「旅するマーケター」西井敏恭氏が、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画。第1回は「旅」を中心としたビジネスを展開する株式会社TABIPPOの代表取締役、清水直哉氏にお話を伺いました。

前編では、ソーシャルメディアをナチュラルに活用し、旅イベントに5000人集客をした背景やソーシャルメディアを活用する上でのポイントなどをお伺いしました。

後編では、清水直哉氏が自社のマーケティングに関する悩み相談と、ソーシャルメディアとの付き合い方に関してのお話をお聞きしました。

前編はこちら:ソーシャルメディアをナチュラルに活用し、広告費0円で5000人集客を実現! TABIPPO代表・清水直哉氏【前編】

データベースをきちんと整備する必要がある

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清水:ちょっと西井さんに質問があります。

これまでお金を使わないマーケティングなどをやってきて、これからやりたいこともイメージできています。ソーシャルメディアのように何か新しいものが出てきたらそれを活用することはできると思うんです。

一方で、本来お金をかけてやるべきマーケティングがちゃんとわからないという不安がります。そのことに関して教えてもらいたいです。

僕らのような企業はどう考えていけばいいんでしょうか。コンテンツ制作などにお金をかけたりしますが、人件費以外のところであまりお金をかけていないもので。

西井:デジタル以前の時には、マーケティングの投資対効果は非常に見えづらかったと思います。ただ、デジタルの場合は比較的投資に対して効果が見えやすいので、そこからまずはスタートしてみてはどうでしょうか?

TABIPPOのFacebookファンページが1万人のときに、1投稿でイベントで何人入ってくるという数字があったら、これが2万人になれば単純に倍になる。しかし、その2万人にするときにどう投資していくか。

それは1回のイベントだと回収できないけど、1年後に回収できるという事業計画を立てて、そのなかでPDCAを回してくというというやり方ですね。

あと、最近はECサイトだけではなく、WEBマーケティング全般に通用するのではと思っているのですが、「リスティング広告とFacebook広告とアフィリエイト広告はやりましょう」ということです。BtoBにも適用されるケースがけっこうあります。

清水:なぜその3つなのですか?

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西井:比較的奥行きが深くて単発になりづらいことが一番大きいですね。

PDCAをちゃんと回しても、実施できることが少なかったり、ターゲットユーザーが少ない場合、すぐに行き詰ってしまいますよね。

つまり、Webでマーケティングするには基礎になるものが多いと考えています。比較的いろんなビジネスモデルの会社でもちゃんとやれば効果が出やすいですね。

清水:Facebook広告も入ってくるんですか。

西井:Facebookはお客様が見えやすいのである程度投資対効果が良かったり、企業にとって使いやすい機能を提供しているのでテストなど実行しながら戦略的に使いやすいと考えています。

スタートアップ企業で通販をやっているところなどから、資金調達ができたからテレビCMをやりたいという相談を受けるんですが、絶対にやるなと答えています。ベースができていないのにCMをやったところで、スカスカになってしまう。

誤解されたくないのですが、CMが悪いというわけではなく、受け皿がちゃんとできていないのに実施して「回収ができなかった」とかでは、意味がないので。

そこは、ベースとなるものきちんとやって、やり切ってからでもいいんじゃないかと思っています。Webには裏ワザはないんですよ。まずはそこをちゃんとやって次に行くのが正解だと思っています。

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清水:僕らで言えば、イベントに来てくれた人に、次にどうやって本やグッズをECで買ってもらうかとか、メディアを見た人にどうやってイベントに来てもらうかとかを考えます。

現状は、それぞれの事業の顧客データベースなどが分散しているのが悩みですね。

西井:一番始めにやるのはそこじゃないですかね。広告の手前のところ。データベースをある程度しっかりとしておくのは必要です。

TwitterやFacebookでログインしている人たちにもデータベースは存在していて、そのお客さんがアジア系のイベントにはよく来るけど、ヨーロッパ系のイベントには来ない。

その時、なるべくノイズを排除して、次のアジアのイベントがあるときにメールを出すと、嫌がられることはないだろうし、コンバージョンがとても高くなりますよね。ユーザーにとってもすごく嬉しい気持ちになる。結局、リピートしてもらわないと意味がありませんからね。

清水:そうですよね。
データを統一して持てていないので、それは次のフェーズでやりたいなと思っています。

ただ、イベントは難しいところがあって。外部のチケット販売サービスを使うと、販売データをもらえないこともあるんです。自社でチケット販売も行うという話もあるんですが…。

西井:やるなら今でしょうね。早いほうがいい。大企業は、大きくなりすぎてリアルと繋げなくなってしまうんです。

もしかしたら、アプリベースでできるかもしれない。スマホのアプリでイベントに関するすべてを行う。チケット販売もECみたいにカート決済させて、その情報をアプリで表示できればOKですから。今後はアプリが重要になってくるかもしれませんね。

唯一の正解は「愚直にやること」

清水:もうひとつ質問があります。お金をかけてマーケティングをやるとなった時、ゆくゆくはインハウスでやれる体制を作ったほうがいいのか、代理店と向き合うべきなのか、どっちなんでしょうね。

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西井:インハウスで向き合えれば最高ですけど。リスティング広告とかをインハウスで向き合うと、その担当者一人のノウハウになってしまって、その人が抜けた瞬間にガタッと下がるリスクがあります。

