、きっと8割腑に落ちてないんだなと思います。

だから、意地でもそれを聞き出そうと思ってリーチしに行く。それはマーケティングということもありますが、もちろん半分くらいは愛もあって。

納得していなかったら絶対に辞めていってしまうし、僕らからしたらその人はとても大切ですからね。

採用もそうです。うち、PHPからGoに乗り換えているんです。それも、PHPをやっていても技術的に他者と差別化できないのでGoをやろうと。

理由としては、Goをやりたいという優秀なエンジニア層のニーズが強いからなんです。採用イベントに行っても、Goやってますよと言えば、いい人が来る。もっと言えば、うちのセミナースペースでGoのもくもく会というのをやっていて。ただ黙々とGoを書きたい人たちが集まる会なんですよ。これも、潜在層の獲得ですよね。

西井:赤坂さんは、そもそもエンジニアではないですよね。でも社内はエンジニアだらけじゃないですか。それを採用できるというのもすごいなと思います。

赤坂:影には、CTOだったり、優秀なシニアエンジニア層の存在が確実にあると思うんですけど、初期は特にそうですよね。多分僕らがエンジニアの気持ちがわからないから、シニアエンジニアに相談したり。

Goをやりましょうというのもエンジニアたちからの提案でした。

ニュースアプリもクラウドソーシングもすべてマッチング

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西井:赤坂さんが国内で優秀だなと思っているマーケターはどなたですか?

赤坂:Gunosyの木村新司さんですね。優秀なマーケターであり経営者だと思っています。ほんとにすごい。マーケティングレベルがものすごく高いですね。

何かアイデアがあったら、それが流行るか流行らないかを数字に落とし込んで分解して、周辺の統計データと合わせて、これくらいの市場でこれくらいのパイを取れる。なぜならばこういう理由で、こういうクリエイティブでこういう課金コンテンツを用意して、これくらいの課金単価で、これくらいの人数を獲得すればいけるよね、という算数が、とても早い。話をしていてもすごいなと思いますね。

あとニュースアプリも、クラウドソーシングも、pairsのようなマッチングサービスも全部一緒だと言っています。なぜなら、やらなければいけないことは全部マッチングだから。

ニュースアプリは最適な人と情報、クラウドソーシングは最適な発注者とクリエイター、マッチングサービスは出会いを求める人と人を結びつけなければいけない。そのときに一番大事なことが、トップページだよと。クラウドソーシングで言ったら、発注者もクリエイターも同じページを見せるものではないよって。

西井:全部一緒ってすごいですね。でも、確かにニュースアプリクラウドソーシングもマッチングですよね。それこそ、横展開とか次のサービスへ繋げることとか。

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赤坂:全部一緒ですよ。通販も、それこそ単品通販であれば、その商品とユーザーさんとのマッチングですけど。仮に総合通販の場合、新規獲得用の商品のほかにリピート転換のためのブリッジ的な商品も必要になる。

そこに必要なのが、コンテキストなんです。なんでそのサイトに来たんだっけとか、なんで興味を持ったんだっけということが一番重要。pairsが占いアプリと相性がいいというのは、ヒマだったし、出会いは万人が求めているというコンテキストがあるからなんです。

西井:結局全部一緒ですね。マーケティングは全部一緒。

赤坂:だから、ECをやっていた人がゲーム領域でも活躍できるとは思うんですが、サービスやメディアが違うとブリッジの掛け方も変わってきますから、横展開ができるような応用力は必要だと思います。

西井:応用力がない人もいますよね。過去にうまくいっていたことを応用できないのはなんでだろう?本質的に理解をしていないと応用ってできないものなんですかね。

赤坂:お勉強したんじゃないですか。頑張って教科書で。それを完全に頭の中にインプットしているので、その通りにやればできるんだと思いますけど、それは本質の理解じゃないんで。

「ギブ&テイク」ではなく「ギブ&ギブ」

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西井:僕ら、もう10年来の付き合いになるのかな? でも赤坂さんはそんなに変わっていないですよね。昔から同じことを言っていた気がします。

赤坂:周囲の人にいい影響をいただきました。西井さんももちろんですけど。

西井:僕は赤坂さんをずっと見てるから、どこかで負けたくないと思っています。

赤坂:僕も絶対に負けないよと思っています(笑)

