この記事は株式会社デジタルシフト今西純穂様からの寄稿記事となります。

LINE公式アカウントは、今や様々な企業が運用している。
以前はニーズや予算に応じた多様なプランが存在したが、今はLINE公式アカウントという一つのプランに統一されている。

LINE公式アカウントの開設ハードルも高かったが、2018年以降、開設の費用、基本料金が無料になり、開設のハードルが格段に低くなった為、様々な企業がLINE公式アカウントの運用を開始するようになった。

開設のハードルが低くなった分、企業のLINE公式アカウント数が増え、ユーザーにとっては多くの企業からメッセージ配信が届くようになり、LINE公式アカウントからのメッセージ配信をノイズに感じてしまう現象が起きてしまっている。

この現象を解消するため、企業のLINE公式アカウント運用担当者から、大きく2つの相談を受けることが多い。

1点目は*「ユーザーにとって友だち追加したいと思われるLINE公式アカウントを運用するにはどうすべきか」*。

LINEはユーザーと1to1コミュニケーションを取れることが強みだが、ユーザーにブロックをされてしまうとコミュニケーションをとることができなくなる。ユーザーに継続して友だち追加しておきたいと思ってもらえるように、メッセージ配信以外にも工夫することが重要である。

2点目は*「アクティブで企業に対するロイヤルティが高いユーザーが増加するためにはどうするべきか」*。

LINE社が提供している友だち追加施策は、短期間で多くのユーザーにLINE公式アカウントが認知され、友だち追加されるために適した施策だが(CPF配信 ※1 を除く)、インセンティブ(スタンプ・ポイント等)などを目的に友だち追加するユーザーが多く、追加後、ユーザーからブロックされやすいという課題もある。

メッセージ配信にはメッセージ配信費がかかるため、企業への興味からLINE公式アカウントが友だち追加され、アクティブユーザーに対するメッセージ配信を増やすことが重要である。

上記の課題を解消すべく行った、ソックコウベ様のaimerfeel(エメフィール)LINE公式アカウントでの「友だちシェアキャンペーン」施策について紹介する。その後、同様の意義を持つ「LINE会員証」施策についても記事後半で触れさせていただく。

※1 CPF配信(Cost Per Friend)
LINE広告(旧LINE Ads Platform)を通じて、LINE公式アカウントの友だちを増やす配信機能のこと。

友だちシェアキャンペーンにたどり着くまで

LINE公式アカウント開設のハードルが下がり、競合他社のLINE公式アカウントが複数存在している状態のため、ユーザー視点に立つと、どんな情報がおくられてくるのか判別がしづらい状況だ。そのため、ユーザーは自分の欲しい情報が配信されるLINE公式アカウントや、興味のあるLINE公式アカウントを見つけ出すことが難しくなっている。

現状、ユーザーがLINE公式アカウントを友だち追加するタイミングは、キャンペーンの参加時やLINE社の広告施策実施時、企業から自発的に訴求があった時(メールやDM等)、そして自然流入等である。

企業から自発的に訴求がある場合や自然流入は、ユーザーがその企業に興味を持ってコンタクトをとっている状態のため、企業に対する興味関心度は高い。それ以外で追加されたユーザーは、あまり興味関心度が高い状態とは言えない可能性もある。

そこで、企業への興味関心度が高い状態で友だち追加されるため、自分と趣味が似ている人たちが追加しているアカウントを知る機会をつくる施策を行えればよい。

趣味が似ている、身近にいる家族や友だちがフォローしているLINE公式アカウントを知ることができれば、そのLINE公式アカウントに対する興味関心度も高められるのではないかという仮説が立てられる。

企業にとっては既存のアクティブユーザーの類似拡張をすることで、利用頻度が高いユーザーを集めることができ、ユーザーにとっては友だちから勧められたアカウントであれば、自分にも興味がありそうなアカウントを知ることができ、友だち追加しやすいのではないかと推測したのである。

また、友だち追加だけでなく、その後、企業からのメッセージ配信をノイズと感じないように早いタイミングで企業に対するロイヤルティを高めることも重要である。

友だちシェアキャンペーン詳細

ユーザーフロー

※弊社APIツール、TSUNAGARUを用いて開発

  • リッチメニューから専用LPにて、友だちシェアキャンペーンに参加
  • 紹介する友人を選び、紹介URLを送付
  • 友人が友だち追加した際、両者に1,000OFFクーポンを配布
    └5人まで紹介が可能。既存ユーザーは最大5,000円分のクーポン獲得が可能。
     今回新規追加してくれたユーザーで更に友人紹介をしてくれた場合は、最大6,000円分のクーポン獲得が可能。

