業務の流れを他のメンバーと共有する場合、口頭や手順書での説明が多いかもしれません。しかし業務内容によっては手順書だけだと業務全体が理解できない可能性があります。

そのような場合に使いたいのが、図形で業務や処理の流れを表す「フローチャート(フロー図)」です。

この記事では、フローチャートを作成するメリット代表的な記号・図形一覧書き方のポイントなどを解説します。また、フローチャートを作成できるツール4選も紹介します。

この記事で分かること

・フローチャートを作成するメリット
・フローチャートの記号・図形、基本構造
・フローチャートの書き方やツール4選

目次

  1. フローチャート(フロー図)とは
  2. フローチャート(フロー図)を作成するメリット
  3. 代表的なフローチャート(フロー図)記号・図形一覧
  4. フローチャート(フロー図)の基本構造・種類
  5. フローチャートの書き方とポイント
  6. フローチャート(フロー図)を作る際の注意点
  7. フローチャート(フロー図)を作成できるツール4選
    1. Cacoo(カクー)
    2. draw.io(ドロー)
    3. Google Slides(グーグル スライド)
    4. Canva(キャンバ)
  8. フローチャートにまとめて、業務の見える化を

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フローチャートのテンプレート

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フローチャート(フロー図)とは

フローチャートとは、プロセスや作業の流れを箱と矢印を使って表現した図のことです。「フロー図」とも呼ばれており、アルゴリズムやプログラムの動きを表現するときに使われます。

フローチャートを書くことで、業務全体の流れを理解でき、取引先やメンバーといった関係者に対して業務内容を説明する際の材料にすることも可能です。

元々はプログラミングの分野で使われていたフローチャートですが、現在ではビジネスや教育など、あらゆる分野で幅広く活用されています。

寿司を握るフローチャート.jpg

例えばフローチャートで寿司を握る職人の作業を表すと、上図になります。フローチャートは業務中に発生する判断繰り返しの作業も表現できるので、生産工程や緊急時の対応フローを表現する際にも役立ちます。

フローチャート(フロー図)を作成するメリット

フローチャートを作成するメリットは以下の通りです。

  • フロー全体を把握できる
  • 業務の属人化を防げる
  • プロセスの効率化を目指せる

フロー全体を把握できる

フローチャートを作成することで、業務全体の流れをはじめ、工程の種類や数、工程同士の位置関係を整理しやすくなります。

例えばプログラミングでフローチャートを利用する場合、プログラム構造を整理できるため、効率や品質の向上を図りやすくなります。

実際に作業に取り掛かる前にフローチャートを作成してフロー全体をイメージしておけば、問題が発生しても影響の範囲や対処法などを考えやすくなるのです。

業務の属人化を防げる

フローチャートを作成することで業務の流れが可視化され、実際に業務に携わるメンバー以外にも業務の流れを共有しやすくなります。

特に複雑なプロセスの場合、業務の流れが明確・可視化されていないと、引き継ぎなどの際に問題が生じる可能性が高いです。

そこであらかじめフローチャートを用意しておくことで、スムーズな業務の引き継ぎなどにつながり、業務の属人化を防ぐこともできます。

プロセスの効率化を図れる

フローチャートによって業務の流れを客観視できるので、無駄な工程を省くなどしてプロセスの効率化が図りやすくなる利点もあります。

もしフローチャートを作成して承認プロセスが必要以上に多いことに気付いたら、承認者を減らしたり、承認方法をデジタル化したりするなどして、効率化を図ることができます。

このように業務効率化や生産性向上を目指せるため、フローチャートは多くの企業によって活用されているのです。

代表的なフローチャート(フロー図)記号・図形一覧

ワークフローの記号とその意味.jpg

フローチャートを作りたくても、実際にどのように組み立てればいいのかわからないという方もいるかもしれません。ここでは、上図の中から代表的な以下のフローチャート記号を紹介します。

