フィードやタイムラインで動画を見ない日がないほど、SNS動画が身近な存在になってきました。そのため、企業がマーケティング施策の一環としてSNS動画広告を利用するケースも増えています。オンラインビデオ総研の調査でもインフィード動画広告の需要が急増していることが明らかになっています。
  
参考:
サイバーエージェント、国内動画広告の市場調査を実施
  
そこで今回は、Facebook、Twitter、インスタグラム、LINEという主要SNSが提供している動画広告メニューのうち、低予算からでも始められる運用型動画広告に注目し、その仕様や特徴に関する情報をまとめました。

自社のマーケティング施策でどのSNS動画広告を活用すべきか検討する際、ぜひ参考にしてください。
  

MAU規模とメインユーザー層の比較

まずは、それぞれの国内MAU(月間アクティブユーザー)数、メインユーザーの年齢層について整理します。

Facebook
MAU:約2,700万人 メインユーザー:30〜40代

Twitter
MAU:約4,000万人 メインユーザー:10〜40代(ユーザーの半数は10〜20代)

インスタグラム
MAU:約1,600万人 メインユーザー:10〜30代(コアは20〜30代女性)

LINE
MAU:6,600万人 メインユーザー:10〜50代

  
上記のように、一口にSNSといっても、ユーザー規模も年齢層もそれぞれ異なることがわかります。

例えば、10代にリーチしたい場合はTwitterやLINEが有効でしょう。反対にターゲットが30〜40代に限定される場合はまずFacebookを検討すると良さそうです。リーチ規模を求める場合にはTwitterも検討対象に入れるべきでしょう。

LINEは、日本の人口の52%以上をカバーするという圧倒的ユーザー規模で、10代以上の各世代の利用割合がほぼ均等に分布しています。50代以上のユーザーも20%以上おり、まさに日本国内の幅広い世代に利用されているSNSと言えます。

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引用元:LINE 2017年4月-2017年9月媒体資料
  

運用型動画広告のメニューと配信面の比較

各SNSが提供している運用型動画広告の種類は以下の通りです。

Facebook
ニュースフィード内動画広告

Twitter
動画付きプロモツイート「プロモビデオ」

インスタグラム
フィード内動画広告、ストーリー内動画広告

LINE
タイムライン内動画広告「VIDEO AD」

  
SNSの運用型動画広告は基本的にはインフィード型で、テキスト本文とともに動画コンテンツが配信される仕様です。複数種類のCTA(コールトゥアクション)ボタンも用意されており、目的に応じて選択できます。

インスタグラムでは、通常のインフィード動画広告のほか、24時間で消える「ストーリー」内にも運用型広告を出稿できるようになりました。全画面で動画が再生されるというスタイルのため、テキスト本文などの要素はなく、動画内で全てのクリエイティブが完結されるという独特のフォーマットです。ストーリーは画面最上部に表示されるため注目度も高く、全画面で訴求力も高いため、今後の注目媒体の1つです。
  

・インスタグラムストーリー内動画広告の事例

動画広告として投稿できる動画スペックの比較

次に、動画広告として配信できる動画のスペックについて整理しておきます。

Facebook
16:9(横型)〜9:16(縦型) 最大120分

Twitter
2.39:1(横型)〜1:2.39(縦型) 最大10分

インスタグラム
1.91:1(横型)、1:1(スクエア)、4:5(縦型) 最大60秒
※ストーリーの場合は9:16(縦型)、最大15秒

LINE
16:9(横型) 最大60秒

  
上記のとおり、動画の自由度が高いのはFacebookとTwitterで、横型から縦型まで、企画に応じて自由に決めることができます。さらに尺も最大2時間まで投稿が可能です。広告として10分あるいは2時間というのはあまり現実的ではありませんが、話題化を狙った超長尺動画広告などの企画もチャレンジできる環境です。

・スクエアや縦型の動画はモバイル画面での占有率が大きく、訴求力が高まる

インスタグラムの動画広告は60秒までですが、ループ再生されるという特徴があります。ループ再生を生かした動画企画であればよりユーザーの関心を引けるかもしれません。

一方、LINEは運用型動画広告を提供開始してまだ1年も経っていないため、動画の仕様については限定的です。今後の拡充が期待されます。
  

動画広告の出稿形態の比較

次に、動画広告出稿の際に選択できるキャンペーン目的と課金ポイントを比較してみましょう。

Facebook 
・キャンペーン目的が「動画の再生を増やす」の場合:インプレッション(CPM)、または10秒以上の再生(CPV)
・キャンペーン目的が「アプリのインストール」の場合:インストール(CPI)、インプレッション(CPM)、またはリンクのクリック(CPC)

Twitter
・キャンペーン目的が「動画をプロモーション」の場合:100%ビューアブルで3秒経過(または50%表示で2秒経過)、もしくはユーザーが動画をクリックした時点で課金(CPV)
・キャンペーン目的が「アプリのインストール」の場合:インストール(CPI)またはリンクのクリック(CPC)

インスタグラム
・フィード内動画広告の場合:Facebookに準じる
・ストーリー内動画広告の場合:インプレッション(CPM)(キャンペーン目的はリーチのみ)

LINE
・インプレッション課金のみ(最低CPM400円、最低出稿金額100万円)

  
FacebookとTwitterについては大きな違いはありません。マーケティングの目的に応じてキャンペーン目的と課金方式を選択しましょう。
インスタグラムのフィード内動画広告もFacebookに準じますが、ストーリー内動画広告は「リーチ」がキャンペーン目的となるため、新しいユーザーに広くアプローチしたい場合には検討してみても良さそうです。

また広告予算に関して比較すると、Facebook、Twitter、インスタグラムは1日500円程度から出稿可能ですが、LINEは現在、CPM最低入札額と最低出稿額を設定しているため(出稿期間については任意)、低予算で気軽にトライできるという訳ではありません。リーチ規模やユーザー層など、費用に見合った効果が得られるか十分に検証した上で出稿しましょう。
  

そのほかに覚えておきたいポイント

それでは最後に、上記以外で覚えておきたいポイントをご紹介します。
  

フォーマットが豊富なFacebook動画広告

Facebookの動画広告は、フォーマットの豊富さが特徴です。没入感の高い「360度動画広告」のほか、複数の動画や画像を横に並べられる「カルーセル広告」、ミニサイトのように様々なコンテンツを全画面で訴求できる「キャンバス広告」など、通常の動画広告にはない新しい表現のチャレンジが可能です。
  

・Facebookキャンバス広告の事例

これらの動画広告クリエイティブについて、簡単にシミュレーションやモックアップの作成ができる「Creative Hub」という無料ツールも用意されています。積極的に活用して訴求力の高いクリエイティブを研究するとよいでしょう。
  

シェアされるほど費用対効果が高まるTwitter

Twitterでは「動画のプロモーション」目的のキャンペーンの場合にCPV課金となりますが、ユーザーがリツイートやリプライすることによって発生した動画視聴(アーンドビュー)は課金対象外です。つまり、ユーザー間で動画が拡散するほど再生単価が下がり、キャンペーンの費用対効果が向上するという特徴があります。
  

まとめ

運用型のSNS動画広告は比較的低予算からスタートできるため、マーケティング予算が大きくない企業にも取り組みやすい施策です。しかし、今回ご紹介したようにSNSごとに特徴やユーザー層が異なるため、正しく選択し、適切に運用しなければ、期待した成果を得ることができません。

各SNSの特性をよく理解した上でマーケティング計画を立てていきましょう。