オイシックス・ラ・大地のマーケター井上さんに聞く! マーケターに必要なスキルはロジカルな考え方と思いを馳せること
マーケターにとって必要なスキルとは何でしょうか? 流行を捉えたりリサーチ能力や分析力に優れていたりとさまざまなスキルが必要です。しかしながら、マーケターは百人百様。個性豊かな人たちが、日々自社のサービスや商品を世に広めるために、日々踏ん張っています。今回はそんなマーケターの中から、ユニークな経歴をもつオイシックス・ラ・大地株式会社 統合マーケティング本部 本部長 ソーシャルマーケティング室 室長の井上政人氏に、ご自身のマーケターとしての歩みとマーケターに必要なスキルについてお話を伺いました。
プロフィール
- 井上 政人 氏
- オイシックス・ラ・大地株式会社 EC事業本部 マーケティング室 室長
大阪府出身。高校卒業後、音楽活動と並行して植木職人、木こり、デザイナー、Eコマースディレクターとして活躍。その後、オイシックス株式会社(現、オイシックス・ラ・大地株式会社に社名変更)に入社。オイシックス・ラ・大地ではEC事業本部PR室、統合マーケティング部ソーシャルマーケティング室長、統合マーケティング本部長を経て現職。KitOisixプレミアムモニター、#やさいドレス、クレヨンしんちゃん×Oisix、OisixテレビCM「献立予報」、東京ハーヴェスト、100万人のキャンドルナイトなど「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の3ブランドのマーケティング活動に携わっている。
異色の転身!レゲエミュージシャンからDTPデザイナーに
**[primary]ferret:[/primary]**井上さんのこれまでのご経歴を教えてください。
**[primary]井上氏:[/primary]**高校生のときにレゲエにハマって、27歳まで音楽活動をしていました。その傍ら、植木職人や木こりなどもしていました。そのあと音楽活動を辞めて、町の印刷屋さんでDTPデザイナーとして働き始めました。イラストとかグラフィックデザインが好きだったのと、フライヤーとか趣味でつくったりしていたので名刺とかチラシづくりに携わりたいと思いDTPデザイナーを選んだんです。それから、当時のトレンドとしては紙媒体よりもWebだろうなと思い、Webデザイナーに転職しました。転職した会社はインテリア商品を販売していて、Webデザイナーが商品の撮影からキャッチコピーを考えたり商品説明を書いたりしてデザインしていくというフローでサイトにアップしていました。そこでカメラの撮影のノウハウを覚えて、コピーライティングの勉強もしてそこでの経験が大きいですね。
その会社では、楽天市場やYahoo!ショッピングに商品を出していましたが、自社ECサイトをつくることになったんです。そこで僕が立ち上げの担当として任されました。EC担当ということで、まずは集客をしなきゃいけない。*そこで初めてWebマーケティングの勉強を始めました。*本なんてほとんど読んだことなかったんですが、主に本で勉強しました。本を読んでみるとスラスラと頭に入ってきて、自分の中で考えていたことと紐づいてアイデアになっていって楽しく勉強できたんです。
成長を追い求め、オイシックス株式会社(現、オイシックス・ラ・大地株式会社に社名変更)へと転職
**[primary]ferret:[/primary]**Oisixに入社された経緯を教えてください。
**[primary]井上氏:[/primary]**前職の会社でECを任されてから、さらに成長してECを極めたいなと思ったのが転職のきっかけです。*オイシックスを選んだのは、会社の理念として食を通じて世の中を良くしていくということに共感したことと、自然が好きなんですね。*実家も大阪の田舎の方ですし木こりとかしていたこともあって、野菜を売っているオイシックスは自然とのつながりがある会社なので、オイシックスへ転職しました。
入社後に配属されたのが、EC事業本部のPR室でした。そこでのミッションは、新規のお客様を増やしていくことで、主にオーガニックからの流入で来られるお客様の受け皿としてLPやトップページをつくっていました。前職でもLPや入会導線の改善については担当領域だったのですが、全て自己流だったので、オイシックスに入社してから半年くらいは苦労しましたね。*というのもオイシックスはロジカルシンキング講座を全社員が受講するんです。会社としてロジカルシンキングが浸透していて、「なぜそのタイトルなの?」「なぜそのキャッチコピーなの?」というように「なぜそうなのか」ということを言語化しなきゃいけない。だから相当苦労しました。*だけどその当時の上司に「ロジカルに物事を考えてない人なんていないんだよ」って言われたんです。例えば、「今日着ていく服は取材があるからこれにしよう」と服を選ぶこともロジカルシンキングのひとつだから、大きくロジックと感覚って分けなくていいよと言われて腹落ちしました。ロジカルシンキングに関して苦手意識があったんですが、その言葉によって理解できましたね。
それから運営するOisixのサービスをもっと多くの人に広めるためにはどうすればいいんだろうと考えるようになりました。ECにおいて「トラフィック数×CVR=CV」と考えたときに、どの変数を伸ばしていくのがいいのだろうと考えていて、他社の事例なんかを勉強してみたりしました。*世の中のマーケティングに関わる人たちが頭を悩ませている目標があって、その目標を達成するためにはCVRを高めていくことも重要だけどトラフィックを増やしていかなきゃいけないと思っていたんです。*トラフィックを増やすためには、今Oisixのサービスを利用していただいていないお客様にも利用していただける状態をつくらなきゃいけない。そう考えたときにさまざまな制約条件の中でオーガニックやリファラルからのトラフィックを増やしていく手法を取らないといけないと思って試行錯誤しました。*けどそこで気づいたのが広い目線で考えたときに、Webのマーケティングというよりは広義のマーケティングを捉えないといけないと感じたんです。*そしてちょうどそのとき統合マーケティング部が立ち上がったので異動することになり、今に至ります。