  • 端子
  • 線・矢印
  • 処理
  • 判断
  • ループ

端子

端子png

角の丸い四角形で、業務やプログラムの開始・終了を表す記号です。フローチャートの最初と最後に必要となります。

線・矢印

線・矢印.png

業務や処理の流れに沿って、線または矢印でボックスをつなぎます。流れの向きを明らかにする時は矢印を使うようにしましょう。

処理

処理.png

四角形は、行う処理や作業の種類を表現。例えば、寿司を握る場合「酢飯を手にとる」「手で一口大に握る」といった行動が該当します。

ボックス1つにつき、1つの処理を書き込むようにしてください。複数の処理を1つにまとめてしまうと、わかりづらくなってしまいます。

判断

判断.png

複数の選択肢に分かれる判断は、ひし形で表現します。ボックスの端から選択肢のボックスに線をつなぎます。その際には線の横に、判断基準を併記するようにしましょう。

なお、程度によって選択肢を変更する場合は以下のように表記します。

判断2.png

ループ

ループpng

何度も繰り返しで行う処理を表現する際に使用します。ボックスの中に処理の終了条件を記入し、処理を間に挟みます。

ループ2.png

フローチャート(フロー図)の基本構造・種類

フローチャートには、以下の基本構造があります。これらの基本構造を組み合わせることで、わかりやすいフローチャートを作成できるようになります。

  • 順次構造
  • 分岐構造
  • 反復構造

順次構造

順次構造.jpg

順次構造は、フローチャートの中でも最もシンプルな構造です。順番に実行されるフローやステップを説明する際に利用されます。前のボックスでのアクションが終了したら、次のボックスのアクションに移行するイメージです。

分岐構造

● 単一分岐

単一分岐.jpg

● 多重分岐

多重分岐.jpg

出典:BINARY 多重分岐

分岐構造(選択構造)は、条件によって処理の流れが変わる構造です。条件分岐を1つ設ける「単一分岐」と、複数の条件分岐が含まれている「多重分岐」に分けることができます。いずれも最終的には1つの流れに集約するように組み立てられます。

反復構造

● 前判定型

前判定型.jpg

出典:ITの基礎知識|ITパスポート・基本情報 アルゴリズムと流れ図

● 後判定型

後判定型.jpg

出典:ITの基礎知識|ITパスポート・基本情報 アルゴリズムと流れ図

反復構造は、特定の条件を満たすまで処理を繰り返す構造で、以下の2つに分類されます。

  • 前判定型:処理の前に、反復処理するかの条件判定を行う
  • 後判定型:処理を実施した後に、反復処理するかの条件判定を行う

前判定型は条件判定次第では、処理を実施されないことがあります。一方の後判定型は、一度は必ず処理を実行します。

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フローチャートのテンプレート

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フローチャートの書き方とポイント

フローチャートを作成する際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 目的と範囲を設定する
  • 時系列に上から下へ要素を配置する
  • 記号のサイズを揃える
  • 簡潔なテキストでわかりやすくする
  • なるべくシンプルにまとめる

フローチャートの作成メリットは、業務の流れを可視化できることです。そのため、さまざまな要素を入れ込んだりと複雑な図になってしまったら意味がありません。

あまりに項目が多いとフローチャートが長くなり、かえって分かりにくい図となります。厳密に一つひとつのフローを分けるのではなく、必要に応じて一つの項目に複数のフローをまとめるといった工夫も行いましょう。

以下の記事では、デザインを工夫したフローチャートの作り方や、より見やすく分かりやすいフローチャートを作成するポイントを解説しています。

フローチャートはデザインを工夫するのがコツ!基本の書き方や作成ポイント、おすすめツール5選

フローチャートはデザインを工夫するのがコツ!基本の書き方や作成ポイント、おすすめツール5選

フローチャートは業務フローを可視化するために欠かせないものですが、デザインを工夫することで、より見やすく分かりやすいフローチャートにすることが可能です。そこで、デザインを工夫したフローチャートの作り方や、おすすめツール5選を紹介します。フローチャートを作成する際のポイントや無料のテンプレートも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

フローチャート(フロー図)を作る際の注意点

フローチャートを作成する際は、以下の注意点を意識することが大切です。

  • 範囲を広げすぎない
  • 色を使用する
  • フォントの大きさを調整する

フローチャートで表す業務フローを広げすぎると、要素が多くなるため、わかりづらい図になってしまいます。

処理ごとに色を変えたり、記号のサイズに合わせてフォントの大きさを調整したりすることで、見やすいフローチャートを作成できます。

以下の記事では、パワーポイントを使用したフローチャートの作成方法を解説しています。

パワポ(PowerPoint、パワーポイント)でフローチャート(フロー図)を作ろう

パワポ(PowerPoint、パワーポイント)でフローチャート(フロー図)を作ろう

今回は、PowerPointを使用してフロー図を作成する手順を紹介します。難しい操作はなく、PowerPointを使用したことのある方であればすぐに整ったフロー図を作成できます。見やすいフロー図を作成するためのポイントも紹介していますので、あわせて参考にしてみてはいかがでしょうか。

