事例紹介

概念の話ばかりしてしまったので、いくつか事例のお話をします。

Acorns

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まず、Acornsというアプリについて紹介させていただきます。
Acornsをご存知の方はどれくらいいらっしゃいますか?

(ごくわずかの参加者が挙手)

Acornsというのは、Acorns証券というアメリカの証券会社のアプリです。
ただ、おそらくアメリカ人のほとんどは、Acornsを証券会社だとは思っていません。

アメリカではクレジットカード社会で、その辺のスタバとかコンビニで商品を買う際も全部カードを使っています。
このアプリは、端数を貯金しておきますという、一言で言うとそれだけをやっているアプリです。

例えば、コンビニで現金でのお買い物をされる際に、横に募金箱が置かれていて、320円の買い物をして400円を支払い、80円を募金箱に入れるようなことがあると思います。ちょうどあのような感覚で自分に投資をしてくれるというのが、Acornsのモデルです。

非常にあっけないモデルなのですが、これは心理学をうまく利用したサービスです。人間は、収入の2割貯金してくださいと言われると、自分の支出が抑制され、抵抗を覚えるのですが、それに対して、あなたは既に320円使っているので、80円分は貯金しておきましたよ、と言われると実はそんなに痛くないという現象が発生します。

少ないおつりであっても、それを積み上げていくと、月間では数百ドル、つまり数万円くらいの結構な額の貯金になります。
実際のユーザーであるアメリカ在住の友人が、月間6〜7万円くらい貯金できるようになったと言っていました。

ほとんどの人にとって、お金の不安とか悩みとは、貯金ができないことです。

その貯金ができないことをダイレクトに解決してしまうというのが、このアプリの面白いところでして、それほどハイテクでも新しくもない発想ではあるのですが、すごく使いやすいアプリになっているという一点だけで、多額の資金調達を行っています。

Vouch

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次に紹介するのはVouchという米国でお金を借りられるサービスです。

アメリカなどでは車のローンやクレジットカードの金利が年15%〜20%と高くつくことがありますが、その金利をできるだけ安く済ませる為に友だちと
連帯保証を、しましょうという仕組みのノンバンクです。

例えば、ある人に6人の友人がいるとして、それぞれから30ドルとか60ドルとか「この額だけ保証してください」という形で、信用力の積み上げを行います。

そして承認されると、この人の金利がどんどん下がっていくという仕組みになっています。
なぜそれを友人がやるのかというと、自分も逆に連帯保証してもらうことで金利が安くなる、という協力関係があるからです。

以上に見てきた事例は、貯める方と借りる方の手段ですけれども、非常に分かりやすいだけではなく、従来できなかったであろう、貯蓄習慣が身に付き、目に見えて金利が下がる形でメリットが発生するといったところが面白いところなのかなと思います。