営業1名あたりの獲得利益が23倍。ウィルゲートの「DX化した経営」のノウハウを公開
企業として意思決定をしていくとき、大量に蓄積されたデータを適切に活用することは非常に重要です。しかし、データをBI化(ビジネスインテリジェンス化)するためのツールや、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのツールにはさまざまなものがあり、どれを採用すればいいか判断できないという経営者もいます。
コンサルティング事業を主に展開する株式会社ウィルゲートは、優先順位の高い課題を把握するために、経営状態や現場の状況を定量的なデータで可視化できるソリューションを開発。まずは自社で導入することで、「営業1名あたりの獲得粗利23倍」「MROI(マーケティング投資利益率)が3か月で400%成長」「商談獲得生産性が3か月で3倍に増加」などの成果を出してきました。
DX化する前、ウィルゲートはどんな課題を抱えていたのでしょうか。そして、開発したソリューションで、その課題がどう変化したのでしょうか。専務取締役COOの吉岡諒氏に聞きました。
昨年比300%成長するために必要なダッシュボードを構築
株式会社ウィルゲート 専務取締役COO 共同創業者 吉岡 諒氏
経営者は昨年比200%、300%の成長を目指して経営するべきですが、そのためには高い生産性と高度な管理体制が必要です。ウィルゲートでは、2018年より前、社内データのほとんどはBI化されておらず、生産性が不明瞭で管理体制が高度になっていませんでした。
「ウィルゲートはもともと、一般的な企業と同じで各々のメンバーがエクセルやGoogleスプレッドシートでデータを管理していました。会議の際に、それらのデータをレポートにまとめて経営陣に報告する仕組みだったため、経営陣が数字をキャッチアップできる機会は2週間に1度の会議しかありませんでした。これは2週間に1度しか経営判断できなかったということを意味します。これではスピーディーな意思決定ができません。
それでは、どのような情報をBI化していくべきでしょうか。昨年比300%成長する企業になるためには、メンバー全員が『いま、どういう状況でなにをすべきなのか』を正しく認識する必要があります。そこでまずは、営業の数字をBI化しようと考えました。
数字を毎日キャッチアップできる仕組みを作ってしまえば、デイリーで経営判断ができます。また、マネージャーやメンバーは未来に対してどの程度の数字を積み上げられているのかがわかり、自分が取るべき行動を把握できるわけです」(吉岡氏)
ウィルゲートはこの営業数字のBI化から着手し、現在はさまざまなデータを可視化しています。
営業管理のダッシュボードを使えば、非連続な成長を実現するための戦略が数字でわかる
ウィルゲートが最初に着手した営業を管理するダッシュボードのBI化。これによって起きた具体的な変化を、COOの吉岡氏はこう語ります。
「営業管理のダッシュボードでは、会社全体がお客様に提案しているサービスの金額、実際の受注金額などが一目でわかるのはもちろんのこと、営業担当ごとの保有案件、提案金額、受注金額、受注率などの数字も表示できます。また、部門ごとの受注比率や受注までのチャネルなど、営業に関するさまざまなデータが集約されています。
これまで私たち経営者側がこうした情報を知るためには、営業マネージャーなど現場の社員に聞かなければなりませんでした。このダッシュボードを開発したことで、経営、マネージャー陣が自分のデバイス上で確認できるようになったのです」(吉岡氏)
スピーディーに経営判断するには、常に最新の情報をピックアップできる状態にしておかなければなりません。それを簡単に入手できる仕組みは大切です。
「このダッシュボードは、効率的な成長を目指すことにも活用できます。弊社はSEOのコンサルティングサービスをおこなっていますが、たとえばお客様のビジネスモデルごとの受注率を確認してみましょう。サービスサイト、ECサイト、メディアなどビジネスモデルごとの受注率を出すと、サービスサイトを60%としたとき、ECサイトが30%、メディアが20%となっています。サービスサイトはメディアの3倍受注率が高いですね。
そのうえで受注単価をチェックしてみます。やはりサービスサイトはメディアの約2倍の単価で受注していますね。これらの数字を掛け合わせると3倍×2倍=6倍。つまり、サービスサイトはメディアの6倍の効率で売上をあげていることがわかるのです」(吉岡氏)