西井:赤坂さんがよく言う言葉で好きなのが「ギブ&ギブ」なんですよね。

赤坂:テイク狙いのギブはバレるじゃないですか。

西井:それはユーザーに対してもそうですよね。

赤坂:真摯な姿勢とか誠意がないと、普通にバレると思います。

西井:ソーシャルの時代ですね。Facebookがそういう理念を掲げていますよね。結局、正しいことを正しくやっていく社会になるということで、すべてオープンにして。

悪いことをしたらすぐにわかっちゃう。テイク狙いでギブをしてもバレる。

赤坂:最悪、嫌われてもいいんです。嫌われるような人には。そんな人は僕の人生には必要な人じゃないという考えを持っているので。

そう考えると、好きな人は大切にしなきゃいけないという気持ちがその分強くなるから、多分できているんだと思うんですけど。万人に好かれようと思うと、ある程度考えちゃうと思います。

西井:例えば、会社経営をしていても、社員に対して本気で成長してほしいって思うじゃないですか。そのあたりがすごい出ているんだなと。厳しいことを言っても、それは5年後10年後のことを考えて言っているという。

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赤坂:本気で怒られているって、本人にとって良いことしかないんですよね。自分の子どもだったらどうするかという話で。これやっちゃだめだよとか、絶対言うと思うんです。

それを言わずに諦めている時点で、どこかでまあいいか、最悪辞めてもいいやと思っているはずなんです。だから、経営者は本気で怒れないと人がついてこないと思うんです。

僕が好きな言葉で、「苦しんでいるときに話を聞いてくれる人は一生もの」というのがありまして。ほめられた人より、怒ってくれた人のほうが覚えている。だから、ちゃんと思っていることを言ってくれる人を大事にしたいなと思っています。

西井:例えば僕がアフリカで消息不明になったときに、時間的には無理でもお金を使ってくれたり。助けてくれる人が何人いるかなと考えるんです。結構、それが人生の幸せじゃないかと思っていて。

ほとんどの人が、Facebook上の友だちレベルなんじゃないかな。この人が自分にとって価値があるなって思える人には、そういうことをしますよね。それがギブ&ギブなんじゃないかなと。ギブ&ギブをしていると、自然と自分に返ってきますから。

さっきの社員の話でいうと、すごく愛情を与えて、この人はほんとうに成長してほしいと思ってやっていると、向こうもスキルを貯めていきます。辞めていっちゃう人はそれまでですけど。そこは関係ないじゃないですか。それをテイクを期待しちゃうと、お互いによくないし。

好きな人と誠心誠意付き合っていければいい

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赤坂:経営者は、うぬぼれてはいけませんよね。自分がこれだけやってるからついてきているということではなく、ついてきていただいているという感覚をもっていたほうが、常にいいのではと思っています。

西井:仕事の面でもそうじゃないですか。お金払ってるほうが偉いとか。

赤坂:仕事をしてもらってるわけじゃないですか。お金を払っていても、選ぶ権利は向こうにあるわけで。やりませんと言われる可能性だってありますからね。

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西井:そういうことを知らないでやっていると、とりあえず代理店を叩くとか、代理店は代理店でクライアントをよく思ってなかったりして、お互いリスペクトしあっていない関係でうまくいっていないところというのはそういう状態のところが多いなと思います。マーケティングの根本以前の問題ですよ。

僕、BtoBで仕事をしていて、自分にいろいろなことを与えてくれる会社に対しては、一生懸命頑張りたいと思いますし。だって、僕の時間も有限ですから。そのなかで、すごく適当な扱いをしてくる人のためになんか、絶対頑張りたくないと思います。

赤坂:そういう風に接してきて、自分がいいなと思っている人は必ずどこかで出世したり、上の立場になって最終的にいい仕事に繋がったりしますしね。

だから、結局好き嫌いも自分のコンセプトを持って、好きな人と誠心誠意付き合っていければいいのかなと。無理して嫌いな人に好かれようと頑張らなくてもいいと思います。

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西井:昔からいいこと言うよね(笑)

赤坂:そうなんですよ(笑)

西井:今日はありがとうございました。いい話がいっぱい聞けました。

赤坂:こちらこそ、ありがとうございました!

フォトグラファー:三浦一紀

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前編はこちら:
「プロダクトの差別化なんて最初からある訳ない。」pairsが成功した3つの要因を語る エウレカ代表・赤坂優氏【前編】

第1回はこちら:
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「広告費使ったことないんです。次はどうすればいいですか?」 TABIPPO代表・清水直哉氏【後編】

第0回はこちら:
イケてるマーケターを増やしたい!西井敏恭の連載企画「マーケティングジャーニー」【第0回】ferret編集長 飯髙悠太