SWOT(スウォット)分析とは、自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析して、事業リスクや成長課題を抽出できるフレームワークのことです。

この記事では、SWOT分析の4要素活用のポイント分析のやり方などについて、図解や事例を交えながら詳しく解説します。

この記事で分かること

SWOT分析の強み、弱み、機会、脅威を引き出す方法
SWOT分析のやり方と注意点
SWOT分析と組み合わせて使えるフレームワーク

目次

  1. SWOT(スウォット)分析とは
  2. SWOT分析を活用する時のポイント
  3. SWOT分析に必要な4要素の見つけ方
  4. SWOT分析のメリット・デメリット
  5. SWOT分析のやり方
  6. 戦略立案に役立つクロスSWOT分析とは
  7. SWOT分析の注意点
  8. SWOT分析と組み合わせて使えるフレームワーク
  9. 有名企業にSWOT分析を当てはめて考えた事例
  10. SWOT分析のテンプレートと役立つ質問
  11. SWOT分析でまずは外部要因と内部要因を明確にしよう

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SWOT(スウォット)分析とは

図_SWOT分析.png
SWOT分析とは、自社の内部環境と外部環境を分析して、それぞれのプラス面とマイナス面を洗い出す手法のことです。経営戦略の策定に必要な現状分析のフレームワークとして広く活用されています。

SWOTの「S(強み)」と「W(弱み)」は、自社の努力でコントロールできる内部要因、「O(機会)」と「T(脅威)」は自社ではコントロールできない外部要因を表します。

内部環境:組織内で改善できるもの 例)製品の特性、知的資源、人的資源、資金力
外部環境:企業や組織だけでは変えられないもの 例)法律、税制、景気、社会情勢
Strength(強み):自社や自社の商品・サービスが得意とする内部環境の要素
Weakness(弱み):自社や自社の商品・サービスの短所や苦手とする内部環境の要素
Opportunity(機会):ビジネスチャンス、強い追い風となる外部環境の要素
Threat(脅威):自社の強みでも太刀打ちできない、悪影響を及ぼす外部環境の要素

SWOT分析は1960年代のアメリカで開発されたフレームワークで、一部では時代遅れとも言われていますが、自社の現状を客観的に把握して、情報を整理するのに役立ちます。他のフレームワークと併用することで、その効果を最大化できるでしょう。

SWOT分析を行う目的

SWOT分析の目的は、実現性の高い事業戦略マーケティング戦略を策定することです。分析によって自社の現状を正確に把握することで、競合の台頭や市場の縮小などの脅威にも適切に対応できるようになります。

SWOT分析が重要視される理由

SWOT分析が重要視される理由は、戦略を策定するのに役立つだけでなく、既存事業の成長課題新規事業のリスクを見つけられる点にあります。

例えば、これまで見落としていた強みや機会を再評価することで、新たな差別化要素を抽出できます。また、弱みや脅威に注目することで、企業を取り巻く重大なリスクを特定できます。

SWOT分析を活用する時のポイント

SWOT分析を活用する時のポイントを次の3つに分けて解説します。

  • 分析の目的を明確に決める
  • 多様な意見を取り入れる
  • 前提条件を整理しておく

分析の目的を明確に決める

SWOT分析の効果を最大限に引き出すには、まず分析の目的を明確にすることです。「とりあえず1回やってみよう」といった漠然とした理由で分析を行っても、良い結果は得られないでしょう。

多様な意見を取り入れる

フレームワークを活用するときは、さまざまな専門領域、立場のメンバーが参加することで議論を深められます。経営陣だけでなく、営業や開発、カスタマーサービスなど分析対象に関わるメンバーを幅広く選び、多様な意見を取り入れることが重要です。

前提条件を整理しておく

SWOT分析を始める前に、分析対象や競合企業などの前提条件を整理し、メンバー全員の認識を統一しましょう。前提条件が変わると4要素の内容も変わってしまうため、分析の軸が定まらない可能性があります。

SWOT分析に必要な4要素の見つけ方

SWOT分析の4要素を見つけ出すポイントは、自社を取り巻く内的要因および外的要因を客観的に把握することです。

「強み」の見つけ方

意識するポイント】
・競合他社より優れている
・顧客満足度が高い
・費用対効果が高い
・最新の技術や仕組み

自社の「強み」を見つけるヒントは、「顧客」「支援者」「従業員」にあります。ここで言う「支援者」とは、例えば顧問税理士や社労士、経営指導員などの人々を指します。

「顧客」「支援者」「従業員」は、日頃のつながりを通して少なからず自社に対して好意を抱いてくれている人たちであり、商品・サービスを選んで使い続ける、あるいは、業務を通して自社とつながりを持ち続ける理由を見出していると言えます。

