ブランドマーケティング事例3:ブランドマーケティングを通じたCSV

経済的な価値創出だけでなく、社会と共有の価値を創造することが大事

大越氏:カルピスの生みの親である三島海雲が、仕事をする上でいつも口にしていた言葉が「国利民福」という言葉です。とても未来志向のある人だったので、特に未来を担う子ども達が健やかに成長することにとても心を砕いていおり、「国のため、世の中の人のために自分ができることをやっていこう」という考えを持っていました。つまり、当時からCSRやCSVの視点を強く持ちながら事業運営をしていたのです。

1923年9月に起こった関東大震災では、食糧難に陥り上野公園や日比谷公園などに集まった東京近辺の方々に、倉庫にあったカルピスと現金を使って、トラックでキャラバン隊を作り、東京都内各所を巡って氷入りのおいしいカルピスを配ったという、彼の人柄を表すエピソードもあります。

そういった三島海雲の志を引き継ぎながら、特に子ども達の健やかな成長という観点でいくつか取り組みをしています。

例えば、全国の保育園や幼稚園にカルピスを提供して、日本の伝統文化であるひな祭りをカルピスを飲みながら園児に祝っていただいたり、子ども食堂への寄付活動と食育も行っています。

最近では、心の健康度研究にも力を入れており、親子でカルピスを作ってもらうことは子どもの発達に繋がり、カルピスが親子のコミュニケーションに非常に役立つ、ということが共同研究で実証されています。

ブランドマーケティング事例4:ファンとの絆作り

ファンとの会話のなかから次の新しいアイデアを見つける

大越氏:ブランドを古いものにしたくない、という思いもあり、カルピスファンの方々との絆作りは大事にしています。例えば、「カルピスステーション」と名付けた場を作り、親子で来店したお客さまに、カルピスを作るという良質なカルピスの原体験をしてもらう取り組みなども一つの実例です。

また、いわゆる「ファンミーティング」も行っており、全国のカルピスファンに来ていただき、経験談、アイデアなどさまざまな話をまず傾聴しましょう、という機会を作っています。そういったなかで生まれた施策の一つで、「カルピス蛇口」というものを昨年全国各所で行いました。「蛇口をひねるとカルピスが出てくる」という、ファンの方の子どもの頃の夢を実現したこの施策は、大変好評でした。お子さまが喜ぶのはもちろんのこと、それを見ている親世代も幸せな気持ちになっていただく、それがこの企画のミソだと思っています。

基本価値を守りながら進化していく

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大越氏:100周年はゴールではなく通過点であり、カルピスのブランドマネジメントする上で、4つの基本価値をこれからも守りながら、ただ売上のためだけではなく、「世のため」にブランドマネジメントをしていきたいと思っています。

「人を大事に」する姿勢が、人の愛着を生む

大越氏の講演を通して感じたことは、「人を大事に」するブランドであるということ。時代のニーズに柔軟に合わせながらも、カルピス誕生時から変わらず「4つの基本価値」を徹底的に守り抜く姿勢と、お客さまだけでなく社員との関わり方を大事にすることで社内外のファンが生まれるといういいサイクルを作り出していることこそ、カルピスが長年愛される理由なのかもしれません。