「ARに興味はあるけれど、どうやって作ったらいいの?」

AR(拡張現実)という言葉は私たちの日常に広く浸透しており、スマートフォンのアプリケーションの中にもARに対応したものがいくつか入っている方もいるのではないでしょうか。

「拡張現実を作ってみる」と聞くとハードルが高く感じられるかもしれませんが、実は拡張現実を開発する学習コストは以前よりも格段に低くなっています。

そこで今回は、AR開発を行うための主要ソフトウェア5選をご紹介します。中にはノンプログラマでも試すことのできるものもあるので、ぜひ自分にあったものを探してみてください。

AR開発を行うための主要ソフトウェア5選

1. Apple ARKit

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Apple

AppleのARKitは、iOS 11とともに発表された、iPhoneやiPadで動く拡張現実開発フレームワークです。ARKitはA9以降のプロセッサーを搭載したiOS機器のすべてで利用できます。MetalやSceneKit、UnityやUnrealでも作動します。

WWDC 2017でのApple ARKitの紹介映像

Googleとは違って、Appleが提供するARデバイスはiPhone・iPadシリーズのみなので、エコシステムの特性が異なっています。AndroidでもARは作動しますが、その場合は機種ごとにカメラやプロセッサーの性能が変わってくるので、検証が難しいということがあります。しかし、Appleの場合は動作確認を行うべきデバイスが圧倒的に少なくなるため、アプリケーションの最適化も行いやすく、より優れたユーザーエクスペリエンスを提供できます。

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Apple

また、Appleは「AR開発は難しそう」という発想を打ち消すような努力もしています。iPadでAppleのプログラミング言語Swiftを使ったコード学習アプリSwift Playgroundsには、ARKitを使ったレッスンも公開されており、プログラミングに慣れていないひとでも拡張現実の開発を体験することができます。もちろん、Swift Playgroundsで扱うのは本物のコードなので、Xcodeとの間で直接読み込み・書き出しも行えます。Swift Playgroundsは日本語にも対応しています。

2. Google ARCore

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Google

AppleのARKitが世間を騒がせる中で、Googleも凌ぎを削っています。ARCoreは、Googleの拡張現実開発ソフトウェアとして、2018年1月末現在デベロッパー・プレビュー版として利用することができ、Java・Unity・Unrealの各言語に対応しています。

Googleはもともと3Dセンシングカメラ技術「Tango」を開発しており、CNETによれば、2016年11月には「GPS以来の最も熱い技術になる」「多くのスマートフォンメーカーがTango対応スマートフォンを製造するだろう」と語るほどでしたが、AppleがARKitを発表したために、最終的に2017年12月15日、Tangoの開発終了が決まりました。

Tangoのサポートは2018年3月1日で終了しますが、その代わりにGoogleはARKitの対抗馬として出したARCoreに資源を集中投下します。ARCoreはTangoのように特殊なデバイスは必要なく、難しい設定も要りません。GalaxyやPixelのような「普通の」スマートフォンで作動します。

ARKitを追いかけているようにも見えるGoogleのARCoreですが、GoogleにはAppleにはない資源もあります。簡単にスマートフォンに装着できるヘッドマウントディスプレイであるDaydream Viewを開発・販売し、さまざまなサードパーティーの開発者が自分がモデリングした3Dポリゴンを公開・共有できるGoogle Polyもあります。

また、他のさまざまなGoogleアプリがiOSで動くように、ARCoreで作成した3DモデルはiOSでも利用できる可能性もあります。UnrealやUnityのような「クセのある」3Dゲームエンジンだけでなく、Javaも対応することで、より多くの開発者を囲い込もうとしているのではないかとも言われています。

3. Amazon Sumerian

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Amazon

Amazon Sumerianは、AWS(Amazon Web Services)でプレビュー公開されている、Amazon製のAR・VR・3Dコンテンツの作成キットです。

Amazon Sumerianは3つの点で革新的です。まず、基本的に開発に必要なソフトウェアは必要なく、Google ChromeやMozilla FirefoxといったWebGL互換の最新ブラウザを用意するだけという手軽さです。また、特にプログラミングや3Dグラフィックの専門的な知識がなくとも、どんな人でもAR・VR・3Dのコンテンツを短時間で簡単に作成し、実行することが可能です。さらに、Oculus RiftやHTC Viveといったヘッドマウントディスプレイはもちろん、iPhoneやiPadにも対応しており、まもなくAndroid ARCoreもサポートされる予定で、Androidでも使えるようになります

Amazon Sumerianは、単にゲームや便利なアプリの開発を想定しているだけでなく、例えば世界中にいる従業員のトレーニング用の仮想ルームを作成したり、建物を案内するような仮想環境を構築したり、トレーニングのシミュレーションをしたりといったユースケースを想定しています。

スクリプトを話す3Dキャラクター

基本的にはプログラミングスキルは必要ありませんが、3Dオブジェクトのインタラクションやエフェクトには、JavaScriptでの記述が可能です。Amazon PollyAmazon LexといったAWSの他の製品と組み合わせることで、Amazon Sumerianで作った3Dキャラクターにしゃべらせることもできます。

4. Snapchat Lens Studio

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Snap

Snapchat Lens Studio米Snap Incが2017年12月14日にリリースした拡張現実開発アプリケーションです。他のAR開発ソフト提供ベンダーと大きく異なるのは、Lens StudioはあくまでもSnapchatの中でのみ3Dオブジェクトが動き出すという点です。

Snapchatは自撮りカメラにさまざまなARフィルターを適用して遊んだり共有したりできるSNSアプリです。標準でも「レンズ」と呼ばれるユニークなエフェクトや3Dオブジェクトを利用することが可能ですが、Lens Studioを使うことで、オリジナルな作品を作り上げることができます。また、QRコードにも似た黄色いコード「Snapcode」を使って共有することも可能です。

Lens Studioがリリースされたことによって、LINEがクリエイターによるオリジナルのスタンプを販売するように、Snapchatでもたくさんのクリエイターが独自のアートワークを公開するようになるかもしれません。

5. Facebook AR Studio

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Facebook

Facebook AR Studioは、Facebookが開発・公開している拡張現実開発アプリケーションです。Snapchat Lens Studioがリリースされる1日前の2017年12月13日に全デベロッパーに解放されています。

Snapchatと同様に、Facebook AR Studioで開発した各種エフェクトもFacebookアプリとMessengerアプリでの利用を想定しています。複雑なコーディングなしで、直感的に制御可能な作成画面は、多くの開発者に受け入れられるでしょう。基本機能はUnityにも似ていますが、行えることが制限されている分スッキリした作りになっています。

Snapchatと同様、ARを使ったコミュニケーションという切り口に特化しているので、顔認識機能については非常に優秀だと言えます。「Face Tracker」と呼ばれるツールによって、顔の形に合わせて動くオブジェクトを作ることができます。必要があれば、スクリプト部分はJavaScriptで記入していきます。

まとめ

プログラミング自体の敷居は下がったにも関わらず、「ARの作成となると、なんだか難しいんじゃない?」と思ってしまうかもしれません。しかし、コーディングが不要な拡張現実開発キットは増えてきているので、その気になれば「誰でも拡張現実を作ることができる」という時代になっています。

2017年後半にはますます進化が加速したAR市場。今後もその動向に目が離せません。

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