受注単価や受注率が高い領域がわかれば、効率的な経営が見込めます。こうした情報を一目で確認できるのは便利ですね。
「もう一つ、顧客継続率についてのデータもわかります。たとえばBtoCの脱毛サロンのお客様がいらっしゃったとしましょう。このようなビジネスモデルはコンサルティングフィーが高いことが多いので月100万円、年間1200万円の売上です。ところが、こうしたお客様には大手の競合が営業をかけるもの。そのため、1年後には熾烈なコンペになることがあります。コンペでの受注率は30%程度でしょうか。そうすると、年間1200万円の売上があるお客様でも、わずか1年で解約になってしまう可能性もあるわけです。
一方、年間500万円のコンサルフィーのBtoBのお客様がいたとします。しかし、BtoBだと熾烈なコンペに巻き込まれることも少なく、その契約が5年続いたらどうなるでしょうか。500万円×5年で2500万円の売上になります。
年間1200万円の売上で1年間契約のお客様と年間500万円で5年間契約できるお客様。当然、後者のようなお客様と契約を結ぶことに力を注ぐほうが効率的です」(吉岡氏)
契約を取るには時間も労力もかかります。高単価である一方1年で契約が終了してしまうクライアントより、単価が高くなくても長く付き合えるクライアントと契約したほうが、トータルリターンが大きくなるのは当然です。
ダッシュボード導入後の変化
では、ダッシュボードによって営業に関する数字をBI化した結果、どのような変化が起きたのでしょうか。
「ビジネスモデルごとの受注率、受注単価、継続率のタイムバリューなどを分析したことで、自分たちの勝ちパターンと負けパターンを把握できるようになりました。そして、苦手な領域ではサービスの提案の辞退を検討するようになりました。
たとえば、苦手な領域で営業したとき月1000万円受注できたとします。しかし、5倍効率的に営業できる得意な領域なら月5000万円受注できるでしょう。その差は4000万円。これが12か月あれば4億8000万円の差になってしまうのです。
このダッシュボードを使うことで、得意領域にリソースを割くという意思決定を取れるようになりました」(吉岡氏)
営業管理のダッシュボードでは、クロス分析の機能もあります。たとえば「担当者×クライアントのビジネスモデル」でクロス分析すれば、どの担当者がどんなビジネスモデルのクライアントの受注率が高いかはっきりとわかります。これをもとに担当者と提案案件を適切にマッチングすれば、生産性がさらに高まるのです。
稼働管理のダッシュボードを使えば、メンバー一人ひとりが成長のために正しく行動できる
ウィルゲートが自社で実証したのは営業管理のダッシュボードだけではありません。メンバーの稼働管理のダッシュボードも活用しているといいます。
「稼働管理のダッシュボードは、メンバーがどんな業務にどれぐらいの時間をかけているのかを把握するためのツールです。弊社には約15名のコンサルタントと、約10名のアナリストがいますが、本人に直接聞かなければこうした情報を把握できませんでした。
ご存じのようにコンサルティングビジネスのコストは人件費が大部分を占めます。ですから、本来必要のない時間を減らすことが生産性の改善につながるのです。稼働管理のダッシュボードでは、コンサルタントが使った時間をグラフ化して表示します。このグラフは主に2色に分けられており、コンサルタントが顧客に価値を提供している時間を『青』、本来は必要ないはずの業務を『赤』で表現しています。「赤」に分類されるのは、顧客への謝罪訪問、不要な資料作成などです」(吉岡氏)
こうしたデータをどのように活用しているのでしょうか。
「まずわかったのは、MVPに選ばれたり顧客満足度が高かったりするコンサルタントは、青の割合が多いということです。一方、クレームや解約が多いコンサルタントは赤の割合が多いのですね。
そこで成果を出しているコンサルタントの色の割合を理想的な稼働と定義し、標準化することにしました。これによって全員の行動が理想に近づき、生産性が高まります。
また、トラブルに対しての打ち手が早くなることも大きなメリットです。以前は役員にネガティブな報告が入るころには大きな問題となっており、場合によっては解約につながってしまうこともありました。このダッシュボードを使えばトラブルをすぐに察知できるので、速やかに対策を打てます」(吉岡氏)
