バブル崩壊、リーマンショック、度重なる震災や水害、そして今まさに晒されている新型コロナウイルスによる経済危機ーー。企業は、これまでにあらゆる人災や天災による脅威に見舞われています。また、急速に発達する情報社会のなかで、トレンドは常に移り替わり、半年前の流行はもはや“オワコン”。そんな激動の時代のなかで、企業はこれまで以上に時代の流れを読み、過去に囚われずに新しい価値観を受け入れる姿勢が重要視されつつあります。かつて業績が落ち込んでいた企業の中には、今まで当たり前だった価値観を変えたことでV字回復を果たした事例も。

今回は、そんなV字回復を果たした企業がどのように窮地を乗り越えたのかが語られた書籍を紹介します。

USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

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出典:USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

開業初年度の2001年に入場者数は年間1100万人を突破したものの、翌年には700万人台まで落ち込み、客数はその後も10年ほど低迷していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。

「このままではUSJは倒産する」という危機的状況のなか、V字回復させたのが森岡毅CMOです。森岡氏が打ち出したのが「3段ロケット構想」。USJの弱みであったファミリー集客を取り込むこと、関西依存体質の集客構造からの脱却に向けた施策を打ち立てました。話題となったハリーポッターの世界観を再現したエリア展開も、その施策の一つです。

結果、2013年には入場者数1050万人を突破し、その後も2016年まで右肩上がりの入場者数を達成しています(2017年以降は入場者数非公開)。
著者がUSJにマーケターとして赴任し、著書の表題でもある「後ろ向きに走るジェットコースター」など、ヒットアイデアを次々と生み出しながら、わずか3年間で立て直したV字回復の軌跡から、問題解決手段とアイデアを生み出す発想力を学べるでしょう。

参考:安全問題浮上のUSJ、9年連続値上げの通信簿 決算公告で読む、コムキャスト買収後の状況

0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方

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出典:0秒経営 組織の機動力を限界まで高める「超高速PDCA」の回し方

著者の星﨑尚彦氏が入社した2013年当時のメガネスーパーは、赤字が8年も続く倒産寸前状態。巷では「JINS」や「Zoff」など低価格でファッショナブルなSPAが消費者の心を掴んでいたり、メガネスーパーと同じ中価格帯の競合他社が「レンズ付き価格」という新しいビジネスモデルを打ち出すなど、メガネ業界は戦国時代を迎えていました。

社員の士気も落ち込み業績も最悪ななか、メガネ業界を全く知らない星﨑氏が取り組んだのが「0秒経営」です。指示待ちが染みついていた社員が次々とアイデアを出し、超高速PDCAを回したり、改善施策が即時に実行され、上手くいけばその日のうちに全国展開をしたり、未来もチャレンジも描けなかったチームや組織の意識を変える経営論について記されています。リーダーとして部下を動かす立場、大きなプロジェクトを成し遂げたい人注目の著書です。

どんな問題も「チーム」で解決する ANAの口ぐせ (中経の文庫)

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出典:どんな問題も「チーム」で解決する ANAの口ぐせ

ANA(全日本空輸株式会社)は、英国の格付機関SKYTRAX社より世界最高評価「5スター」の航空会社に認定される優良航空会社。日本で唯一8年連続「5スター」に認定されているANAですが、2001年のアメリカ同時多発テロ以来、空のアクセスへの不安感から業界全体が危機的状況に陥り、翌年には25億円の営業赤字まで落ち込んでいました。しかし、そこから2004年に業績黒字化、リーマンショックや東日本大震災などの危機を乗り越えて、2016年3月には過去最高営業利益を記録するまでにV字回復を実現しています。

この原動力となったのは、勤続20年以上の機長、CA、整備士らが繰り返す口ぐせ。「TEAM ANA」に受け継がれてきた「おせっかい文化」の賜物でもあります。書籍ではANAに20年以上務めた現役社員やOBにインタビューし、長年受け継がれてきた「ANAの口ぐせ」と、チーム全体で成果を出す方法を紹介しています。わかりやすい内容で構成されており、「ミスをした人は犯人じゃない」など、管理職の人も一読する価値のある書籍です。

参考:ANA、2016年3月期の連結業績は増収増益、利益は過去最高

やる気を引き出し、人を動かす リーダーの現場力

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出典:やる気を引き出し、人を動かす リーダーの現場力

もともとは1957年にベルギーで誕生し、日本では靴の修理や合鍵作製で知られる「ミスターミニット」は、過去10年間におよび業績は右肩下がりという状況でした。現場の声を聞かない本社からの無茶ぶりに疲弊し、管理職は続々と休職、退職するまでに事態は悪化していました。

2014年にミスターミニット社長に就任した著書の迫俊亮氏は、当時29歳。そんな迫氏が行ったのは、新しいアイデアなどではなく、ただひたすらに会社のすべてを「現場中心」に作り直したことでした。現場の信頼感を勝ち取ることで、現場との意思疎通もしやすくなり、結果組織全体が前を向くことに繋がり、業績回復へと向かいます。

会社の上層部と部下の意思疎通が上手くいかない、リーダーとしての役割とは何だろう、このような悩みを持つリーダーや管理職が読むべき、現場への寄り添い方とリーダーシップを学べます。
参考:ミスターミニット、32歳の社長が考える「逆張り人生」の経営術

逆境を「アイデア」に変える企画術 ~崖っぷちからV字回復するための40の公式~

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出典:逆境を「アイデア」に変える企画術 ~崖っぷちからV字回復するための40の公式~

大阪府枚方市にある「ひらかたパーク」をご存知でしょうか?100年以上愛される関西屈指の遊園地ですが、1974年に入場者数160万人を突破したものの減少を続け、2011年には来場者数87万人にまで落ち込んでいました。

そこにテコ入れをしたのが、博報堂のクリエイティブディレクターの河西氏。ひらかたパークのイメージキャラクター「ひらパー兄さん」として、お笑い芸人のブラックマヨネーズ 小杉竜一氏を起用し、関西人が見逃せないボケを盛り込んだPRが話題に。さらに2013年からは2代目ひらパー兄さんとしてV6の岡田准一氏を起用することで大きな話題を呼び、V字回復を実現しました。

本書では、ひらかたパークのみならず、アウディの日本初3.2秒CMを発案し、北九州の遊園地「スペースワールド」の日本一明るい閉園CM「なくなるヨ、全員集合」で来園者数を2倍にした河西氏による、逆境をアイデアに変えるアイデアを具体事例とともに紹介しています。

「予算がないからPRができない」「商品力がないため宣伝がしにくい」と悩む宣伝・広報担当者はもちろん、PRの基本やWebキャンペーンに興味のある方にもオススメです。
参考:来園者10億人!?岡田園長またやった ひらパー絶好調
ひらかたパークは、USJと真逆のプロモでV字回復