新型コロナウイルスの影響により、外出が制限される状況が続くなかで、消費者の消費行動に変化が起きています。自宅時間を楽しむための消費が増えていく今、家で楽しめる贅沢として「高級志向」の視点を持つ人が増え、SNS等で注目されています。

今回は、「高級志向」についてコロナ禍の消費者を取り巻く状況とともに、消費行動などの各種調査結果を踏まえつつ、巣ごもり消費下における高級志向ニーズの実態を紹介します。

高級志向とは

高級志向とは、商品やサービスを購入するときに高級なものを求めることを指します。コストパフォーマンスを重視することや節約と対になる考え方と捉えるとわかりやすいでしょう。

商品やサービスは、それぞれのターゲットに応じた価格帯を設定していることがほとんどです。高級志向の場合には、生活にゆとりがある方をターゲットにして販売をしていることが多く、価格より品質やこだわり、ブランドの高級感に惹かれて購入するのが高級志向の消費者と言えます。

コロナ禍における消費の変化

株式会社マネーフォワードの「コロナ禍の個人の家計実態調査」によれば、回答者の48%が新型コロナウイルスの影響でお金に不安を感じているそうです。休業要請等でやむなく事業を休止していた企業も多く、まだまだ先行きは不透明と言えるでしょう。株式会社帝国データバンクの「TDB景気動向調査(全国)ー2020年5月調査ー」によれば、経済状況の悪化は一時的に下げ止まると予想されています。そんななか、自宅にいる機会が増えたことにより、消費の変化が起きています。

巣ごもりによる消費行動の変化

外出自粛要請が解除された今でも、引き続き3密を避けることが推奨されており、最近では由比ガ浜海水浴場で海水浴場の開設が中止されるなど、しばらくはレジャーを楽しむことも難しいでしょう。

外出が難しくなると、家で過ごす「巣ごもり」の時間が増えます。そうなると家の中での消費が増えるため、消費行動にも変化が起きるのです。

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出典:「新型コロナ」自粛期間に購入したモノ・始めたコト

株式会社プラスアルファ・コンサルティングの調査によれば、自粛期間前半には運動グッズやテレビゲーム、本などをはじめとした商品の購入が多かったそうです。一方自粛後半では、音楽・楽器の順位も上昇。外出自粛期間を通じて、健康面への配慮や巣ごもり時間を楽しむものへの消費が高まっていることがわかります。

ストレス発散のための消費

巣ごもり時間を楽しもうとする背景には、外出できないことへのストレスを和らげる心理もあると言えます。

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出典:外出自粛でストレスを感じている人は56% 自宅で快適に過ごすため買った商品1位は?

「モノレコ」を運営する株式会社CyberOwlが、1,000人を対象に行ったアンケート調査によれば、外出自粛でストレスを感じているのは全体の半数以上。この調査がとられたのは、2020年の4月です。そのため、今後も外出できない期間が長引くことでストレスを感じる人はますます多くなると予想されます。

そんなストレスを、家で解消できるようなモノやサービスへの消費の需要は今後も高まりを見せるでしょう。

巣ごもり消費でなぜ高級志向になるのか

巣ごもり消費と高級志向が結びつくのはなぜか。結論から言うと、単調になりがちな自宅での毎日にアクセントを加えるためではないでしょうか。読者の方の中にも、外出自粛を機に「ちょっと贅沢をしよう」という気持ちが高まった方が少なくないはずです。

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出典:お取り寄せ 贅沢|Google Trends

実際にGoogle トレンドで「お取り寄せ 贅沢」と調べると2020年の5月から人気度が急上昇していることがわかります。点線部分は推定値である点には注意が必要ですが、需要が高まっていると言えるでしょう。

また、SNS上でも普段はなかなか味わえない「お取り寄せギフト」に注目が集まっています。

例えば、ロケ弁やケータリングで有名な「オーベルジーヌ」では、お取り寄せを開始することをツイートしました。このツイートは6,000件以上のリツイートと8,000件以上のいいねがついています。

また、こちらのツイートは1万4,000件以上のいいねを獲得していました。

今回紹介した2つのTwitterアカウントは、どちらも大手チェーン店ではなく、フォロワー数は数千人です。それにも関わらず多くの反響があったのは、巣ごもり消費で贅沢品を楽しみたい、という需要の後押しがあるからではないでしょうか。

巣ごもりだからこそ「ちょっと贅沢」な商品・サービスが求められる

コロナ禍で、経済的に不透明ではあるものの、「ちょっとした贅沢」はこれからも求められると考えられます。withコロナ、afterコロナ時代を迎えるこれからは「自宅でできる贅沢をどのように提供できるか」という視点をもち、商品やサービスを提供してみてはいかがでしょうか。

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