トラブルで解約されてしまうのは、損失でしかありません。こうした危険をいち早く回避するのは、非常に大切ですね。また、あまりにトラブルが多い場合は、オーバーワークであることも考えられます。仮に1人で10社を担当していたとしたら、たとえば6社に減らすことで負担を軽くするというように活用することもあるといいます。
もちろんトラブル回避にだけ活用できるわけではありません。
「コンサルタントごとにデータを見るのではなく、お客様ごとでも確認できます。たとえばA社からはこれだけのフィーを受け取っているのに使っている時間が少ないのではないか、B社は目標が未達成なのでもう少し時間をかけようといったことがわかるわけです。つまり、どのお客様にどれぐらいの時間をかけるべきかを検討し、社内の体制を整えられるのですね」(吉岡氏)
どのクライアントのためにどれぐらいの時間をかけるべきなのかは把握しづらいものです。ダッシュボード上で数字を検証できれば、「自分はいま、どのクライアントのための仕事をするべきか」がはっきりわかります。
ダッシュボードの導入に特別なものは必要ない
営業管理のダッシュボードと稼働管理のダッシュボード。2つのBI化によってウィルゲートの業務効率は大幅に改善し、受注増加や顧客満足度向上につながりました。では、これらのダッシュボードはどんな企業でも導入できるのでしょうか。
「営業管理のダッシュボードは社内のSFA(セールス・フォース・オートメーション)やCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)のデータをもとにしています。稼働管理のダッシュボードについては単純明快で、エクセルやスプレッドシートで集計したものを可視化するツールです。
エクセルやスプレッドシートを利用した理由は主に2つあります。まず、エクセルやスプレッドシートだと、社員が入力しやすいんですね。これを独自のシステムにすると、入力率が一気に下がります。
また、エクセルやスプレッドシートなら改修が容易です。独自システムでは改修するためにシステム部と相談して、何営業日かかかってしまうでしょう」(吉岡氏)
エクセルやスプレッドシートといった、日々の業務で使っているツールであれば入力を面倒に感じてしまうこともなさそうですね。
データを活用して成長を加速したい企業はぜひ導入を
ウィルゲートは開発したBIツールの有効性を、自社で利用することで実証しました。そしていま、成長を遂げようとする企業へ提供しています。
「がんばっているけど売上が伸び悩んでいる、利益率が上がらないといったお客様に、ぜひ導入していただければと思います。
かつての私は、はずかしながらお客様のセグメントさえ把握していませんでした。どんなお客様が何%ほどいらっしゃるのかなどを、すぐには答えられなかったのです。ですから、いま考えれば受注率や継続率が低いお客様にも積極的に営業をしていました。
ウィルゲートのダッシュボードを使ってデータを可視化すれば、どのお客様にどういった提案をすれば受注につながりやすいかなどが数字から見えてきます。その結果、効率的な仕事につながり、高い成長率につながるのです」(吉岡氏)
「よく勘違いされるのですが、BI化すればすべてがうまく行くというわけではありません。私たちは『MROI(マーケティング投資利益率)』という指標を使って成長率をはかっています。人件費とコストをどれぐらいかけて、どれぐらいの粗利を得ているのかを表す数字ですね。2018年7月から9月にかけての3か月間で、私たちはこの数字を1000%にすることができました。ただ、実はこれでは生産性が高すぎです。そこでマーケティング部門に12名の採用投資をする意思決定を行い、さらなるマーケティングによる事業成長を目指しました。紹介した2つのダッシュボードは*『投資すべきなのかコストカットすべきなのか』『投資するならどこに投資するべきなのか』といった判断材料*としても活用できます。
私たちはベンチャー企業であり、中小企業です。そんな私たちが困っていたことは、ほかのベンチャー企業、中小企業のみなさんもきっと困っていることだと思います。見ていただいたダッシュボードは使いやすさを追求して開発したものなので、きっとお役に立てると思います」(吉岡氏)
