Quick Ratioとは?SaaSビジネスにおける適切な目安や計算方法を紹介
SaaSビジネスで利用されることが多い「Quick Ratio」。Quick Ratioとは、成長効率の測定値を意味し、一般的にKPIとして活用されます。
自社サービスの拡大を目指すにあたって、Quick Ratioを分析したいと考えている方も多いのではないでしょうか? しかし、Quick Ratioに関する基本的な知識が不足しており、その重要度や計算方法がよくわからないという方も少なくありません。
そこで今回の記事では、Quick Ratioの基礎概要を説明します。計算方法や適切な目安、Quick Ratioを改善する方法など、幅広いトピックを扱うので、ぜひ参考にしてください。
目次
- Quick Ratioとは
- Quick Ratioの計算方法
- 適切なQuick Ratioの目安とは?
- Quick Ratioの一般的な推移モデル
- Quick Ratioを改善する方法
- Quick RatioでSaaSビジネスの成長効率を測ろう
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SaaSビジネスの重要指標とよくある疑問
単なる用語集ではなく、よくある疑問への答えや、各指標を改善するためのポイントを、図解を交えてゼロからわかりやすく解説しています。
Quick Ratioとは
「Quick Ratio」は、ビジネスにおける成長効率の測定値を意味します。一定期間に獲得した収益と同期間に損われた収益の比率を表しています。
サブスクリプション型のサービスや、クラウドサービスなどを提供するSaaSビジネスでは、Quick RatioがKPIとして設定されることが多いです。
ソフトウェア開発などを手掛けるInsightSquared(インサイトスクエアド)社の資料※1によると、ベンチャーキャピタリストのMamoon Hamid(マームン・ハミッド)氏によってQuick Ratioの概念が明確化されました。
企業はQuick RatioをKPIに設定することで、ビジネスが健全に成長しているかを判断することができます。
※1参考:Quick Ratio: The SaaS Metric That Sways Investors
Quick Ratioがなぜ重要な指標なのか
Quick Ratioは、ビジネスが持続可能か、健全に成長しているかを判断するために重要です。
SaaSビジネスが主流化するまでは、売上や新規獲得数などがKPIとして使われていました。しかし、SaaSビジネスを成功させるためには、売上や新規獲得数だけでなく、「解約率」などにも目を向ける必要があります。
Quick Ratioは、収益の「増加と損失」という2つの側面から導き出した数値であるため、SaaSビジネスの成長度をより正確に判断できるのです。
Quick Ratioの計算方法
Quick Ratioはどのように算出すればいいのでしょうか?ここでは、Quick Ratioの計算方法を説明します。
計算に必要な指標
Quick Ratioを計算するには、「MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)」を押さえておく必要があります。
MRRとは、毎月継続的に得られる収益のことです。買い切り型ではなく月額が発生するSaaSビジネスの指標として用いられます。
このMRRは細かく区分することが可能で、Quick Ratioを計算するためには4タイプのMRRが重要になります。
Quick Ratioの計算に必要な指標を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
New MRR | 新規顧客から獲得するMRR |
Expansion MRR | 既存顧客から獲得するMRR(アップグレード) |
Downgrade MRR もしくは Contraction MRR |
既存顧客から失ったMRR(ダウングレード) |
Churned MRR もしくは Cancelled MRR |
当月に解約した顧客から獲得したMRR |
それでは、Quick Ratioの計算方法を以下で確認していきましょう。
Quick Ratioを計算する際は、上記で紹介した4種類のMRRを使用します。
Quick Ratio = (New MRR + Expansion MRR) / (Downgrade MRR + Churned MRR)
①「New MRR」と②「Expansion MRR」を足し合わせて、③「Downgrade MRR」と④「Churned MRR」も同様に足し合わせてください。
後は、(①+②)を(③+④)で割るとQuick Ratioを算出できます。
Quick Ratioの計算例
先述した通り、Quick Ratioは成長効率を示す指標です。同じ100万円の収益を得た場合でも、増加したMRRと損失したMRRの数値によって、Quick Ratioの数値は変動します。
例えば、(①+②)140万円、(③+④)40万円の場合、Quick Ratioは「3.5」になります。一方で、(①+②)600万円、(③+④)500万円の場合、Quick Ratioは「1.2」になります。
このように、収益額が同じでも数値が変動するので、成長度合いを測るためにQuick Ratioは有効です。
適切なQuick Ratioの目安とは?
