カスタマージャーニーを元に施策を展開する方法

では、toBでカスタマージャーニーを作成した後、それを基にどのような施策を展開できるかを見ていきましょう。

①的を射た改善施策づくり

マーケティング施策のPDCAを回していく際には、アナリティクスをはじめ、さまざまな分析ツールを用います。
しかしそれだけでは、「バナーを踏んだ」「LPを見た」など各タッチポイントでの部分的な課題を可視化するのみに留まり、ターゲット客による一連の体験の流れを俯瞰して施策を検討する、というところまではできません。

カスタマージャーニーとは、ターゲット客の一連の行動・心理を時系列に並べて整理・把握するものです。
そのため、自社製品・サービスがいつ・どこで認知され、どんな理由から購入・利用に至るのかを精度高く把握することに寄与します。

よって、どんなタイミングでどんな施策が有効か、的を射た改善施策を投入しやすくなる、というメリットがあります。

②自社内での共通認識を強固にする

カスタマージャーニーは、自社内で組織を横断して、共通認識を強固にしたい場面でも大いに寄与します。

マーケティング施策を展開する際には、組織を横断したチーム編成で進めるケースも多々あります。しかし各部署ごとに注視している課題が異なるため、施策への理解がバラバラ、という事態にも陥りがちです。

そういった場面でカスタマージャーニーマップを共通認識として理解しておけば、プロジェクトチームとしての意思決定・施策実行スピードがアップしやすくなります。

③ターゲット視点を基に、自社の強み・弱みを把握する

マーケティング活動では、自社本位の視点に陥ってしまうことも多々あり得ます。しかし、ターゲット客による評価とは、競合他社と比較検討した上で成り立っています。

つまり、ターゲット客の目線を客観的に捉え、競合他社と自社とを比較する観点を取り入れることで、自社の強み・弱みを正確に把握することにも役立ちます。

④MAツールを効果的に活用する

特にtoB領域においては、MAツールを活用してターゲット客とのコミュニケーションを効率化している企業が増えています。

MAツールを効果的に運用するためには、ターゲット客とのコミュニケーションシナリオが必要です。このシナリオを作る際にも、カスタマージャーニーが役立ち、より有効にMAツールを活用できるようになります。

[参考]カスタマージャーニーとは|マップの作り方から事例まで【B2C・B2B】|CX survey
https://jp.creativesurvey.com/blog/posts/2020-01-17/

BtoB領域でのカスタマージャーニー作成・活用事例

リコーのダイレクトマーケティング

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[出典]BtoB版「刺さるコミュニケーション開発」のPDCA|リコーのマーケティング支援
https://drm.ricoh.jp/lab/learning/l00003.html

[図1]は、マーケティング立案から広告制作まで請け負う「リコー」のダイレクトマーケティングにおけるBtoBのカスタマージャーニーマップです。

まずこのマップで注目すべきは、「導入検討」のファネルで「意思決定権者」をターゲットとしている点です。

「担当者→意思決定権者」ではなく「意思決定権者→担当者」という流れを作ることで、意思決定のスピードを加速させ、リコーの存在感を最初の検討段階からアピールする作戦を取っています。

こうすることで、担当者による「意思決定権者への説得」という最も骨の折れる仕事が無くなります。

また、意思決定権者の心を初めに掴んでおけば、導入後に、より規模の大きいサービスを提案する際にも、担当者を超えた調整力をが発揮してくれるという期待が持てます。

よってBtoB領域でのカスタマージャーニーマップとしては、非常に発展性のあるコミュニケーションシナリオだと言えます。

[参考]
BtoB版「刺さるコミュニケーション開発」のPDCA|リコーのマーケティング支援
https://drm.ricoh.jp/lab/learning/l00003.html

リスクル リスティング広告の運用改善を検討する担当者のカスタマージャーニーマップ

[図2]
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[出典]5分でわかるカスタマージャーニーとは?取り入れ方や分析のコツを事例とともに解説|LISKUL
https://liskul.com/customer-journey-1697#i-6

[図2]は「リスクル」社による、リスティング広告の運用改善を検討する担当者のカスタマージャーニーマップです。

こちらは中小・ベンチャー企業を対象にリスティング広告を中心としたWebマーケティングによる販促支援をしている「リスクル」社が作成したもの。

このカスタマージャーニーマップを作成し、ターゲット客視点を基に自社の強み・弱みを明確にする施策に活かしました。

リスティング広告を検討する際に、ターゲット顧客とは「日頃から有益な情報を継続的に発信している会社に頼みたい」「信頼できる人から紹介された会社に頼みたい」という思考を抱えていることが明らかになりました。

その後、「自社ブログによる継続的な情報発信を続けていく」という施策を実施し、見込み顧客獲得に繋げています。

[参考]5分でわかるカスタマージャーニーとは?取り入れ方や分析のコツを事例とともに解説|LISKUL
https://liskul.com/customer-journey-1697#i-6