「強み」の可視化・言語化に行き詰まったら、思い切って「うちの強みや、いつも選んでくれている理由は何ですか?」と質問してみましょう。

「弱み」の見つけ方

意識するポイント】
・競合他社より劣っている
・顧客満足度が低い
・費用対効果が低い
・時代遅れの技術や仕組み

自社の「弱み」を見つけるヒントは、「顧客」「競合」「従業員」にあります。

「弱み」は「強み」と表裏一体であるため、自社の「強み」を語れる人は、同時にウイークポイント(弱点)についても理解しているはずです。

または競合分析を行い、「競合と比較した場合に、自社に足りない要素(顧客から選んでもらえない理由)」を洗い出してみるのも良いでしょう。

「機会」「脅威」の見つけ方

意識するポイント】
・市場成長率が高いor低い
・競合が少ないor多い
・自社製品の価値が上がっているor下がっている
・製品が売れやすくなるor売れにくくなる為替や金利

自社にとっての「機会」「脅威」(外部要因)を見つけようとする際には、「マクロ環境要因」と「ミクロ環境要因」の双方から課題を洗い出してみましょう。

「マクロ環境要因」は、「政治」「経済」「社会」「技術」など、自社のビジネスに間接的に影響を与える環境要因のことであり、自社の力では制御不能です。

一方「ミクロ環境要因」は、「競合」「消費者」「取引先」など、自社のビジネスに直接影響を与える環境要因のことであり、マーケティングによって多少の変化は与えられます。。

このどちらかが欠けていると、急速な時代の変化を捉えきれなくなり、ビジネス上の機会損失につながってしまいます。

特に中小企業は、大企業と比べて組織規模・資金力が小さいため、外部要因に臨機応変に対応することが重要です。

SWOT分析のメリット・デメリット

SWOT分析を有効活用するには、メリットとデメリットを理解する必要があります。

メリット デメリット
・自社の弱みと向き合える
・客観的な視点が持てる
・分類が極端になる
・報の偏りが生じやすい

メリット1. 自社の弱みと向き合える

SWOT分析では、自社の強みだけでなく、弱みも同時に把握できます。多くの企業は自社の強みについてはよく理解していますが、弱みについては十分に認識していないことが多いです

強みだけに焦点を当ててしまうと、強みを伸ばすための偏った施策しか行えません。しかし、弱みをしっかりと把握することで、弱みもカバーできる総合的な施策を実践できます。

さらに、弱みは強みの裏返しであるため、新たなビジネスチャンスとして捉えることもできます。

メリット2. 客観的な視点が持てる

SWOT分析のメリットとして、内部要因と外部要因の2つの観点から分析できる点が挙げられます。

内部要因については分析しているものの、外部要因と併せて事業の状況を分析している企業は多くありません。

外部要因を考慮することで、自社の状況をより客観的に把握できます。

いくら自社に強みがあっても、市場の動向によっては事業拡大が難しいケースもあるので、客観的に自社を理解することが重要です。

デメリット1. 分類が極端になる

SWOT分析は、4つのカテゴリーで事業の状況を分析するフレームワークです。カテゴリーが限定されているため、分類が極端になる可能性があります。

一つの要素が強みとして捉えている場合でも、視点を変えると弱みとなる可能性もあります。例えば、リーズナブルな価格設定を強みとしている企業は、予算を達成するために商品・サービスを大量に販売しなければなりません。

このような場合、強みと弱みの両方にわかりやすく記述することが重要です。同じ事実でも、「プラス要素はマイナス要素になるか?」そして「マイナス要素はプラス要素になるか?」と考えることで、多角的な解釈を引き出しましょう。

