イベントでの集客では、開催内容だけでなく告知の手法も大きな影響を与えます。
どんなにいい内容のイベントであっても、求めていた来場者数を集められなければビジネスの上では成功とは言えないでしょう。

プレスリリースや広告を発表していく際に、軸となるのがイベントのキャッチコピーです。
顧客の興味を引き出すワンフレーズを考えるには、多くの広告に使われているキャッチコピーを見て学ぶことが重要です。

今回は、2016年開催のうち来場者数上位9位以内の美術展に使われたキャッチコピーをご紹介します。
日本国内の美術展覧会は、1回の開催で60万人以上の来場者数を記録することもあるほど集客力のあるイベントです。工夫されたキャッチコピーを知ることで、自社のイベントキャッチコピーを考える参考にもなるでしょう。

美術展覧会の集客戦略とは

美術館というと、どのような施設を思い浮かべますか?
多くの絵画や彫刻、工芸品の並ぶ文化的な公共施設というイメージする方が多いかもしれません。
そこには集客を行い、金銭的な利益を得ようとするイメージはないでしょう。

しかし、美術館の展覧会は多くは新聞社や放送局が協賛して開催しており、かけた予算の分の集客が求められます。
協賛企業は莫大な投資を行い、中吊り広告やテレビCMを大々的に打ち出す「ブロックバスター」という戦略をとるため、世の中には展覧会の広告で溢れることとなるのです。

つまり美術展覧会における広告は大切な集客の手段であり、キャッチコピーにも意匠を凝らしたものが多く存在します。

美術品という多くの人にとって入りづらい分野を噛み砕いたキャッチコピーを知ることで、自分自身の発想にも役にたつでしょう。

参考:
ハリウッド映画の超巨額投資がペイする理由ハーバード流「ブロックバスター戦略」とは|東洋経済ONLINE

2016年国内美術展覧会入場者数TOP10キャッチコピー

株式会社美術出版社が公開した「2016年美術展覧会来場者数TOP20」より、上位9位以内に入った展覧会のキャッチコピーをまとめました。

来場者数の多いものからチェックしていきましょう。

参考:
2016年美術展覧会入場者数 TOP20|bitecho

※チラシ及び公式サイトにキャッチコピーの記載のなかった「スタジオ設立30周年記念ピクサー展」「村上隆の五百羅漢図展」は除外しております。

「永遠」を守るための軍団、参上。|特別展「始皇帝と大兵馬俑」

スクリーンショット_2017-02-02_18.04.24.png
http://www.ohtabooks.com/qjkettle/news/2015/10/14093104.html

入場者数 48万3809人

東京国立博物館で開催され、2016年2位の来場者数を記録しました。
「最初の皇帝」を名乗った始皇帝の陵墓の近くに埋められた兵馬俑を中心とした、秦時代の遺物を展示しています。

死後も皇帝として君臨しようとする始皇帝の思いを「永遠」という言葉で表し、展覧会の軸として据えています。

参考:
[特別展「始皇帝と大兵馬俑」|東京国立博物館]
(http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1732)

ひと月限りの、この世の楽園。|生誕300年記念 若冲展

生誕300年記念_若冲展|東京都美術館.png
http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_jakuchu.html

入場者数 44万6242人

江戸時代に活躍した絵師伊藤若冲の展覧会で、わずか1ヶ月ほどの開催期間ながら国内3位の入場者数を記録しました。
最大で5時間超の入場待ち時間となり、各メディアでも話題となりました。

一ヶ月しかない開催期間をあえて「ひと月限りの、この世の楽園」というワンフレーズに込めています。

参考:
[若冲ブーム、生誕300年で絶頂 サブカル系若者が共鳴]
(http://www.asahi.com/articles/ASJ574W0JJ57UCVL00C.html)

ルネサンスを超えた男。|日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展

カラヴァッジョ展|NHKプロモーション.png
https://www.nhk-p.co.jp/event/detail.php?id=546

入場者数 39万4006人

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョは後世の画家にも大きな影響を与えた、イタリアのバロック期を代表する画家です。
カラヴァッジョ展は2016年国内展覧会で4位の入場者数を記録しました。

ルネサンス期ののちに展開されるバロック期の画家であることを「ルネサンスを超えた」という言葉で表しています。

二人の画家が、上野で出会う。|ゴッホとゴーギャン展

ゴッホとゴーギャン展|東京都美術館.png
http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_goghandgauguin.html

入場者数 39万1721人

ゴッホとゴーギャンという二人の画家の人柄と関係性に注目した展覧会で、国内展覧会の来場者数5位となる入場者数を記録しました。

共同生活を送るほど親密な関係を築いていた二人を意識するように、「二人の画家が、上野で出会う。」という比喩的な表現を用いています。

完璧を恐れるな。ーダリ|ダリ展

ダリ展___PROGRAMS___六本木アートナイト2016.png
http://www.roppongiartnight.com/2016/programs/2925

入場者数 38万8557人

映画や演劇、ファッションなど絵画の枠を超えて活躍したサルバドール・ダリの展覧会で、2016年度国内展覧会の入場者数6位を記録しました。

キャッチコピーは「完璧を恐れるな。」というダリ自身の発言を抜き出して用いています。

参考:
ダリ展|国立秦美術館

日本初の大回顧展、上野へ。|ボッティチェリ展

ボッティチェリ展|東京都美術館.png
http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_botticelli.html

入場者数 30万4686人

イタリア・ルネサンス期を代表する画家であるサンドロ・ボッティチェリの展覧会で、2016年の国内展覧会で9位となる入場者数を動員しました。

数多くの美術館・博物館が立地している「上野」はゴッホとゴーギャン展でもフレーズとして用いられています。

地名を含める手法は地域に住んでいる人の目を引きやすく、多くのキャッチコピーや店舗名として使われています。

マンハッタン・モネ美術館が贈る”究極のモネ展”|マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展「印象、日の出」から「睡蓮」まで

モネ展「印象、日の出」から「睡蓮」まで|日本テレビ.png
http://www.ntv.co.jp/monet/

入場者数 30万2312人

2016年度国内展覧会入場者数10位を記録した展覧会です。

印象派の代表的な画家であるクロード・モネ本人が所蔵していた絵画を中心に約90点の展示を行いました。

公開される機会が少ない画家本人の所蔵品を見ることができるとして「究極の」という言葉を用いています。