「旅するマーケター」西井敏恭が、マーケティング分野で注目の人物にインタビューをする連載企画。

第2回は、Facebookを使った恋活・婚活マッチングサービス「pairs」や、恋人同士のコミュニケーションツール「Couples」などを提供している株式会社エウレカの代表取締役CEO、赤坂優氏にお話を伺いました。

エウレカは、広告事業からスタートし、企画や開発メインの受託事業を経て自社開発によるFacebookを使った恋愛・婚活マッチングサービス「pairs」をスタート。

アメリカでは人気の恋愛・婚活マッチングサービスですが、日本ではまだ発展途上の市場を開拓し、現在約800万いいね!を集めており、日本・台湾でのFacebookページいいね!ランキングNo.1。会員数は360万人を突破しています。

2014年には、カップル専用アプリ「Couples」をリリース。こちらも350万ダウンロードを突破するなど、順調にユーザー数を増やしており、日本のマッチングサービス市場を牽引する存在となっています。

今回は、二人の出会いからエウレカ立ち上げ、そしてFacebookを使ったマーケティングへの考え方などについてお聞きしました。

朝フットサルが二人の出会い

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西井:初めて会ったのは、まだ赤坂さんが社会人2年目のときでしたね。

イマージュ・ネットという会社にいらっしゃって。知り合いがやっていたフットサルで一緒になって、そのあとランチをして。

赤坂:朝フットサルでしたね。

西井:そのあと3時間くらい屋外で話して。そのときに驚いたのが、まだ2年目の新人なのに質問のレベルが高かったことです。質問がすごく鋭くて、なんてやつだと思いました(笑)

赤坂:そのおかげで、ヘッドハントが来たんですよね。西井さんが「すごいやつがいる」って言ってくれたおかげです。

西井:そのあと、赤坂さんが独立してからもよくランチをしていて。実際、一緒に仕事をして助けてもらったりしていましたね。

当時のエウレカは広告代理店からスタートしましたが、ずっと広告をやっていこうという意思はなかったんですよね。

赤坂:ありませんでしたね。

西井:最近はエウレカもいろいろなメディアで取り上げられているので、せっかくだからちょっと違う切り口でお話できればと思います。

赤坂:そうですね。最近同じ切り口の話が多い感じはしていたので。

デーティングサービスは方程式ビジネス

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西井:2015年の5月には、「Match.com」「Tinder」「OkCupid」など世界規模のオンラインデーティングサービスを多く保有しているThe Match Groupへバイアウトされましたが、企業文化の違いを感じたことはありますか?
たとえば、海外の他のベンチャー企業との違いとか。

赤坂:正直、あまり見えませんでした。どちらかというと、The Match Groupのマーケティング担当や新規獲得担当と会って、そのビジネスにおける計算式や新規獲得のルートについての話のほうが印象に残っていますね。

西井:その指標はエウレカのものと似ているものなのですか?

赤坂:似てるんですけど、僕らよりも綿密でした。

西井KPIとかが細かいんですか?

赤坂:算数というか、方程式が細かくできあがっていて、どこをチューニングしたらどうなるということは、あのときの僕らよりも一歩進んでいた感がありました。

西井:とは言っても、pairsも細かいですよね。

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赤坂:pairsの場合、ビジネスの観点だけで見ると、初めて利用してくれたお客様が有料会員になってくれる、無料会員のままでいたお客様が、何のタイミングで有料会員になってくれる、有料会員だったお客様が一度退会されて、また有料会員として戻ってくれるといった動きがあるのですが、pairsを運営しながら、そういう風に会員種別で分けてアプローチを考えないといけないなと2年くらい前に気づいていたんです。

でも、向こうには当然ですが、既にその考え方がありました。自分たちが正しかったんだと思えた一方で、彼らの方が一歩進んでいるという印象はありました。

西井:アメリカのほうが細かいというところがおもしろいですね。

赤坂:意外ですよね。結局デーティングサービスをThe Match Groupの中核事業としているのは、方程式ビジネスだからであって。

ある程度硬いビジネスとして確立されているんです。

西井:デーティングサービスが向こうの文化として存在しているということですね。

赤坂:文化としてあるなかで、ゲームみたいにボラティリティも激しくない、積み上げ式のストックビジネスだからこそ、デーティングサービスがものすごく優秀なビジネスモデルという認識が彼らにはあります。

方程式が明確なので、例えば、まだマネタイズしていないデーティングサービスでも、多くの会員がいれば彼らはマネタイズ方法が分かっているので、買収したりしていますね。