ウィルゲート自身が社内で活用して成果を実証した「営業管理のダッシュボード」と「稼働管理のダッシュボード」。その背景には本当にいいツールを提供したいという強い思いがあります。社内に蓄積された膨大なデータを活用して経営効率を向上するために、そして大きく成長するために、ウィルゲートのダッシュボードを導入してみてはいかがでしょうか。
- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
- ROI
- ROIとは、Return On Investmentの略で、投資利益率のことを指します。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- Googleとは、世界最大の検索エンジンであるGoogleを展開する米国の企業です。1998年に創業され急激に成長しました。その検索エンジンであるGoogleは、現在日本でも展開していて、日本のYahoo!Japanにも検索結果のデータを提供するなど、検索市場において圧倒的な地位を築いています。
- デバイス
- デバイスとは「特定の機能を持つ道具」を表す語で、転じてパソコンを構成するさまざまな機器や装置、パーツを指すようになりました。基本的に、コンピューターの内部装置や周辺機器などは、すべて「デバイス」と呼ばれます。
- SEO
- SEO(Search Engine Optimization)とは、GoogleやYahoo!などのサーチエンジン(検索エンジン)で、特定キーワードで検索が実行されたとき、ホームページが表示される順位を上げるためのさまざまな施策のことです。
- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
- 単価
- 商品1つ、あるサービス1回あたり、それらの最低単位での商品やサービスの値段のことを単価といいます。「このカフェではコーヒー一杯の単価を350円に設定しています」などと使います。現在、一般的には消費税を含めた税込み単価を表示しているお店も少なくありません。
- 単価
- 商品1つ、あるサービス1回あたり、それらの最低単位での商品やサービスの値段のことを単価といいます。「このカフェではコーヒー一杯の単価を350円に設定しています」などと使います。現在、一般的には消費税を含めた税込み単価を表示しているお店も少なくありません。
- BtoC
- BtoCとは、Business to Consumerの略で、企業と消費者間の取引のことを言います。
- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
- BtoB
- BtoBとは、Business to Businessの略で、企業間での取引のことをいいます。
- 単価
- 商品1つ、あるサービス1回あたり、それらの最低単位での商品やサービスの値段のことを単価といいます。「このカフェではコーヒー一杯の単価を350円に設定しています」などと使います。現在、一般的には消費税を含めた税込み単価を表示しているお店も少なくありません。
- 単価
- 商品1つ、あるサービス1回あたり、それらの最低単位での商品やサービスの値段のことを単価といいます。「このカフェではコーヒー一杯の単価を350円に設定しています」などと使います。現在、一般的には消費税を含めた税込み単価を表示しているお店も少なくありません。
- コンサルティング
- ビジネスはより高度化し専門的になっています。そこで、事業者のみならず専門家を呼び、彼らからアドバイスを受けながら、日々の活動を確認したり、長期の戦略を考えたりします。その諸々のアドバイスをする行為自体をコンサルティングといい、それを行う人をコンサルタントと言います。特別な資格は必要ありませんが、実績が問われる業種です。
- CRM
- CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、直訳すると顧客関係管理となります。
- ROI
- ROIとは、Return On Investmentの略で、投資利益率のことを指します。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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