
ユーザーの「気持ち」を可視化する次世代のKPI設計手法「コンセプトダイアグラム」とは?(小川卓氏)-マーケティングテクノロジーフェア2016-
- ferret編集部
- 2016年2月29日
- ニュース
- 6,730

ferret編集メンバーが不定期で更新します。
Webマーケティング界隈の最新ニュースからすぐ使えるノウハウまで、わかりやすく紹介します!
>> 著者詳細はこちら
2月16~17日の2日間、東京ビッグサイトにて、
マーケティング
関連企業と
マーケティング
ツール
導入を検討する企業をマッチングさせるためのイベント「マーケティングテクノロジーフェア2016」が開催されました。
当日は多くの企業がブース出展し、著名人による講演・
セミナー
も随時開催されました。
今回は、 マーケティング テクノロジーフェア内で開催された、アクセス解析の第一人者である小川卓氏による、新しい KPI 設計手法「 コンセプト ダイアグラム」についての講演の様子をお届けします。
コンセプト ダイアグラムとは何なのか、これまでの方法とは何が違うのかをステップにわけて解説されています。
講師紹介
小川 卓氏
ウェブアナリストとしてマイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンジャパンで勤務。現在はフリー。解析 ツール の導入・運用・教育、ゴールと KPI 設計、施策の実施と評価、継続的な PDCA 活動に従事。
個人として、 ブログ 「Real Analytics」を2008年より運営。全国各地で講演を年間40回以上実施。主な著書に「ウェブ分析論:増補改訂版」「ウェブ分析レポーティング講座」「漫画でわかるウェブ分析」「Webサイト分析・改善の教科書」など。アナリティクスアソシエーション プログラム 委員・デジタルハリウッド大学大学院准教授・株式会社UNCOVER TRUTH CAO・Faber Company CAO・サイコス株式会社 エグゼクティブディレクター。※CAO = Chief Analytics Officer
ユーザー を考慮しない KPI は無意味
セッション
数とか滞在時間とか、1
セッション
あたりの平均
PV
とか
CV
率とか、新規の割合とか色々見る項目はあります。
でもたまたまそれらの数値を取れる解析
ツール
があるから取っている、というのはあると思います。
例えば、直帰率。1ページだけ見て出ていってしまう割合を76%から65%に改善しました。
UI
を改善して
リンク
もいれました。滞在時間も改善しました。
でも、だから何だ、というところなんです。つまり、滞在時間が伸びることは
ユーザー
にとって本当に良いことなのか、というところはしっかり考えないといけないと思います。
例えばTOP
ページ
の場合は滞在時間短い方が良いんですよね。
TOP
ページ
の滞在時間が長い場合は、
ユーザー
が目的の
コンテンツ
を見つけられず迷っているということなんです。一覧
ページ
に長くいる場合も同様ですね。
「長いから良さそう」ということで数値を設定してしまっている場合、ビジネスのゴールに繋がるかどうか、
ユーザー
の為になっているのかどうかを考えみるのが、スタート地点です。
改善することで顧客の体験を変えるような数字を設定すること、そしてその数字が企業のゴールにつながっているかどうかが重要です。
ユーザー
視点、企業視点どちらも持たなければいけません。
今までたまたま取れている数字を KPI に設定するのではなく、新しい KPI を設計していこう、そしてそれを実現する手法の一つが コンセプト ダイアグラムです。
コンセプト ダイアグラムとは「 ユーザー 体験を見える化」すること
コンセプト ダイアグラムとは、 ユーザー の行動、気持ちの変化を図解した、計測可能なアウトプット群を指します。いわゆる カスタマージャーニー と違うのは、 ユーザー 視点で考えて描くこと、そして数値化して アクセス解析ツール で トラッキング 出来る状態にし、改善に活かしていくという点ですね。
コンセプト ダイアグラム作成の5ステップ
コンセプト ダイアグラムを作成する際は、基本的にこの5つのステップを踏みます。
1.気持ちの変化を描き出す
2.流れを図解する
3.気持ちを追加する
4.進むために必要な機能や
コンテンツ
を洗い出す
5.
ユーザー
群を定義する
このサイトに来た
ユーザー
は、どういう気持ちで訪れたのか、どういうプロセスを経て
ユーザー
のゴールにたどり着くのかを描きます。
ユーザー
の視点でシンプルなラインを描き、その後に気持を追加していきます。
このユーザーが次のステップに進むためにはどのような機能、
コンテンツ
が必要なのかを考えます。
ユーザー
の気持ちを変えるために、何を提供すればいいのかを洗い出しましょう。
そして最後に
ユーザー
群を定義します。「商品詳細の閲覧」とか「カートに投下」というような考え方ではなく、「商品の購入を真剣に検討して探している人」「購入する商品の候補を見つけたけど決めきれていない人」といったような
ユーザー
の状態にわけてグルーピングを行います。
コンセプト ダイアグラムを活用するための3ステップ
コンセプト ダイアグラムは作成して終わりではありません。作りっぱなしでは意味がありません。 コンセプト ダイアグラムを活用するためのステップがさらに3つあります。
6.
ユーザー
群の計測定義を行う
7.運用レポートを作成する
8.分析・改善提案を行う
まず、
ユーザー
群の計測定義を行います。流入
キーワード
やサイト内行動、訪問頻度などを元に、このユーザーはこのような行動をしているはずだというこを定義していくことで、グルーピングした
ユーザー
群ごとの増減や行動がわかるようになります。
今まで直帰率とか
PV
のような
KPI
ではなくて、このユーザー群を増やそうとか、このユーザー群の5割に納得してもらおうとか、
ユーザー
の気持ちを変えるための
KPI
を設定できます。
もちろんユーザー群によって行動は全く違うので、
ユーザー
群ごとに必要な機能や
コンテンツ
を洗い出していく必要があります。
いわゆる一般的な KPI ではなく、 ユーザー の行動を可視化し、 ユーザー 群としてグルーピングし、計測して、分析して、どうやって気持ちを変えていけば次に進めるのかを考えて改善していくのが コンセプト ダイアグラムです。
コンセプト ダイアグラムは著名なマーケターであるの清水 誠氏も提唱されています。
参考
コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析
まとめ
アクセス解析に Googleアナリティクス を利用されている方は多いと思いますが、小川氏の指摘する通り、確かに Googleアナリティクス 上に記載されている項目( セッション 、 PV 、直帰率など)に引っ張られ、「この数値を追わなければいけない」と無意識に感じていたり、「 Googleアナリティクス にあるんだから、分析に必要な数値に違いない」と鵜呑みにして思考停止してしまっている場合は往々にあるのではないでしょうか。
本講演で提唱されている「
コンセプト
ダイアグラム」は、数字本位になりがちな従来の
KPI
ではなく、「
ユーザー
の行動を変える(
ユーザー
の悩みを解決する)」ための目標を設定できるよう設計されています。
アクセス解析は、「
ユーザー
の気持ちの変化を読み取る」ためのツールです。
本来の意味でサイト改善できるよう、
コンセプト
ダイアグラムを活用した目標設計を行ってみましょう。
