2つのゲーム理論「協力ゲーム」と「非協力ゲーム」とは?

ゲーム理論は、「協力ゲーム」と「非協力ゲーム」の2つにわけられます。

「協力ゲーム」とはプレイヤー同士で協力できる状態を、「非協力ゲーム」はプレイヤーが各々敵対する関係にある状態を指します。2つの違いについて詳しくみてみましょう。

参加者同士で協力した方が利益が得られる「協力ゲーム」

協力ゲームとは、「参加者同士が協力した方が利益が大きい」状況を指します。同一の目的を持ったもの同士が協力することで、個別で動くよりも大きな利益が得られる場合が当てはまります。

例えば、同じ企業で働く社員であれば、それぞれ個別で目標を追うよりお互い協力した方が目標達成しやすいのは明らかです。

企業単位だけでなく、業種で見ても同様です。企業単位ではなく、同じ業界同士、もしくは関連する業界同士で協力すれば、より大きな利益を生み出せる可能性が高まります。近年頻繁に行われるM&Aや事業提携はまさしく「協力ゲーム」的な発想といえるでしょう。

参加者が互いに争う「非協力ゲーム」

非協力ゲームとは「参加者同士が争う」状況を指します。受験戦争、市場競争、就職活動など、全員が勝者となることはない場合はほとんどが「非協力ゲーム」となります。

協力ゲームにするか非協力ゲームにするかは参加者次第

では、先ほど例に挙げた「囚人のジレンマ」は、協力ゲームと非協力ゲームのどちらに当てはまるでしょうか。

「囚人同士は意思疎通が取れない」ので協力できないという前提があることに加え、お互いを裏切る選択肢が与えられているので「非協力ゲーム」となります。「協力ゲーム」になるのか「非協力ゲーム」になるのかは、ルールや置かれた状況、参加者の意志によって決まります。参加者次第で、協力ゲームにも非協力ゲームにも変化させる可能性があるケースは多々あります。

例えば、ユーザーの可処分時間を奪い合う状態だったマスメディアとWebメディアを融合させ、2016年4月にリリースされたテレビアプリ「AbemaTV」は、非協力ゲームから協力ゲームに転換した事例と言えるでしょう。

協力ゲームにしろ、非協力ゲームにしろ、共通しているのは関係者全員にとって最も良い状態を選択する点です。あらゆるシーンで、「協力ゲーム」と「非協力ゲーム」どちらに設定した方が合理的なのかを考えてみましょう。

ゲーム理論は思考プロセス

ゲーム理論は、本来は計算式を組み立てて数字的な根拠を求めていくものですが、今回は概念的な部分を中心に説明しました。重要なのは計算式を覚えることではなく、「より合理的な判断をするための思考プロセスを理解することです。

利害関係のある人間全てが良い結果を得られるための思考がゲーム理論の基本です。 自分だけの利益を追求すると、結果的に悪い結果を招くことを、ゲーム理論は数学的に証明しています。物事を決断する場合、自分だけでなく、関係する人間の利益も考えた上での決断は、結果的に自分にとっても良い結果を招くでしょう。

合理的な判断をするためには、まず置かれた状況や条件を理解し、考えられるパターンを想定してそれぞれのパターンを「点数」で評価する必要があります。その点数を出すために計算式が必要となります。数値化した方が合理的に判断できますが、まずは判断が必要になった時にゲーム理論的な思考プロセスを思い浮かべるようにしましょう。

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少し難しい話になりますが、わかってしまえば文章を書く際はもちろん、普段の会話やビジネス上の話の展開方法などにも活用することができます。