デメリット2. 情報の偏りが生じやすい

SWOT分析は情報の収集方法や実施方法によって、情報に偏りが生じることがあります。

例えば、特定の部門が分析を実行するのではなく、各部門から担当者を配置することで、様々な視点から情報を集められます。

外部要因の調査も特定の媒体のみから情報を集めるのではなく、複数の媒体を活用するとよいでしょう。

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SWOT分析のやり方

SWOT分析は4つのステップで行います。

  1. 分析対象の選定
  2. 外部環境(機会・脅威)の分析
  3. 内部環境(強み・弱み)の分析
  4. クロスSWOT分析の実施

1. 分析対象の選定

まず、SWOT分析の対象範囲を決めます。会社全体または単体・複数の事業を対象とするのか、範囲を絞りましょう。

特に機会や脅威といった外部環境は対象を絞らないと、いくらでも拡大できてしまうため、精度の高い分析につながりにくくなります。

2. 外部環境(機会・脅威)の分析

分析対象が定まったら、外部環境(Opportunity:機会/Threat:脅威)の分析から行います。

どのような企業・事業でも、社会情勢市場環境の変化・競合他社の動向といった外部環境の影響は必ず受けるものです。外部環境が自社の内部環境に大きな影響を与えることもあるため、まずは外部環境から受ける影響を明らかにしておく必要があります。

3. 内部環境(強み・弱み)の分析

次に、内部環境の分析(Strength:自社の強み/Weakness:自社の弱み)を行います。分析は現状との乖離が生じないよう、できるだけ具体的な数値やデータを参照しましょう。

4. クロスSWOT分析の実施

SWOT分析により外部環境(機会・脅威)・内部環境(強み・弱み)を分析したら、今度はその内容を基にクロスSWOT分析を実施して、具体的な戦略や事業計画に落とし込んでいきます。

戦略立案に役立つクロスSWOT分析とは

クロスSWOT分析.png

SWOT分析によって内部環境と外部環境を取り巻く現状把握ができました。その分析を基に戦略を考える際は、クロスSWOT分析を活用しましょう。

クロスSWOT分析は上図のようにSWOT分析の4要素を内部環境・外部環境に分け、4つの戦略を検討する分析手法です。

強み × 機会:積極化戦略

強みと機会を掛け合わせた「積極化戦略」は自社の強みを活かせるチャンスが到来している部分です。チャンスを最大限に活用するために積極的に取り組むべき施策を検討します。自社の優位性を高めるために、追い風に乗った積極的な戦略の採用が有効です。

強み × 脅威:差別化戦略

自社の強みを踏まえて、脅威による悪影響を切り抜けていく施策を検討します。脅威を逆手にとり強みを生かすことで、競合他社との差別化ポイントを探りましょう。

弱み × 機会:段階的戦略

チャンスは来ているものの、自社にとって弱みの部分です。段階的に弱みを改善してチャンスを取り逃がさないようにする施策を検討します。

弱みを理解しつつビジネスチャンスを逃さず新規参入を図るのか、あえて参入せず様子を見るのか、難しい判断が必要となります。いずれにしても「機会損失を生じさせない」という視点での判断が重要です。

弱み × 脅威:専守防衛・撤退

自社の弱みと脅威が組み合わさり、最悪の結果とならないよう避けるべき点を検討します。徹底的に防衛策を図るか、事業そのものを撤退するのかの判断が必要です。ここで判断を誤ると大きな損失につながりかねないため、慎重に分析しましょう。

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SWOT分析の注意点

SWOT分析を実施する際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。

  • 広く正確、客観的な情報を集める
  • 強みにも弱みにもなり得る項目に注意する
  • SWOT分析のみで終わらせない

広く正確、客観的な情報を集める

SWOT分析は実施方法や担当者によって、情報に偏りが生じる可能性があるため注意が必要です。視野を広くもち、正確性と客観性を意識して情報を集めましょう。

社員や現場のスタッフ、顧客、取引先など、あらゆる視点に立って企業・事業全体を捉えることが大切です。

強みにも弱みにもなり得る項目に注意する

項目によっては強みにも弱みにもなり得るものが存在します。カテゴリーには分類できないものは、別に扱うなどして工夫しなくてはいけません。

また、誰にとっての強みや弱みなのかを考えるのも重要な視点です。例えば、顧客にとっては利点であるものも、企業にとっては弱みになる項目もあります。

その場合は、視点を変えながらSWOT分析を複数実施するなどして、対応するようにしましょう。

SWOT分析のみで終わらせない

そもそもSWOT分析は、現状分析のために使われるフレームワークであり、分析結果を戦略策定の基礎として活用することが目的です。

そのため、SWOT分析の実施のみで終わらせずに、クロスSWOT分析やPEST分析、5フォース分析など複数のフレームワークと組み合わせて考察することが重要です。

SWOT分析と組み合わせて使えるフレームワーク

ここでは、SWOT分析と併せて活用することで、精度の高い分析を実施できるフレームワークを紹介します。

  • バリューチェーン分析
  • 5フォース分析
  • 3C分析
  • PEST(ペスト)分析

バリューチェーン分析

図_バリューチェーン分析.png
バリューチェーン(価値連鎖)とは、事業を「主活動」と「支援活動」に分類した上で、どのフェーズで価値を出しているのかを分析するためのフレームワークです。分析結果をもとに事業の競合に対する強みを導き出し、事業戦略に役立てます。

