5月31日から6月2日の3日間、アドテック、マーケティング、メディアの専門家が一堂に会して毎年開催される世界最大の業界イベント「Advertising Week Asia 2016」が開催されました。

日本(アジア)では今回が初開催で、485以上のイベント12万6千人以上の来場者438のセミナー&ワークショップ、1371人のスピーカー850社以上のプレスが集い、広告業界の最前線で活躍する面々によるトークセッションが多数行われました。

今回は、AOLMichele Morelli氏、スマートニュース株式会社CEO川崎裕一氏、ハフィントンポスト日本版編集長竹下龍一郎氏らによる「グローバルで活躍するマーケター」をテーマにしたトークセッションの様子をお届けします。

登壇者紹介

Michele Morelli氏

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VP, Global Corporate MarketingAOL

川崎裕一氏

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スマートニュース執行役員 広告事業開発担当

竹下隆一郎氏

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ハフィントンポスト日本版 編集長

ファシリテーター:陰山氏

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マーケティング研究室 主任研究員宣伝会議

消費者の変化について

陰山氏:
今、マーケターが変化しなければいけない時代です。
それは消費者が変化しているから。
皆様は、この状況に対しどう感じて、どう対応されているのでしょうか?

竹下氏:
では、「ドナルドトランプと市民」というテーマでお話しします。
なぜ、ドナルドトランプはアメリカ国内であれほど人気があるのでしょうか。
理由の1つに、SNS運用のうまさがあります。
Twitterをうまく運用していて、市民と気軽に会話をしているんですよね。
一方でヒラリーは堅苦しいというイメージがあります。

多くの政治家はマーケティングに失敗しています。
上から目線の発信では読者が受け入れられない。
会話口調や、タイミングが大事です。
今の読者は他のことをしてる時にスマホを見るので、普段の生活の合間にニュースを読む。

なので、どれだけ読者の日常に入り込めるかが重要です。
ハフィントンポストでも、FacebookやTwitterにかなりのニュースを流していて、カジュアルに「これってどう思う?」って文体を使うこともあります。

Morelli氏:
ミレニアム世代は、コンテンツが向こうから勝手に来ることを求めています。
多くのミレニアムはモバイルに移行しています。
今や、テレビの内容はスマホで見られる時代です。
多くの人はタブレットやスマホで作業を処理していますし、いずれデスクトップは起動されなくなるでしょう。

陰山氏:
ミレニアム世代の動向に対して、マーケターが心がけるべきことはなんでしょう?

Morelli氏:
2つあります。
こういった(マーケティング系の)イベントに参加すること。そしてリサーチをすることです。
ミレニアム世代がどのような行動をしているかを調べるべきです。
世代的にミレニアムでないのであれば、まずはミレニアム世代と直接会話して、自分も彼らが日常的に使うツールを実際に使ってみましょう。
ミレニアムと毎日会話しなければ、マーケターとして仕事をしていくのは厳しいでしょう。
ライフスタイルを変える必要はないですが、努力して彼らのことを知らなければいけません。

川崎氏:
去年の6月に出たニールセンの調査によると、スマホの滞在時間の8割をアプリが占めています。
そんな中で、ブラウザでしか表示されたない広告に注力してもなかなかリーチできないですよね。

参考
スマホアプリ利用時間の約35%はコミュニケーションで消費、1位は「LINE」~ニールセン、スマートフォンアプリの利用状況を発表~

SmartNewsは現在440万MAUです。
Facebookは2,500万、Twitterは3,500万です。
SmartNewsはモバイルアプリだけなのになぜ440万もあるのか。
それはモバイルアプリの存在感が強いということですね。

また、1週間に1回以上起動されるアプリは8個だけです。
ほとんどのアプリアプリストアで見つけられもしません。
スクリーンのスペースを奪い合うスクリーン戦争が起こっています。

そして先ほどMorelli氏も言っていた通り、コンテンツは探す時代から降ってくる時代になりました。
次はプッシュ戦争が起こります。
適切なタイミングでプッシュしない限り、アプリは起動されません。

プッシュ戦争勝ち抜くためには、ユーザーの嗜好やタイミングを知らなければいけない。

陰山氏:
一般企業は、その争いにどうすれば対応できるでしょう?

