この度ferretと「旅するマーケター」西井敏恭がコラボし、マーケティング分野で注目の20〜30代半ばの人物にインタビューをする連載企画「マーケティングジャーニー」を開始します。

連載に先駆け、第0回としてferret編集長である飯髙悠太とのスペシャルトークをお届けします。
ferretの現在と未来、そしてこのマーケティングジャーニーはどんな想いから生まれた企画なのか。その真相に迫ります。

中小企業のマーケティングをもっといいものにしたい

DSC_3751.jpg
飯髙:僕、西井さんにずっと憧れていたので、今回こうして一緒にお仕事ができるのが不思議な感じですね。

西井:それはありがとうございます。実際に会ってみると、たいしたことないなと思われるかもしれませんが(笑)。ferretに関することを飯髙さんに聞いていきたいと思うのですが、ferretは何年目のサービスなんですか?

飯髙:10年目に入りました。最初は、初心者向けの検索エンジンから開始し、その後Web担当者にとって便利なツールを提供していました。

西井:僕がまさに現場でSEOやリスティングをやっていたときに、とてもお世話になっていました。メディア化されたのってどのタイミングでしたっけ?

DSC_3681.jpg

飯髙:僕も以前は、ユーザーとしてferretを使っていました。
メディア化したのは、2014年の9月なので、約1年半前です。
メディア化した背景には、中小企業のマーケティングをもっとよくしたいという想いがありました。

Webマーケティングにおいて、専門家は分野ごとにたくさんいます。ただ、中小企業が求めていることはもっと基本的なことだと思うんです。
デジタルやテクノロジーがどんどん進化しても、企業がやるべき基本は変わらないですし、そのベースがあって初めて新しいことに目を向けるべきです。

とはいえ、これを伝えるために地方に足を運んで、ひたすらやるというのはかなりの時間がかかるということと、どう接点を持つのかという問題があります。メディアであれば、そういった方々にアプローチできるということで、メディア化をしました。

リリース直前にすべてをゼロにしてリスタート

西井:飯髙さんがferretにジョインしたのはいつごろですか?

飯髙:2014年の4月です。

西井:それはferretをメディア化するためのスタッフとしてですか?

飯髙:そうですね。きっかけは、弊社代表の秋山が僕の知り合いとの飲みの席で、ferretのメディア化にあたりいい人いないかという話があったらしく、そこに呼ばれたのが僕だったんです。それがきっかけで、メディア化のスタッフとしてジョインしました。

当時、5月のリリースを目標にメディア化は進んでいました。しかし、入社してみたらリリースできる状態ではなかった。メディア運営の経験がある人も、プロダクトを立ち上げたことがある人もいませんでした。

このままリリースしてしまってはヤバいと思ったので一旦打ち切りにしました。そのタイミングで僕がプロダクトマネージャーになって、再スタートしました。
結局5月スタートが9月までかかってしまったんですが。

DSC_3695.jpg

西井:具体的にどうまずかったんでしょうか。そして、それをどのように変えたのでしょうか?

飯髙:自分たちのやりたいことはわかっていて、ターゲットユーザーも決まっていました。それなのに、例えばデザインの話になると、今のトレンドに乗っかろうとか、ユーザーを無視していたんです。記事も、全部“点”でした。

「Webの大衆化」をビジョンに掲げ、コンテンツを体系立てて展開したいという割には、ストーリーがなかったんです。そこで、ストーリーをユーザー行動から考えて、あとは企業のマーケティングにおけるプロセスがあるので、この軸でコンテンツを用意する必要があると考えて、最初から細かく設定しました。
またコンテンツの書き方についても、レギュレーションをがっちり作ってというところからやり直しましたね。

いいコンテンツを広める方法を知らない人が多い

西井:ferretはメディア化して順調にいっていますよね。
今は、オウンドメディアを立ち上げてもうまくいっていないところが多いと思います。いったい何がダメなんでしょうか?