フローチャート(フロー図)が作成できるツール4選

ExcelやPowerPointといったOffice系のソフトの図形を利用する方法もありますが、ツールを使うとより簡単にフローチャートが作成可能です。ここではインストール不要で使いやすい以下4ツールを紹介します。

  • Cacoo(カクー)
  • draw.io(ドロー)
  • Google スライド(グーグル スライド)
  • Canva(キャンバ)

Cacoo(カクー)

Cacoo(カクー).jpg

出典:Cacoo

「Cacoo」はシンプルな操作性で、誰でも簡単に作図が行えるツールです。用意されている図形や記号をキャンバスに落とし込んでいくだけでフローチャートが作成できます。

線または矢印でボックスをつなぐ場合、つなぐポイントを選べば自動で線を整えてくれるので、線の歪みを直したり、折り曲げたりといった手間を減らせるでしょう。

共有機能を利用すれば、他のメンバーと同時に編集したり、チャットでやりとりをしたりといった操作も可能です。

● 料金プラン

  • プロプラン(個人利用):660円/月
  • チームプラン(チーム利用):1,980円〜/月(※3ユーザーから利用可能)
  • ※14日間の無料トライアルあり
ノンデザイナーでも無料で作れる、イケてる資料作成ツールはCacooがおすすめ!

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みなさんは、普段デザイナーさんや制作会社の方にデザインを依頼する際、どのようにしてデザインのイメージを伝えていますか? パワーポイントを使って、「こんな感じ!」という風に伝える方もいればエクセルで簡単に作ってしまう方もいらっしゃると思います。

draw.io(ドロー)

drawio(ドロー).jpg

出典:draw.io

「draw.io」は無料でフローチャートが作成できる作図ツールです。会員登録やソフトのインストールは不要なので、手軽にフローチャートを作成できます。

記号も豊富に揃えられているだけでなく、フローチャート用のテンプレートも用意されています。線や矢印を指定しなくても、図形から自動で矢印を伸ばすことができるので、直感的な操作が可能です。

作成した図はパソコン本体のほかOneDriveやGoogleドライブなどのオンラインストレージ、GitHubに保存できます。

draw.ioの使い方を解説〜無料の高機能作図ツールを使って資料の質をあげよう!

draw.ioの使い方を解説〜無料の高機能作図ツールを使って資料の質をあげよう!

作図ツール「draw.io」の使い方を解説します。「draw.io」はフローチャートやオフィスのレイアウトなど図を作成できる高機能のツールです。長机や窓といったオフィスレイアウト向けの図形や、パソコンやメールなどのアイコンも豊富なので、少ない手間で質の高い図を作成できます。会員登録も不要なので、ぜひこの機会に利用してみてはいかがでしょうか。

Google Slides(グーグル スライド)

Google_Slides(グーグル_スライド).jpg

出典:Google スライド

Google Slidesは、プレゼン資料などスライドツールです。ExcelやPowerPointのように、図形機能を利用すればフローチャートも作成可能です。

PowerPointに近い機能を持ち、Googleアカウントさえあれば無料で利用できます。スライドは常に同期されるため、メンバーと共有すればリアルタイムで共同編集が行えます。

Canva(キャンバ)

Canva(キャンバ).jpg

出典:Canva

Canvaは無料でも使えるグラフィックデザインツールです。フローチャート作成に必要な機能が揃っており、さまざまなテンプレートも利用することができます。さらに、メンバーを招待することで共同作業も可能です。

無料プランでも十分機能が豊富ですが、よりデザイン性の高いコンテンツを作成したい場合やチームでワークプレースを管理したい場合は有料プランを検討しましょう。

● 料金プラン

  • Canva Pro:1,500円/月・1ユーザー
  • Canva for Teams:3,000円/月・5ユーザーまで(メンバー数により変動あり)
  • ※両プランとも年契約の場合は割引あり

フローチャートにまとめて、業務の見える化を

この記事では、フローチャートを作成するメリットや代表的な記号・図形一覧、書き方のポイントなどを解説しました。

フローチャートを作成することで、以下のメリットを得られます。

  • フロー全体を把握できる
  • 業務の属人化を防げる
  • プロセスの効率化を目指せる

ただし作成時には以下の点に注意しましょう。

  • 範囲を広げすぎない
  • 色を使用する
  • フォントの大きさを調整する

フローチャートはツールを活用すると簡単に作成可能です。無料で利用できるツールもあるので、ぜひツールを活用しながらフローチャートを作成してみてください。

▼今すぐ使えるフローチャートのテンプレートはこちら

フローチャートのテンプレート

フローチャートのテンプレート(ppt形式)

フローチャートのテンプレートです。コピーしてお使いいただけます。