バリューチェーン分析は、SWOTのうち内部環境の分析を行うのに適しています。バリューチェーン分析では自社の内部環境を一つひとつ細かい分類や項目に分解して検証できるため、内部環境の分析をどこから始めたらいいか分からないときや、強み・弱みをくまなく洗い出したいときに便利です。

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5フォース分析

図_5フォース分析の例.png

5フォース分析とは、新規参入の脅威、原材料などを供給する供給業者、代替製品・代替サービスの脅威、買い手である顧客、既存競合者同士の敵対関係の5つの観点から、 企業を取り巻く業界の構造を把握するための考え方 です。

5フォース分析はSWOTの外部環境のうち、脅威(Threat)の分析を行うのに適しています。5フォース分析を利用することで自社を取り巻く脅威を客観的かつ多面的に把握できます。

取りこぼさす脅威を洗い出したい、さまざまな側面から脅威を把握しSWOT分析に使いたいときに役立ちます。

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3C分析

3C分析.png

3C分析とはCustomer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の3つを分析するフレームワークです。外部環境である「市場・顧客」「競合」と自社を照らし合わせることで、自社の弱み成功要因を見つけ、新規事業の方向性やマーケティング戦略の立案につなげられます。

業界・市場・競合他社を分析対象としているため、SWOTの外部環境分析のうち、特にミクロ分析に長けています。マクロ環境分析を行った後、自社を取り巻く業界・市場環境についてミクロの視点から分析を行う際に役立ちます。

3C分析を分かりやすく解説!市場分析から成功要因を導く方法とは?

PEST(ペスト)分析

図_PEST分析の要素.png

PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字を取った、マクロ環境分析を行うためのフレームワークです。自社を取り巻くマクロ環境(外部環境)が今後どのような影響を与えるのかを、把握・予測するために行います。

PEST分析はSWOT分析のうち、マクロの視点から外部環境(機会・脅威)を把握する際に役立ちます。

PEST分析では外部環境を4項目に分け、より詳細に分析できます。広範囲にわたる外部環境分析を細大漏らさず行いたいときや、どんな項目を挙げたら良いか分からない場合にも有用です。

PEST分析については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:【テンプレート付き】PEST分析とは?やり方やコツ、事例を解説

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有名企業にSWOT分析を当てはめて考えた事例

国内の有名企業をSWOT分析のフォーマットに当てはめた、具体的な分析事例を見ていきましょう。ぜひ、自社でSWOT分析を実践する際の参考にしてみてください。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社を例にSWOT分析を行ってみた事例です。

環境 プラス要因 マイナス要因
内部環境 強み
・ブランド力
・販売力
・高い営業利益
・自動運転技術への積極投資
・レンタカーやリース事業でも高い認知度を持つ
弱み
・軽自動車生産に力を入れてこなかった
・中国市場への進出で競合他社より出遅れた
・売上・利益が為替の影響を受けやすい
外部環境 機会
・新興国市場での自動車ニーズ拡大
・「コネクテッドカー(IoT)」「自動運転」など自動車業界で技術革新が進み、新たな切り口での成長可能性がある
・カーシェア市場拡大の可能性
・PHEV・EV、バイオ燃料車など環境に配慮した次世代自動車の需要
脅威
・人口減少社会で国内市場は縮小
・若者の自動車離れ
・カーボンニュートラルなどの環境規制
・海外工場における地政学上のリスク(自然災害・政情不安など)
・半導体不足
・家族形態が変化し、ファミリーカーの需要減
・「コネクテッドカー」「自動運転」「EV」など自動車業界で技術革新が進む中、異業種からの新たな競合が現れる可能性

トヨタ自動車の強みは何と言っても、国内外に誇るブランド認知度の高さでしょう。海外売上比率約8割を誇るだけあり、機会には「新興国市場での自動車ニーズ拡大」、脅威には「地政学上のリスク」、弱みに「為替の影響を受けやすい」など、多国籍企業ならではの要因が挙げられます。