印象に残る仕事は会社が一致団結して臨んだテレビ出演
**[primary]ferret:[/primary]**今までで一番印象に残っているお仕事を教えてください。
**[primary]井上氏:[/primary]**2019年の4月にTBS系列『坂上&指原のつぶれない店』、8月にテレビ東京系列『日経スペシャル カンブリア宮殿』に取り上げていただきました。そのときに全社一丸となってテレビ出演に臨んだのがとても印象に残っていますね。テレビ局側とのやりとりをする担当が僕のチームにいる広報メンバーだったんです。テレビに出演するとなると、テレビ局側の意向もありますし会社の意向もある。そんな中で、広報チームだけでなく他のチームや部署の力を借りてまさに会社が一致団結して番組制作に挑みました。
生産者さんの畑のシーンを撮ったり、Oisixの商品がご家庭に届いてお客様が食べているシーンを撮ったりするために、生産者さんやお客様への交渉などを短期間で行わなければいけなかったんです。それに加えてテレビで放映されることによってトラフィックが増えてサイトが落ちないようにするために、システムチームにも協力をしてもらったりと、みんなが協力し合って無事に成功することができました。視聴率も良かったと聞いていますし、自分が成し遂げたいと思っていたトラフィックの増加という目標にもつながりました。
マーケターに必要なスキルとは?
**[primary]ferret:[/primary]**井上さんにとってマーケティングの定義とはどのようなものですか?
**[primary]井上氏:[/primary]**そうですね、*マーケティングの本質は“買いたい”と思う気持ちをつくることかなと思います。*その“買いたい”と思う気持ちが多くの人に生まれた結果マーケットになっていく。元々はn=1のはずで、そう考えると買いたいとか、使いたい、使い続けたいという気持ちをいかにつくれるかというのがマーケティングの役割だと思っています。
**[primary]ferret:[/primary]**最後にマーケターになりたい方へメッセージをお願いします。
**[primary]井上氏:[/primary]**本で勉強することや他社の事例を学ぶことは当然ですが、*マーケターに必要な力はロジカルな部分と感覚的な部分の両方だと思います。ロジカルの部分は他社の事例がなぜ成功しているのかを考えて、なぜそのサービスや商品がお客様に支持されているのかというwhyの部分を掘り下げて自分なりの答えを見つけておくことです。正解なんてないんですから。*知識として「●●マーケティング」が流行っているとかは必要ですが、表面上の部分だけを真似してもうまくいかないのでそこでロジカルシンキングが必要になります。
*感覚的な部分は人付き合い、コミュニケーションが重要だと思います。それは相手がどういう風な考え方で行動したり商品を選んだり、なぜそういうことをするんだろうと思いを馳せることです。*身近なことでも、どうすれば家族が喜んでくれるかなとか考えることですね。そういう感覚とロジックのミックスが重要じゃないかと思います。
ロジカルだけではうまくいかないですし、マーケターになりたい人はその二つを意識するのが重要だと思います。日常生活でもコンビニに行って「なんで俺は今このジュースを手にとったんだろう」というところからロジカルシンキングが始まりますし、ついでにジュースを彼女に買って行ってあげようと思って「冷たいの嫌がるかな……」と思いを馳せるのが感情的な話じゃないですか。その二つは日常生活でもできることなので、その癖を身につけていって仕事に活かせばいいと思います。気をつけなければならないのは、仕事になった瞬間に売り手目線になってしまうのでいかにその癖をフラットに持ってこられるかっていうのは重要ですね。
**[primary]ferret:[/primary]**ありがとうございました。
オイシックス・ラ・大地株式会社:https://www.oisixradaichi.co.jp/
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- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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- キャッチコピー
- キャッチコピーとは、商品などの宣伝の際に使用される文章のことです。 宣伝をする対象のイメージや特徴を簡潔にまとめつつ、見た人の印象に残る必要があります。一言で完結するものから数行になる文章など、実際の長さはバラつきがあります。 キャッチコピーの制作を職業とする人のことを、「コピーライター」と言います。
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- オーガニック
- オーガニックとは、検索結果ページに表示されるリストのうち、広告以外のものを指します。「オーガニック検索」、「自然検索」、「ナチュラル検索」などとも言われます。
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