「サービスの料金はいくら?」「会社はどこにあるの?」といった、基本的な情報に対する問い合わせをホームページから受けたことはありませんか?
そんな時には「自動で回答を返せたらいいのに…」と思うこともあるでしょう。

そういった自動で返答を行うシステムをチャットボットといい、カスタマーサポートや料金見積もりシステムとして利用されています。
今回はチャットボットの仕組みと運用事例を解説します。

チャットボットはLINEやFacebookなどの会話ができるSNSの中でも利用され、消費者にとっても身近な存在となりました。

それだけでなく2016年にFacebook、LINEの2つのSNSサービスのメッセージ機能で開発環境がオープン化されたことで、企業独自のチャットボットをSNSを通じて提供することが可能となり注目を浴びています。
今、新たな展開を見せているチャットボットについて、最新の事例を通して学んでいきましょう。

参考:
Messenger Platform at F8
[Messaging API]
(https://business.line.me/ja/services/bot)

チャットボットとは

チャットボットとは「チャット(雑談)」「ロボット」を掛け合わせた言葉で、テキストや音声を通じて自動的に会話を交わすことができるプログラムを指します。

人間の脳が働く仕組みを再現している人工知能とは異なり、チャットボットはすでにある答えを導き出してくるのが特徴です。

例えば、仲のいい友人から「今日ご飯食べに行かない?」と聞かれたとき、あなたならどう答えるでしょうか。
「今日は見たいテレビがあるけど、こっちを優先させたいな」とか「この人は奢ってもらえるから得だし、行こうかな」といったことを考えた上で返答するでしょう。

一方、チャットボットの場合はすでにあるデータを参照して返答を行うので、基本的にはこういった思考は現れません。過去に行った会話や登録された情報を元にして回答を行うだけです。

ですが、人間らしい聞き返し方やキャラクターに合わせた口調を登録しておけば、会話文としてある程度成立させることが可能です。
また、人工知能のように機械に回答を任せない分、回答内容をコントロールできるのがメリットでしょう。

参考:
[チャットボット(Chatbot)とは【人工知能との関係、開発の方法】]
(https://www.slideshare.net/tak9029/tensorflowai)
TensorFlowで会話AIを作ってみた。

チャットボットを採用している企業の事例

チャットボットでは元となるデータの取得方法などによって以下のようなタイプに分かれます。

 Eliza型…受け取った会話文に対して相づちや会話の要約をする。
 選択肢型…決められたシナリオ合わせて、選択式で会話をする。
 辞書型…登録された単語に対する応答をする。辞書の量によって対応できる会話文の量が変化する。
 ログ型…過去の会話ログを利用して類似した文脈のなかから返答を導き出す。

選択型や辞書型、ログ型では登録されている情報量によって回答できる幅が限られます。
また、会話相手の意図に合わせた返答が返ってこない場合もあるので、利用の際には注意が必要でしょう。

1.マナミさん|LOHACO

LOHACO___お客様サポート.png
https://lohaco.jp/support/index.html?sc_e=zm_palj_aas_blh_cleg_dps_del

アスクル株式会社が運営している通販サービスLOHACOでは「マナミさん」というチャットボットを運用しています。

ホームページ上でサービスに関して質問すると、それに合わせた返答が返ってきます。
2016年10月時点で問い合わせ件数の4割をマナミさんで対応しており、カスタマーサービスとして大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

また、LINE上で「マナミさん」と友達になれば、トーク機能を利用した質問が可能です。
LINEの「マナミさん」では、さらに会話内容と回答の実績を元に学習を行う人工知能システムも取り入れました。

人工知能ではLINE上で交わされた会話内容と回答の実績を元に最適な組み合わせを抽出し、サポートデスクスタッフの検証と承認を経て、最適な回答を自動学習します。

参考:
[LOHACO のお問合わせ応対チャットボット「マナミさん」が LINE に登場、
難しい問い合わせにも LINE 上でボットからスタッフへ引き継ぐお客様サポート開始]
(http://pdf.irpocket.com/C0032/irQp/YYt1/jNje.pdf)

2.イーオのごみ分別案内|横浜市

スクリーンショット_2017-03-14_15.15.45.png
http://www.city.yokohama.lg.jp/shigen/sub-shimin/dashikata/
※ホームページ右下にある「ごみ分別案内」をクリックするとチャットを始められます。

横浜市資源循環局ホームページでは、ゴミの分別方法について会話形式で回答するチャットボット「イーオのごみ分別案内」を実証実験として提供しています。

横浜市資源循環局ホームページでは「MIctionary」というごみの分別方法を検索できるシステムを運用していましたが、利用者が検索を行うと大量にデータがヒットしてしまうというデメリットがありました。

「イーオのごみ分別案内」では「MIctionary」のデータを元にNTTドコモの開発した「Repl-AI」を活用することで、利用者の会話文に含まれたキーワードに合わせた返答を行います。

参考:
[ドコモと横浜市、チャットボットを用いたごみ分別案内の実証実験]
(http://news.mynavi.jp/news/2017/03/02/207/)

3.ラネットくん|ライフネット生命

ライフネット生命_LINE公式アカウント___生命保険・医療保険のライフネット生命___生命保険・医療保険のライフネット生命_(1).png
http://www.lifenet-seimei.co.jp/line/?cid=&m=&t=&cl=&lp=&mkt_tok=

ライフネット生命ではLINEのトーク機能を利用して、トーク形式で見積もりや保険プランを検索できるチャットボットを提供しています。

見積もりでは選択肢型のシステムを採用しており、利用者は性別や年齢など自分の情報を打ち込むことで見積もり結果を参照することができます。

LINEだけでなく2017年1月にはFacebookのメッセンジャーでも同様のサービスを開始しています。

参考:
ライフネット生命保険 LINEおよびFacebook Messengerで自動応答による保険診断・見積りが可能に

4.パン田一郎

パン田一郎のLINE公式アカウント!|フロム・エー_ナビ.png
http://line.froma.com/

フロムエー ナビではLINEで「パン田一郎」というチャットボットを運営しています。
「今何してる?」などの日常の会話文が交わせるだけでなく、求人情報の検索も行えます。

「今からバイト」「バイト終わった」というキーワードと時給を入力すると、その会話文の間に経過した時間を元に給与計算を行ったり、「バイト終わった」というキーワードと次のバイトの日時を入力するとその日に合わせて通知を行ったりといった機能もついています。

まとめ

チャットボットは膨大な情報を元に適した会話を作り上げる人工知能とは異なり、データベース上から適した回答を探し出すシステムなので「人工無能」とも言われています。
FAQシステムでありながら人間らしい会話文を返答するので、問い合わせへの返答や見積もりなど顧客とのコミュニケーションにも利用されてきました。

人工知能では情報を与えて学習を繰り返し、回答の精度を高めていく必要がありますが、チャットボットは最初に回答文の元となるデータさえあれば一定のレベルの回答は可能です。そのため企業にとっても取り組みやすいシステムと言えるでしょう。

2016年にはFacebookのメッセンジャーやLINEのトーク機能などのメッセージ機能の開発環境がオープン化され、「パン田一郎」の給与計算機能のようにメッセージ機能に対応したサービスを企業で独自に開発することが可能になっています。
また「マナミさん」のようにチャットボットのデータを元に人工知能の運用を始める事例も登場しています。
開発環境がオープン化されたことで、企業によってはLINEやFacebookを通してカスタマーサービスとして利用したり、独自のサービスを提供したりといった展開が見込めるでしょう。