顧客から見て自社のサービスは本当に役に立つものなのか、特にスタートアップの企業にとっては気になるところでしょう。
クリステンセン教授が提唱するジョブ理論を土台とした「価値提案キャンバス」は顧客の本当にしたいこととサービスがマッチングしているかどうかを確かめることができます。

今回は、価値提案キャンバスの構造と利用例を解説します。
価値提案キャンバスは視覚的にサービスを理解することができ、サービスを見直す時にも役にたつフレームワークです。
ホームページが顧客にとって有益なものになっているかのチェックにも応用できるので、一度学んでみるのかいかがでしょうか。

価値提案キャンバスとは

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https://strategyzer.com/canvas/value-proposition-canvas

価値提案キャンバス(The Value Proposition Canvas)とはアレックス・オスターワルダー・/イヴ・ピニュールによる著書『ビジネスモデルジェネレーション』にて紹介された、顧客のニーズに合った事業を生み出すためのフレームワークです。

同書にて紹介されているビジネスモデルキャンバスの一部を抜き出した形で構成されており、ビジネスの仕組みを考える際に利用できます。

顧客のニーズと事業の価値を結びつけたシンプルなデザインなので、思考がうまくまとめらない人でも取り組みやすいでしょう。

参考:
なぜコンビニは近距離で複数店舗を出すのか?"儲け"の仕組みがわかる「ビジネスモデルキャンバス」とは

価値提案キャンバスの構造

価値提案キャンバスは大きく分けると、顧客セグメント(Customer Segments)提供価値(Value Propositions)で構成されています。

では、それぞれはどのような意味を持つのでしょうか?

大まかに言うと顧客セグメントは企業が狙おうとする顧客の属性、提供価値は企業が提供する価値のことです。
つまり、価値提案キャンバスとは企業の狙いたい顧客のニーズと企業が提供している価値のマッチングを図式化したものと言えるでしょう。

顧客セグメントには顧客のジョブと、ゲイン・ペインが含まれ、それに対応する形で提供価値の中にプロダクトとサービスと、滋養効果・鎮痛効果が置かれています。

構成について、こちらの動画で紹介されています。合わせてご参照ください。

顧客のジョブ:Customer Job

それぞれの項目について細かく見ていきましょう。
まずは顧客のジョブです。

顧客のジョブとは「顧客が生活の中で行うタスク」を表しています。

例えば、あなたなら食事をとろうとする時にどのような行動をとりますか?

【例:食事をとる】
・好みの飲食店を探すために家を出る
・街を歩きながら店を探す
・店の前にあったメニューを見て吟味する
・入店する
・席について店員を呼ぶ
・メニューを注文する

このように、細かく挙げていくと沢山の行動をとっているでしょう。
そのひとつひとつの行動がジョブとして機能しています。

また、ジョブを考える際にはジョブの本質を掴むことが大切です。
先ほどの「好みの飲食店を探すために家を出る」ことの本質はどこにあるでしょうか。
この時、あなたは飲食店を探したくて探しているわけではないでしょう。

「プロが作る美味しいものを食べたい」や「自分で料理は作りたくないけど、ご飯は食べたい」のような本質的な目的があるはずです。

製品やサービスを利用する時、人間は何らかのジョブを処理することを目的にしています。
先ほどの例をあげると「自分で料理は作りたくないから、宅配ピザを頼む」「プロが作る美味しいものを食べたいからネットで調べる」のような動きが予想できます。

ゲイン:Gains

ジョブの中で、より大きくしたい成果を指します。

例えば「遊ぶ」というジョブには「もっと刺激的な体験をしたい」「多くの人と一緒に遊びたい」のようにプラスに向いていく欲求が挙げられるでしょう。

ペイン:Pains

ジョブの中で、より少なくしたい行動・影響を指します。

何かを行う時には、「こうなりたい」という欲求だけでなく「これが嫌だ」という感情も生まれるでしょう。

例えば「遊ぶ」というジョブにも「痛い思いはしたくない」「恥をかくのは嫌だ」のような欲求があります。

ゲインとペインの関係を書き出すと以下のようになります。

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プロダクトとサービス:Products&Services

プロダクトは製品を指すものであり、サービスは形を持たない価値の提供のことです。
顧客の抱える問題を解決し、ニーズを満たすために機能しています。

例えば、オンラインゲームの場合は「多くの人とネットで繋がれる」ということがサービスの特徴であり、それを支える「ネット回線と繋いだゲームシステム」がプロダクトとして挙げられるでしょう。

滋養効果:Gain Creators

ゲインとペインにそれぞれ対応する企業の提供価値として、滋養効果と鎮痛効果が対応します。

滋養効果は顧客のゲインを最大化する「プロダクトとサービス」の機能や特徴のことです。
オンラインゲームの場合は、「多くの人と一緒に遊びたい」というゲインに対応する「リアルタイムで操作する新しい体験」が考えられるでしょう。

鎮痛効果:Pain Relievers

鎮痛効果は顧客のペインを最小化する「プロダクトとサービス」の機能や特徴のことです。
オンラインゲームでは「恥はかきたくない」というペインに対応して「匿名による操作」が挙げられます。

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このようにオンラインゲームは顧客のニーズと価値とが合致していることがわかりました。

価値提案キャンバスを新しいサービスを考える際に利用するには、下記のような順番で考えていきます。

顧客のジョブ
↓
ゲイン/ペイン
↓
滋養効果/鎮痛効果
↓
プロダクトとサービス

顧客の行うことを軸にして考えるので、ニーズとずれのないサービスを考え出すことができるでしょう。

参考:
新しいサービスへ乗り換える「スイッチ」、潜在顧客を夢中にさせる「トリガー」をデザインする
[価値提案キャンバス(Value Proposition Canvas)]
(http://www.slideshare.net/barrelbook/value-proposition-canvas-42204070)

まとめ

価値提案キャンバスは、顧客の本当に行いたいことをジョブとして捉え、それに対応したサービスを生み出していくためのフレームワークです。

新サービスを考える際だけでなく、自社のサービスが顧客に対してどのような価値を提案できているのかを確認するためにも利用できるでしょう。

ジョブに分解して考えるため、「湯沸かし器が欲しい」「テレビが欲しい」という顕在化しているニーズよりも「紅茶を飲むためのお湯が欲しい」のように本質的なニーズにも気づけるかもしれません。
今回ご紹介したようなフレームワークを活用し、顧客のニーズにいち早く気づくことで市場に受け入れられるサービスを構築していきましょう。