ferret編集部:2015年9月6日に公開された記事を再編集しています。

営業の際、最終的な決済を取り受注するまでの流れをクロージングと呼びます。
クロージング時に、緊張して話の方向性がずれてしまったり、時間をかけて相手と話をしたのに受注に至らない場合が多くあります。

今回は、クロージングが苦手な営業マンの方に一度試してほしいオススメの営業トーク展開法をご紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

ご紹介する内容は多くの人が知っており、実践している方もいますので目新しいものではありません。
また、人によって考えが違うといったことは当たり前に生じることですので、その点ご理解の上、読み進めて頂ければ幸いです。

1.アイスブレイク

営業先に訪れて最初に行うべきことがコミュニケーションであり、アイスブレイクと呼ばれる手法です。
身近な例で言えば、親しい友人同士でも、会ってすぐに本題に入ることはせず、雑談を交えながら徐々に本題に入るものです。
営業においても、同様であり、本題に入る前にお互いが打ち解けるためのコミュニケーションが重要です。

以下では、複数人の参加者がいる場合にオススメのアイスブレイクをご紹介します。

アイスブレイクとは

アイスブレイクとは、特に初対面の人同士が出会った時に、緊張をほぐすために使われる手法です。
初対面の相手で緊張してしまい、うまく話を進めることができない状況を経験したことが一度はあるのではないでしょうか。

その場の参加者を和ませて緊張をほぐし、コミュニケーションを円滑に行うことができるように行われます。
主に、自己紹介をしたり簡単なゲームを行ったりという方法がとられます。

困った時に使えるアイスブレイクの例

季節や天気ネタ

「今日は暑いですね」「今日は寒いですね」などの、季節や天気などに関する雑談は、誰にでも当てはまるジャンルなので、外してしまって気まずい雰囲気になることはないので、オススメです。

オフィス周辺のネタ

「駅から近くていいですね」「きれいなオフィスですね」など、会社やオフィスをほめましょう。
ごはんがおいしいお店を紹介してもらうのもよいと言われています。

訪問先の業界ネタ

あらかじめ、訪問先の業界のネタを調べておいて、こんなことがありましたね、という話題で雑談をすることもオススメです。
訪問先の業界のネタを話すと、業界のことをきちんと知っているのだなという印象を与えるので、信頼度が上がりやすいです。
ただし、知らないことを知っているように話してしまうと、信頼関係にひびが入ることもありますので、知らないことは正直に知らないと言って教えてもらいましょう。

2.ヒアリング

アイスブレイクで相手と打ち解けたら、商談に進みましょう。
相手のニーズとは見当違いの商談をしないためにも、まずは相手の話をよく聞いて、相手が望んでいることが何かを聞き出すことが重要となります。
そこで、ヒアリングの際に活用するとよいフレームワークを紹介します。

SPIN法

SPIN法とは、相手の潜在的なニーズを引き出すために使われる手法です。
顕在的なニーズは、相手も自分の求めているものを理解できているので分かりやすいです。潜在的なニーズは、相手も整理ができていないまま、なんとなく思っている欲求をそのまま述べているに過ぎません。
SPIN法は、潜在的なニーズを顕在的なニーズレベルに引き上げることで、利益を明確に提示し、結果的に受注につなげるという手法です。

SPINは、それぞれ次の単語の頭文字です。
SPIN法

Situation Questions:状況質問

顕在的なニーズについては、相手も自分自身で理解できているので分かりやすいですが、潜在的なニーズは具体的にどうしたいのか、本人も認識できていません。
ここを明らかにすることで、相手のことをよく知ることができます。
状況質問で投げかけることは「相手の置かれた状況や背景を踏み込んで知るために必要なこと」です。
相手個人に興味関心を持って、質問を深堀りしておくと、課題解決として提案するときに、説得力が増します。

例えば、「さしつかえなければ、◯◯様の部署内で提供しているサービスは、どのような想いで提供されているのでしょうか?」などという質問ができればいいでしょう。

Problem Questions:問題質問

状況質問で相手のことを把握できたら、どのような不満や問題を抱えているのかを聞き出します。
ここでのポイントは、クローズドクエスチョンをすることです。
「何か困っていることはありませんか?」というオープンクエスチョンは答えにくい場合が多いです。
そこで、最初の状況質問で得た情報を元に、相手が困っているのではないかと考えられることを仮定して「こういうことでお困りではないですか?」というようなクローズドクエスチョンをすると、相手にとっては比較的答えやすくなると言われています。

また、現在抱えている不満や不平、不安などの相手のネガティブな感情を聞き出し、その重要度を確認することもポイントです。
現状の解決を望むように問題を明確化できれば、これらの感情はその後の具体的なニーズに直結する場合が多いからです。

Implication Questions:示唆質問

続いて、問題質問で得られたことから、その問題の深刻さや、問題が解決したらどれくらい良いことが起こるのかを明確にする質問をします。
例えば「納期が遅れることでどんな影響がありますか?」というような質問です。
問題質問の流れを切らずに、そのまま深堀りできれば示唆質問となります。

Need-payoff Questions:解決質問

これまでの質問で、相手の抱えている問題をある程度把握できたら、その解決のために何をすべきか、相手から能動的に話してもらうような方向に進める質問をします。
例えば「納期が遅れることでどんな影響がありますか?」という示唆質問をすれば、納期が遅れることで発生する影響について答えが得られます。
そこで納期を送らせないためにはどうすればいいのだろう、というように相手が自ら問題解決への道を進むように導きます。

ここでのポイントは、相手が解決を望むような言葉を口にしないうちは、こちらから提案をしない、ということです。
こちらから提案してしまうと「これまで親身に聞いてくれたのは結局売りたいからじゃないか」といったようなネガティブな感情が生まれやすくなるからです。