飯髙:ブームだからという理由でやっているところかなと。それと、本気じゃないなと思いますね。立ち上げてクラウドで記事を書けばいいんでしょ、と。

後は、目的が明確に決まっていない企業が多いから、しっかり評価できていないと思います。
これって何にでも言えますが、魔法の杖なんてないんです。

西井:やはりコンテンツが一番大事ですよね。それなのにコンテンツに魂がない。ダメなコンテンツなんてただのゴミなのに、それが大量にあってもしょうがないですよね。
大量にあれば検索で引っかかるかというと、Googleも賢くなっていて意味のあるコンテンツしか拾ってくれない。

先日ある方が、ユーザーの悩みに本質的に答えれば、Googleは勝手に上位表記してくれるとおっしゃっていて、なるほどなと思いました。

DSC_3704.jpg

飯髙:読みたいと思ってもらえるコンテンツであれば、ユーザーが集まってくれて、Googleは評価してくれるわけじゃないですか。

インターネット上には、いいメディアがたくさんあると思っています。でも、みんな知らない。単純にいいコンテンツは書けるけれども、その広め方を知らない人が多いのではないでしょうか。
例えばソーシャルメディアをどう駆使して、ユーザーに触れてもらうのか。その絵を描けている人が少ないなと思います。

マーケティング担当は自社のプロダクトを好きな人がやるべき

西井:ferretをメディア化して1年半が経過しました。実際、苦労した部分や意外とうまくいった部分などはありましたか?

飯髙:苦労したことばかりですね(笑)
やはり新規プロダクトを立ち上げたことがある人、メディアをやったことがある人がメンバーにいなかったというのが一番苦労しました。

あとは、僕がチームで年齢的にもちょうど中間くらいで、途中入社だったために、少なからず外様という感じがあったんですね。その中で、マネージメントとか方針を決めていくというのが難しいと感じたこともありました。

ただ、ferretをリリースして3、4ヶ月くらい経ったときに、結果を残したということで初めて信用され、徐々にメンバーがついてくるようになりました。

DSC_3592.jpg

西井:外からWebの人が入ってくると、今までやってきたことがひっくり返されることもありますよね。そこを企業としてちゃんと受け入れられる土壌がないと、なかなか難しそうですよね。

飯髙:そこは代表の秋山はじめ、事業部役員などが気にかけて、やってくれました。

西井:大手企業でも、Web化しなきゃいけないということを経営者はみんな気付いているんですが、やれる人が社内にいない。かといって、いきなりWebのトップに知らない人が入ってきたら、かなり拒絶されるような気がするんです。そこに関してどう思いますか?

飯髙:おっしゃる通りですね。それは結果を出すしかないと思っています。

僕は、Webやマーケティングを担当する人は、自社のプロダクトを好きな人がやるべきだと思うんです。僕はメディアが好きだし、中小企業の経営者やマーケティング担当にとって信頼できるメディアにしたいと思っているんですが、その気持ちはチーム内で一番だと思っていますし、そういった意味で、立ち上げたのが僕でよかったんじゃないかなと思いますね。

今は、メンバーがferretを作っていきたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。

戦略的にソーシャルメディアを使うことを誰もしていなかった

西井:経験者が少なかったということもあって、現場のスキルレベルが低いところからスタートしましたが、運用しながらPDCAを回しながら進んだ、という感じですか?

飯髙:まさにそうですね。最初はうまくいかないこともありました。僕は、「辞める判断を正しく持つ」というのを大事にしています。

例えば、施策に対しての期待値にあと少し届かなかったという結果なら、それは言い訳なしに辞めるってことです。そうしていく中で、どんどんみんなのレベルが上がっていくのがわかりました。
話は変わってしまうのですが、半年で100万PVのメディアにするというのを約束していたので、そこは不安でした。当時ferretには会員が24万人ほどいたので、会社はこれだけ会員がいるからなんとかなるだろうと思っていました。でも、僕は楽観視していなくて。

リリース当時、会員はいるけれどもトラフィックが増えなかったのはきつかったです。

西井:なんでトラフィックが増えなかったんですか?