例えば、リスティング広告に5人くらいの体制で挑まなければならないくらいの事業だったら、インハウスにしてもいいかなと思います。代理店に任せる場合でも、絶対に社内に一人は、デジタルマーケティングに詳しい人は置かないとダメですね。

代理店のよさは、横軸を持っているところです。Facebookの広告の仕様が変わったりしても、僕らでは中々わからない。でも代理店に聞くと、情報を持っていたりする。そこが代理店のよさですね。もしかしたら、今後は代理店もメディアの提案というより、コンサルみたいな感じになっていくのかもしれませんね。

やはり、ソーシャルが弱いという企業やメディアは多くて、TABIPPOはほんとうにうまくソーシャルメディアを使っているなと思います。

清水:Facebookページは、いろいろ試行錯誤しながら毎時間投稿しています。時間がかぶらないようにするということもそうですし、PDCAを回さないといけないですし。昔は4時間おきにしたりといろいろやっていました。

僕もたまに、仲のいい会社にマーケティングについて教えるということをやっているんですが、正解がないんですよね。特にソーシャルメディアに関しては、向き合うしかない。

西井:愚直にやるということなんでしょうね。例えば、1日100回つぶやけるかという。

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清水:ロジックじゃないんですよね。これはなんでよかったのか悪かったのか、数字だけじゃわからないんです。こんな変な一言がこんなに広まるんだみたいなことがあるわけじゃないですか。あれはほんとうにロジックじゃないんで。

西井:ひとつだけ正解があるとしたら、愚直にやることなんですかね。

清水:ほんとうにそうですね。真摯に向き合うことだと思うんです。

ソーシャルメディアはすぐ変わりますし。昔、Facebookには動画なんてなかった。今、動画はすごいですからね。
僕が個人でFacebookに動画投稿すると、多い時は2万回再生される。これって本当にすごいことですよね。この前、Facebook個人でリンク投稿したら、8000回クリックされました。CPC計算したらすごい高いなと思って。

西井:例えば、メールマーケティングをがんばって10万件のメルマガを配信しても、8000クリックいくなんてほぼ不可能ですからね。そういうことなんですよ。

ただ、メールが重要じゃないのかというとそうでもなくて。今のフェーズくらいになったら、うまい具合にデータ統合をしていくとか、いろいろなところで使い分けできるようになるのが、次に実施することかなと思います。

Facebookはマーケティングにおいて重要なツール

西井:TABIPPOがここまでの規模になったのは、やはり清水さんがソーシャルメディアを本質的にすごく理解していて、ピュアにそこに向かっていってるというのがうまくっているところだなと思います。

清水:それにどのくらい時間をかけていて、人件費がどれくらいでみたいなことは絶対計算しないですから。意味ないですもん。そういうのじゃないんで。

西井:私もBtoBマーケティングコンサル事業に関して、お仕事の依頼は100%Facebook経由なのですが、僕もお金はかけてませんね。

僕のFacebook公式アカウントがあるわけでもないし、広告をどこかに出しているわけでもない。単純に、本質的にいいことをちゃんとやって、その情報をちゃんと出して、掲載してもらったら自分のFacebookでシェアしていると、僕のことを知っている人が増えてきて、僕と仕事をしたいという人が出てくるのが本質的にわかっているから。

僕はビジネス100%でFacebookでやってるわけではないので、旅をして旅のことをアップしていると、僕のキャラの中でマーケターというだけじゃなくて、旅人キャラがあって、ちょっとおもしろいなとなっているのが、ナチュラルになっているという感じがします。

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清水:例えば、僕とかは何をいつFacebookとか、Twitterに投稿するのかをすごく考えてやってます(笑)。そこが会社の生命線なので。

西井:それをちゃんとやっているというのが、すごいですよね。

清水:とはいえ、ソーシャルでも友だちとも繋がっているので、仕事の投稿ばかりじゃダメですよね。だからそうじゃない投稿もちゃんとやっていかないといけないよねとか、金曜日の夜はよくないねとか、そういう話はよくしますね。

西井:それ、結構楽しいですよね。それが仕事だと思って100%やっているわけじゃなくて、そういうことがおもしろいし。仕事の話入れすぎてエンゲージメント率が低くなってきたら旅の写真アップしてとか(笑)。

清水:ほんとにそんなことばっかりですよね。Facebookはほんと重要なので。マーケティングを考えると、まずはここからという感じです。

西井:こうして話を聞いていると、ほんとにソーシャルメディアをナチュラルに使っている会社というイメージ。

時代にちゃんとフィットしていて、先を見て、そのなかで本質的なものをしっかりと捉えている。「旅」という軸を事業のドメインに置いて、そこから会社の生き方も考えていて。ナチュラルなようだけど、しっかり考えているんだなと。いい意味でピュアだと思うんです。

広告の世界にどっぷり使ってCPAとかばかりやっていたら、そこだけをナチュラルにやりつづけることがなかなかできない。それは、清水さんがスモールスタートで、学生の頃からやっていて、理念をしっかりもってやっているところがポイントなのかなと思います。

今日は、色々な話を聞けてとても楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。

清水:こちらこそ、いろいろ教えて頂きありがとうございました!

フォトグラファー:三浦一紀

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この度ferretと「旅するマーケター」西井敏恭がコラボし、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画「マーケティングジャーニー」を開始します。連載に先駆け、第0回としてferret編集長である飯髙悠太とのスペシャルトークをお届けします。ferretの現在と未来、そしてこのマーケティングジャーニーはどんな想いから生まれた企画なのか。その真相に迫ります。