株式会社三越伊勢丹ホールディングス

株式会社三越伊勢丹ホールディングスを事例にSWOT分析を行ってみた事例です。

環境 プラス要因 マイナス要因
内部環境 強み
・業界トップ企業
・高い販売力・ブランド力
・付加価値の高い商品やサービスの提供
・富裕層の優良顧客を持っている
・マーチャンダイジングに強い
弱み
・顧客の高齢化
・収益を新宿伊勢丹に依存している
・業績の悪い支店がある
・小売業態に注力しすぎている(他業態や新規事業の立ち上げがない)
外部環境 機会
・中国人観光客の増加
・ASEANの経済発展に伴う店舗進出・発展可能性
・EC市場の拡大
・富裕層顧客の増加
・顧客構造の変化(少子高齢化・ミレニアル世代への交代)
脅威
・人口減少社会で国内市場は縮小
・景気低迷による個人消費の縮小
・業界全体での売上縮小
・法人の贈答需要減
・競合との競争激化
・EC業界の台頭

国内外で圧倒的な知名度を持ち、顧客からの信頼も厚い三越伊勢丹。「ブランド力」「高い商品・サービス品質」を強みとする一方、「収益を新宿伊勢丹に依存している」などの弱みが挙げられます。

コロナ禍においてはリモートショッピングやオンラインサービスの提供など、デジタル化が一気に推進されました。ライバルであるECサイトとの競争は今後も苦戦を強いられそうです。

SWOT分析のテンプレートと役立つ質問

SWOT分析のテンプレート.png

SWOT分析を行う際は、テンプレートを活用すると効率的に行えるためおすすめです。分析の対象範囲(企業・事業全体または一部)を決めたら、まずは外部環境・内部環境の順に項目を洗い出していきます。

分析を始める際は集団思考を避けるため、はじめに議論の参加者に付箋を配って各自に「Strength:自社の強み」「Weakness:自社の弱み」「Opportunity:機会」「Threat:脅威」のアイディアをそれぞれ記載してもらいます。付箋は1枚のボードに張り付け、同じアイディアを一つにまとめましょう。

アイディアによっては異論が起こることも考えられます。分析を行う際は責任者を決めておき、アイディアの可否など最終的な判断は責任者に委ねるようにしてください。

SWOT分析のアイディアを出す際、以下のような質問が役立ちます。ぜひ分析時の参考にしてみてください。

Strength:自社の強み

  • 事業で成功している点はどこか?
  • 自社や事業のブランド力や認知度はあるか?
  • 特許・機器・技術・資金などどのような経営資源を持っているか?
  • 自社にノウハウ・ネットワーク・スキル・専門性などの資産があるか?
  • 競合と比べた自社(事業)の強みはなにか?(価格・品質・サービスなど)

Weakness:自社の弱み

  • 自社や事業において最も改善すべき点はどこか?
  • 資金・設備など自社や事業に欠けている資源は何か?
  • ノウハウ・専門性・スキルなど自社や事業にかけている資産は何か?
  • 競合他社と比べた弱み(劣っている点)は何か?
  • 事業戦略や目標達成を困難にしている要因は何か?

Opportunity:機会

  • 自社や事業にとってプラスに働く市場の動きはあるか?(トレンド・イベントなど)
  • 自社や事業を拡大するチャンスとなる法律や規制の変更はあるか?
  • 顧客に人気のある製品・サービスは何か?
  • 目的や目標達成に利用できる資源はあるか?
  • 自社の製品・サービスを顧客はどう評価しているか?

Threat:脅威

  • 自社や事業にとってリスク・損失となりうる市場の動きはあるか?
  • 自社や事業運営の脅威となる法律や規制の変更はあるか?
  • 競合他社は優勢か?どのような戦略をとっているか?
  • 競合となる可能性のある新規参入企業はあるか?
  • 自社の持つ資源・資産が脅かされる危険性はないか?

SWOT分析でまずは外部要因と内部要因を明確にしよう

SWOT分析を行うと、自社を取り巻く外部環境から、自社の強み・弱みを把握できます。SWOT分析を活用する時のポイントは以下の通りです。

  • 分析の目的を明確に決める
  • 多様な意見を取り入れる
  • 前提条件を整理しておく

また、SWOT分析は以下の4つのステップで行います。

  1. 分析対象の選定
  2. 外部環境(機会・脅威)の分析
  3. 内部環境(強み・弱み)の分析
  4. クロスSWOT分析の実施

なお、SWOT分析を行う際は以下の点に注意しましょう。

  • 広く正確、客観的な情報を集める
  • 強みにも弱みにもなり得る項目に注意する
  • SWOT分析のみで終わらせない

企業の戦略の方向性を決定するためには、「 外部環境の変化をどれだけビジネスチャンスとして捉えられるか」 が大切です。

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