DSC_3658.jpg

飯髙:会員はいるのに、メルマガからトラフィックを獲得するためのことを、しっかり考えてなかったんです。例えば、会員がどういうコンテンツに興味があるとか、そういう目線で見ることができていなかったんです。
また、もともとはツール利用を目的とした会員に記事コンテンツを提供しても、反応するとは言い切れないですし、そもそも使ってる動機はツールなので、簡単にトラフィックが増えることはない訳です。

同様に、戦略的にソーシャルメディアからトラフィックを獲得することも、考えられてなかったかなと。単純なことですが、タイトルの付け方であったり、FacebookのOGPの画像とか、どういうものであればユーザーの目が止まるかという視点が足りませんでした。

基本的なことですが、そういったことをちゃんとやれていないなというのと、戦略的にソーシャルメディアを使うということを誰もやっていませんでした。なので、かなり最初は乖離がありましたね。

西井:でも、最初辛かったからうまくいったのではないでしょうか。

飯髙:それはあると思っています。
僕個人の話になってしまいますが、これまでに5社で働きましたが、いつも傍観者的な感じでした。それが約この2年間は、両足突っ込まざるを得ない状況だった。ferretだけのことを考えていられたというのが大きかったと思います。

西井:逆に、辛い中からうまくいった理由というのはなんでしょうか?

飯髙:一番大きいのは、メンバーが同じ方向を向いたことですね。最初は半信半疑なんですけど、例えばメディアをやったからって、オーガニックからのトラフィックって伸びないじゃないですか。

でも、僕はこれまでに伸びることを肌で感じていたので。だから、正しいことをしっかりやれば絶対上がってくるとわかっていました。リリースしてうまく回り始めると、楽しくなってくるじゃないですか。
その想いが一気に同じ方向に向いたというのが、ミーティングをしてわかったんです。その瞬間、これは伸びるなと思いました。

ネイティブ広告の考え方はもっと正しくなっていく

DSC_3758.jpg

西井:とりあえず当初の目標はクリアできたということになりますが、次のステップの課題やゴールはありますか?

飯髙:メディアとして成長させるという軸と、マネタイズをするという2軸があります。
メディア成長という軸では、細かくはお話できないのですが、去年の倍以上のサイトパフォーマンスにすること。

マネタイズという軸では、ferretのなかで記事広告はやりますが、月10本以上はやらないと決めています。絶対にメディアを邪魔しないというルールを決めているので。これだと、売上が限られてしまうので、アライアンスや付随するサービスがあったりします。
また、今後もそういったサービスをリリースしていく予定です。

西井:最終的には、コンテンツ自体がすごく重要になってくるので、コンテンツに意味がなくなるとユーザーもついてこなくなります。だから、絶対メディアとしての立ち位置をしっかり持って行かないと、何でもありになっちゃいますもんね。

飯髙:これから、ネイティブ広告の考え方はもっと正しくなっていくと思っています。単純にトラフィックボリュームがある会社に出すからいくら払うというのではなく、内容であったり、どういうユーザーに向けているのかという広告のほうが価値がある。
ここはもっと理解されるんじゃないかなと思っています。なので僕たちも、1本1本ちゃんとやろうというのは、すごく意識しています。

マーケターはとても楽しい仕事なのに、なんで憧れないんだろう?

