「市場内の競争から抜け出したい」あるいは「市場の中でトップシェアを得たい」と考えたことはありませんか?
そんな人にとって学びたいビジネス用語の1つに「ニッチ」という言葉があります。
ニッチとは、小さな分野で成り立つ産業またはそういった産業を目指す戦略を指します。
隙間産業とも呼ばれ、市場規模は小さいながらも圧倒的なシェアを誇る企業が多く存在するのが特徴でしょう。

今回は「ニッチ」とは何か、またニッチ産業の事例を紹介します。
ニッチと聞くと、小さな市場に止まっている企業というイメージもあるかもしれません。

ですが、2013年には世界で活躍するニッチ企業を「グローバルニッチトップ企業100選」として経済産業省が選出するなど、ビジネスの上でも評価を受けています。
ぜひこの機会に独自の強みを持つ企業から、自社の戦略に活かせるよう学んでいきましょう。

参考:
[グローバルニッチトップ企業100選(GNT企業100選)]
(http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/gnt100/)

ニッチとは

ニッチ(niche)とは、もともと西洋建築で彫像などを置くために設けられた窪みの部分を指し「隙間」を意味します。

経済分野では「ニッチ産業(隙間産業)」や「ニッチマーケティング」といった言葉があるように、既存の企業が進出していない、小さな分野や市場に対して使われています。

こういった小さな市場を狙う戦略を「ニッチ戦略」や「ニッチマーケティング」といい、マーケティング戦略の1つとして用いられてきました。

これは経済学者のフィリップ・コトラーが提唱した競争地位戦略が元となっています。

コトラーは小規模な市場内で一定のシェアを獲得していくポジションを「ニッチャー」と位置づけ、特殊な需要や受注生産に対応したサービスを提供していくことで専門化がはかれるとしました。

参考記事
マーケティングの基本である市場分析とポジション

参考:
[10分でわかる「ニッチ」|三省堂辞書サイト]
(http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/026niche.html)
リーダー企業と戦わず、「ニッチ」を狙え|DIAMONDハーバードビジネスレビュー

ニッチな市場は成長が限られる?

「市場規模が小さければ、いつか頭打ちになって企業としての成長が止まってしまうのではないか」という疑問もあるでしょう。

こういった問題に対する1つの解決策として「グローバルニッチ」という考え方があります。グローバルニッチとは、たとえ国内では小さな市場であっても世界規模でみれば大きな市場になるという考え方で、特に中小の製造業などでも注目を浴びています。

2013年に経済産業省では世界で活躍で活躍できるニッチ企業を「グローバルニッチトップ(DNT)企業100選」として選出しており、ビジネスにおいても注目の存在と言えるでしょう。

参考:
[第3節 グローバルニッチトップ企業100選]
(http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2016/html/honnbunn/201053.html)

ニッチ産業の事例

では、実際にニッチ産業に進出している企業にはどういった事例があるのでしょうか。
3つの企業を見てみましょう。

1.株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナ___公式ホームページ.png
http://www.euglena.jp/

株式会社ユーグレナはミドリムシ(学名:ユーグレナ)の研究開発及び関連商品の製造販売を行う企業です。

2005年の設立以降、順調に売上を伸ばし、2016年には111億円もの売上高を計上しています。ミドリムシというニッチな分野ながら、化粧品や食品、バイオ燃料、飼料まで様々な商品を展開しているのが特徴でしょう。

現在では国内だけでなく上海に現地法人をおき、バングラデシュにも事務所を開設しています。マレーシアでイスラム法で許された商品の証明であるハラール認証をとるなど、海外事業にも力を入れています。

参考:
[ニッチ分野で伸びる企業、社長が語る経営戦略|NIKKEI STYLE]
(http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK3000N_Q4A330C1000000?channel=DF280120166590&style=1)

2.YKK株式会社

YKK株式会社 公式サイト.png
https://www.ykk.co.jp/japanese/

YKK株式会社はカバンや洋服などに広く利用されているファスナーの製造販売を行っており、71もの国と地域で事業を展開しています。

ファスナーを作る機械まで自社で製造することで、他の企業や環境に依存しない一貫生産を行っています。商品登録を行っているファスナーだけで、10万以上もの商品があり、ファスナー市場において大きな強みを発揮しているでしょう。

参考:
[驚きのファスナー|YKK株式会社]
(https://www.ykk.co.jp/japanese/ykk/tech/07.html)

3.軒先株式会社

軒先株式会社___Nokisaki_Inc.___公式企業サイト.png
https://www.nokisaki.com/

ニッチ産業は製造業だけのものではありません。
特定の需要に対応したコミュニケーションビジネスなどにも、活躍しているニッチャーがいます。

軒先株式会社は、使っていない空き家や駐車場などの小さなスペースのシェアサービスを提供している企業です。
従来こういった敷地面積の少ない空き地は不動産運用をしても利益率が低く、本格的に参入している企業はいませんでした。

このようなニッチな産業ではありますが、2017年2月時点で『軒先パーキング』サービスの登録スペース数は2500カ所以上、法人の利用者は4000社以上となっています。

参考:
[軒先」に注目、妊娠中に起業 会社はわが子のよう|日経DUAL]
(http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=9940)

まとめ

ニッチとは既存の企業が進出していない、小さな分野や市場を指し「ニッチ産業」や「ニッチ戦略」といった言葉として利用されています。経済学者コトラーも「ニッチャー」として、市場戦略の1つに取り上げるなどマーケティングの上でも有効な戦略です。ニッチと聞くと、専門的な技術を持った企業というイメージがあるかもしれません。

実際、今回紹介した株式会社ユーグレナやYKK株式会社は高い技術力により、ニッチ企業として独自の地位を気づいています。ですが、すでに高い技術やノウハウがなくても、特定の需要へ対応したり、特定の属性を持つ顧客へ特化したりといった方法でニッチャーを目指すことは可能でしょう。

こういったニッチ産業は、市場の中でトップランナーとなるだけでなく、市場の情報が一社に集中することによる技術力の向上も見込めます。
「現在の市場で競合他社にシェアを奪われつつある」「独自の市場を築きたい」という企業は、ニッチャーを目指して特定の分野に絞った事業を展開するのも一手でしょう。