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※2 リッチメニュー
トーク画面の下部に大きく表示される固定のメニューバナーのこと。画面を大きく占有するため、ユーザーの注意を引きやすい。

本施策の目的

  • 既存ユーザーの類似拡張からロイヤルティの高いユーザーの確保
  • 初回購入の促進
  • 既存ユーザーの購入機会の促進
  • ECサイトだけではなく店舗送客も促進(クーポン配布時、店舗でも使用できるクーポンを送付)

友だちシェアキャンペーン結果
今回の施策で実際に友だち追加してくれたユーザーは、14日間で約12,000人。非施策時期と、本施策時期の一日の友だち追加平均は、本施策を実施した場合約135%増加した。

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本施策はリッチメニューにキャンペーンの導入口をつくり、ユーザーから能動的に動いてもらう施策のため、Push型のコミュニケーションではなく、Pull型のコミュニケーションとなる。(シェアURLやクーポン呼び出しのメッセージ配信など)Pull型コミュニケーションは、企業起点ではなく、ユーザー起点となるため、広告だと判断されず、メッセージ配信費はかからない。

上記の理由から企業側の費用は開発費のみとなり、比較的安価に料金を抑えられ、通常のメッセージ配信と比べても非常に高いROAS(※3)で費用対効果高くユーザーに訴求できた。

企業にとっても、ロイヤルティが高いユーザーを増やし、一度興味をもってくれた購入者に対しては今後のアプローチも可能という事から、ユーザーにとっても、企業にとっても非常にメリットが高い施策だったといえる。

※3 ROAS(Return On Advertising Spend)
広告費に対してどの程度の売り上げを得られたか、その割合を表したもの。

LINE会員証について

友だちシェアキャンペーンの紹介以外でも、aimerfeel(エメフィール)LINE公式アカウントでは、企業とユーザー双方にとって利用意義が高い「LINE会員証(※4)」を活用している。

「LINE会員証」は、LINE公式アカウントと友だちになるだけで、LINEのトーク内で会員証を発行できる。
また、aimerfeel(エメフィール)の会員「めちゃ友(※5)」と会員証が連携されているか、されていないかも確認することができる。

ユーザーにとっては、リアルの会員カードを作成する必要が無く(カードレス)、友だち追加するだけで会員証を表示する事ができるため、作成時にその場で個人情報の記載をしなくて済む、というメリットがある。

企業にとっても、バーコードを読み取れば、LINE公式アカウント経由で購入した売上の認識が可能となり、LINEの会員証経由による売上もモニタリングすることができる。

便利機能として会員証を利用されるユーザーも多く、「LINE会員証」施策を開始した2018年と2020年の年間売上を比較すると、大幅に成長している。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗を保有している企業の売上減少が課題であったが、aimerfeel(エメフィール)公式アカウント経由では、売上の増加が見受けられた。

※4 LINE会員証
LINE公式アカウントのリッチメニューから手軽に表示できる会員証のこと。

まとめ

今回はaimerfeel(エメフィール)公式アカウントで行った「友だちシェアキャンペーン」施策と「LINE会員証」施策について紹介させてもらった。

「スタンプや広告経由だとなかなか購買に繋がるユーザーへアプローチできない、広告キャンペーンを実施しないとLINE公式アカウントの認知拡大ができない」というジレンマを抱えている企業の方におすすめの施策だ。

本施策の結果からも分かる通り、これからのLINE公式アカウント運用において重要なのは「ロイヤルティの高いユーザーが増加する」「ブロックされないようにロイヤルティを高めつつ、利便性を提供し、フォロー意義が感じられる」ということである。

ユーザーにとってもメリットがある情報を届けているはずなのに、企業からのメッセージ配信をノイズと感じられては本末転倒である。

コスト観点で見ても、メッセージ配信は通数に応じてメッセージ配信費が必要となるため、自社アカウントに興味を持って友だち追加され、アクティブユーザーに対するメッセージ配信を増やすことが重要である。

ユーザーにとっても、企業にとっても、よりよいLINE公式アカウント運用ができるようにこれからも模索していくことが大切である。

協力:ソックコウベ株式会社様
執筆:株式会社デジタルシフト 今西純穂

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