DSC_3644.jpg

飯髙:西井さんと初めて会ったときにも話しましたが、「マーケターとキャリアに対してもっと本気で考えたい」と思っているんです。

営業であれば売上成績、エンジニアであれば技術力で人の評価がある程度できます。でもマーケターのを正しく評価できる人が少ないなと思っています。なのでferretでは、そこを伝えていきたいと思っています。

西井:僕がコンサル業務をしていて、いつも出てくる話があるんですよ。
結構年齢が上でキャリアもある方なんですが、自分自身がデジタルに対してスペシャリストになれる気がしないと。そのなかで、若手に権限委譲したいけれど、どうしたらいいかわからない。どういうふうにキャリアを積ませていいのかもわからない。

要は、教える人も教わる人もいないという構図になっているんです。僕自身も、「教育してくれ」と言われたりするんですが、セミナーをやってもそれはちょっと違うなと感じているんです。今後この問題はどうなっていくんだろうなと。

飯髙:なるほど。キャリアを考えるときに、ひとつはやっぱり学生なのかなと思っています。例えば学生に対して、本気で向き合って、集中講義みたいなことをして、僕が知っている知識とかデジタルの話を、彼らに1回知識として持ってもらうだけでなく、それが実施できて経験できる場があれば、業界的におもしろくなるだろうなと思っています。

西井:でも、マーケターになりたいという人はいるんですかね。

飯髙:僕はすごく好きですけどね。でも、抽象的でわかりづらいんじゃないのかなと思います。
Webの世界でいえば、Web上でものを売るための専門家だと思っていて。それは営業だと言われればそうですが、実際営業もマーケターだと思うんですよ。

DSC_3701.jpg

西井:マーケティングの範囲の中に、営業も入ってますからね。今後、この連載の中で、いわゆるマーケティングということにもっと興味を持ってもらいたいなと思っています。

とある人が「売れる仕組み作りというよりは、買いたい気持ち作りだ」と言っていて。ユーザー視点なんです。買いたい気持ちをいかに作れるかというところがすごく大事。とても楽しい仕事にしか思えないんだけど、なんで憧れないんだろう?(笑)

飯髙:僕、企業にはCMOが必要だと思っています。
CMOという概念がこの業界内で伝わらないのに、裾野にまで広がるわけがないですよね。マーケターって、正しいことを正しくやることが仕事だと思っているんですけど、それを理解している人が少ないんじゃないでしょうか。

西井:これからは、企業が愛される活動をしていかないと、お客さんは絶対についてこない時代じゃないですか。マーケターはそういう活動をする人という定義をするとわかりやすいかなと。現在の広告活動や営業活動ではなく、“いかに愛されるか”ということを注入しているのがCMOなのかもしれないですね。

イケてるマーケターを増やしていきたい

DSC_3745.jpg

飯髙:僕は一言でいうと、「マーケターはイケてる!」という風になってほしいんです。営業は相手のことを考えるし、ECでも買う人、使う人がいると考えると、すべて“誰か”のためにしていること。これ、全部マーケティングですよね。極端かもしれませんが、一番売上のある営業マンが「俺、一番売れるマーケターだぜ」っていう造語のようなものができたら、すごくうれしいかな。

西井:かっこいいマーケターを増やしていきましょう(笑)。これからはどんどんそういう人に取材していきましょう。

飯髙:西井さんが影響を受けて、どんどんチャラくなっていっちゃうとか(笑)。

西井:一番影響されたのが自分という(笑)。でも、学生の人たちが、こういうマーケターになりたいっていうような、憧れの対象になればいいですよね。

飯髙:マーケティングジャーニーを通して、あの人に会いたい、あの人になりたいという風に思ってもらえれば最高ですね。

西井:今日僕が一番思ったのは、飯髙さんのように20代でマーケティングのキャリアやスキルを持っている人は、絶対需要があるということ。引く手あまたの人材になるということは、イケてるということだと思います。

ferretは、マーケター候補のユーザーに対して、ブレずにいいコンテンツを提供していってほしいし、マーケター自体絶対ニーズがあると思います。年齢は関係なくて、スキルと経験。これが大事になってくるでしょうね。それでは、これから「マーケティングジャーニー」よろしくお願いします。

飯髙:新企画「マーケティングジャーニー」をよろしくお願いします!

フォトグラファー:三浦一紀