LGBTを含むマーケティングのメリットとは

では、紹介してきたようなLGBTを含んだマーケティングにはどういったメリットがあるのでしょうか。これには大きく分けて2つあります。

1.消費者の1人としてLGBTの需要を逃さない

*LGBTと言っても消費者の1人であり、普段の生活やライフイベントに合わせた需要があります。*そのような中で「パートナーと式を挙げたい」「パートナーと一緒の家に住みたい」といったニーズもあるでしょう。

そのようなニーズに個別に対応することで、自社の商品を手に取る機会を取り逃がさずにすみます。あるいは、個別のニーズに対応することで新しいサービスが生まれることもあるでしょう。

この動きは、個人の嗜好や属性に合わせた商品・サービスの提供を行うパーソナライゼーションにもつながります。
マーケティングにおいては、1人の消費者としてLGBTのニーズを捉えていると言えるでしょう。

2.社会的な貢献度の高い企業として評価される

LGBTに対応することで、人権に配慮する社会的な貢献度の高い企業という評価を得ることもあるでしょう。

日本国内においてもCSRとして社会的貢献が企業に求められているだけでなく、社会的な価値は企業の資金を支える株主にとっても評価の1つとなっています。

国連の「責任投資原則」では、企業や市場の長期的な健全性や安定性に関わる「環境(environmental)」「社会(social)」「ガバナンス(governance)」の3要因(ESG要因)が投資家にとって極めて重要だと認めています。
そのような中で、会社経営にとってもLGBT含め宗教や人種、国籍など属性にかかわらない平等な経営やサービスを行うことが求められているでしょう。

また、電通による「LGBT調査2015」によると、ストレート層(異性愛者)の中でも*「セクシュアルマイノリティを支援する企業の商品を積極的に利用したい」*と答えた人は53%にものぼり、社会的な価値に対する評価はLGBT当事者に限らないことがわかります。

参考:
CSRに熱心な会社の成長性はなぜ高いのか
[電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2015」を実施]
(http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0423-004032.html)
四元正弘+千羽ひとみ著『ダイバーシティとマーケティング』(2017/宣伝会議)

まとめ

LGBTとは、レズビアン・ゲイなどセクシュアルマイノリティを表現する際に利用されている総称です。
ですが、LGBTに含まれる4つの属性だけを意識するのではなく、属性で割り切れない多様性があることを認識しておきましょう。

企業としては、*LGBTをメインターゲットとして捉えるだけでなく、消費者の1人としてニーズに合わせていく手法が取られています。*LGBTを含む顧客それぞれのニーズに対して合わせるのは、マーケティングにおいても重要なポイントとなるでしょう。

また、2020年に東京オリンピックを控えていることで、男女平等な施設のあり方など国際的な人権の基準に合わせた社会制度が推進されつつあります。社会的な価値を提供していくことで、LGBT当事者のニーズだけでなく消費者全体の企業イメージの向上も狙えるでしょう。

なにより社会に対して利益をもたらしていくことで収益を得るのはビジネスの基本でもあります。LGBTという言葉だけを見るのだけでなく、消費者のニーズや社会的な価値に向き合ってサービスを考えていきましょう。