川崎氏:
ユーザーセントリック」に尽きます。
ユーザーがどう行動しているのかを知らないといけない。
あとは、僕たちのようにどうすればいいかわかっている人間に聞くのが一番です。
情報は共有されてなんぼですからね。

グローバルVSローカル

陰山氏:
グローバル戦略を考えるうえで、どうローカライズしていけばいいのでしょうか。
みなさんどうでしょう。

Morelli氏:
AOLは「カルチャー」と「コード」の2軸があります。
カルチャーは人間の要素を指します。
現地の文化を尊重し、それに基づいてコンテンツを提供する。
テック系のニュースでもその他のジャンルでも、カルチャーを考慮することは必要です。

「コード」はコンテンツを提供するためのテクノロジーを指します。
関心のある情報が届くように、記事にしろ広告にしろ、現地に基づいて編集していく。
そうすれば消費者は来てくれます。

竹下氏:
アメリカでは共通の言葉で話せていますね。こういうカンファレンスも本当に多くて活発に開催されています。
でもそれを日本に持ってくる時に、いろんな言葉の定義が曖昧なんですよね。
共通の言語が必要。
こういうカンファレンスを開いて、自分の頭と他人の頭を同期する作業が必要。

川崎氏:
アメリカと日本2拠点やってましたが、アプリマーケティング考えるときに、目指す指標がブレるとすごくフラストレーションがたまるんですよね。
一番重要な指標をDAUにしぼって、日本とアメリカ共通の目的に向かって進めるようにしています。

日本ではまずマーケティングコスト突っ込んで、試してからアメリカに持って行く。
日本とアメリカではかかるコストも全然違う。

重要なのは指標に対してどれだけコストが削減されたか。
アメリカと日本ではうけるコンテンツが違います。
でも、データは共通化できます。

データはどう扱う?

陰山氏:
商品を買わない人のデータもとれるようになっている。
みなさんはどのようなデータを重要な指標とおき、活用してるのか教えてください。

竹下氏:
コンテンツが読者に届くまでの道はたくさんあります。
SmartNews、Facebook、トップページなど。
PVみればある程度わかるけど、それぞれのメディアのユーザーも数えないといけない。

陰山氏:
PVや流入で見るのでしょうか?

竹下氏:
流入は違うかなと思います。
ハフィントンポストのサイトには来ないけど、ハフィントンポストのコンテンツを読む人はいるので。

川崎氏:
データでいうと、僕はデモグラはあれかなと思っています。
僕の場合、40歳で子供が一人いて、目黒在住っていうデモグラになりますけど、それで僕に最適なニュースってわかります?

彼らに追いつくためにやるべきことはなにか。
PVやインプレッションが万能なのか。違いますよね。

ユーザーが何をもとめているのか、日々の変化を念頭において考えないといけません。

Morelli氏:
重要なのはデバイス間を接続することですね。
消費者の観点から整合性のある情報が欲しいわけです。
マーケターは、一人の消費者が複数のデバイスを使っていることを意識する必要があります。

企業間の連携について

陰山氏:
これからのメディアは、外部との連携が重要なのかなと思います。
パートナーシップの築き方をお聞きしたいです。

川崎氏:
リーダーシップとフォロワーシップが重要かなと。
企業は競争を重視しがちなんですよね。でもそこじゃない。

Facebookはインスタントアーティクル、グーグルはAMPを導入しましたが、この機能を世界で初めてやったのは僕たちです。
その点ではリーダーシップを発揮しなければいけませんが、ユーザーを新しい体験につれていくという共通の目標に向かって協力していかなきゃいけないなと。

竹下氏:
皆さん、コンテンツが好きだと思うんですよね。
このニュース読んでよかったかなとか、この広告よかったとか感じていると思うんですよね。
その体験を常に提供し続けていきたいとおもいます。
そのためには業界全体で協力しなければいけない。
一緒に作っていかないと業界が死んじゃうと思います。

Morelli氏:
AOLはオープンネスが中核にあります。
コンテンツは民主化が必要です。

弊社では「Frenemy(FriendとEnemyを掛け合わせた造語)」といいますが、他媒体はライバルでもあり友人だと認識しています。