それでは、Quick Ratioはどれくらいの値が目安になるのでしょうか?SaaSビジネスにおけるQuick Ratioは、大きく分けて以下の3段階に分類することができます。
- Quick Ratio <1
- 1
- Quick Ratio> 4
Quick Ratioが1以下の場合、ビジネスの成長効率は極めて低いといえるでしょう。1以下ということは、損失したMRRの方が大きい状態ということです。
1〜4程度の場合は、ビジネスは成長しているものの、成長スピードは遅い状態になります。新規顧客の獲得を目指したり、解約率を低下させたりして、Quick Ratioの向上を目指すことが大切です。
4以上の場合、成長効率が高く、持続可能なビジネスであると判断してよいでしょう。数値を維持することを目指しましょう。
Quick Ratioの一般的な推移モデル
SaaSビジネスのQuick Ratioは、ステージによって変動していきます。ここでは、一般的な推移モデルを確認しましょう。
1. ビジネスのスタート時期
SaaSビジネスの立ち上がり時期は、新規顧客を獲得しているフェーズです。そのため、New MRRが増加していきます。
ユーザーがサービスを利用し始めるタイミングのため、解約は発生しません。また、設定しているサービスの契約期間によって、New MRRが増加する期間の長さも左右されます。
この時期は、Quick Ratioの計算式でいう分母が0になるため、Quick RatioをKPIにすることは難しいでしょう。
2. 一部顧客が解約する時期
ビジネスのスタート時期を経て、一部顧客が解約する時期に移行していきます。新規顧客や既存顧客からの収益がアップする一方で、一部のユーザーが解約する段階です。
Churned MRRを数値化できるようになるため、Quick Ratioは算出できるようになります。
しかし、解約するユーザーは限られており、ビジネスの成長効率を判断できる数値にはまだ落ち着きません。
3. 数字が上下しやすい時期
ビジネス開始から一定期間が経過すると、数字が上下しやすい段階に突入します。アップグレード、ダウングレードするユーザーや、解約するユーザーが多く見られるようになる時期です。
この段階においては、Quick RatioがKPIとして有効性をもつようになります。また、4種類のMRRを個別に見ることで、ビジネスの課題や伸ばせるポイントを発見することができます。
数値に基づいてビジネスの成長効率を判断し、Quick Ratioを改善することが重要です。
Quick Ratioを改善する方法
それでは、Quick Ratioを改善するにはどうすればいいのでしょうか?
新規顧客を獲得する
Quick Ratioを伸ばすには、New MRRを増加させることが大切です。新規顧客を獲得することで改善を目指せます。
新規顧客を獲得するために、SNSや動画プラットフォーム、オウンドメディアなどの媒体を活用して認知度を高めたり、メッセージ性の高い広告を配信してユーザーの興味・関心を向上させたりします。
サービスの内容やターゲットによって、最適なマーケティング方法は変わってくるため、PDCAを回しながら新規顧客の獲得を目指しましょう。
エンゲージメントを向上させる
エンゲージメントもQuick Ratioを左右する重要な要素です。エンゲージメントとは、マーケティングにおいては、企業や商品・サービスと顧客との深い関わりを意味します。
このエンゲージメントを向上させることで、リピートしてサービスを利用する顧客が増加します。また、サービスに対する顧客の愛着が高まるため、アップグレードする顧客が増える可能性があります。
Expansion MRRが高まれば、結果的にQuick Ratioの改善を目指せるのです。
ヒアリングを実施する
ヒアリングを定期的に実施して、サービスの感想や意見、満足度を把握しましょう。
ヒアリング内容を分析すればサービスの改善点が明確になるため、解約率が上がってしまうのを防ぐことができます。
また、サービスを改善すれば顧客からの評価が高まり、アップグレードや新規顧客の獲得を目指すことができます。
顧客満足度アンケートについては、以下の記事で紹介していますので、興味がある方はご確認ください。
すべて無料!顧客満足度アンケートのテンプレート10選
商品やサービスの質が顧客にとって満足いくものになっているかどうかは、顧客自身に聞いてみるのが一番の近道です。対面でヒアリングを行うだけでなく、効率的に意見を得るにはアンケートを利用するのも一手でしょう。 今回は、顧客満足度アンケートのテンプレート10選を紹介します。自社独自の質問項目を考える際の参考にもなるので、ぜひ様々なテンプレートを見てみましょう。
Quick RatioでSaaSビジネスの成長効率を測ろう
今回の記事では、SaaSビジネスにおいてQuick Ratioが重要な指標であることを説明しました。
従来は売上や新規獲得数などが基準とされていましたが、サブスクリプションやクラウドサービスが一般化した現在は、ビジネスモデルに沿った新たな指標を設定する必要があります。
企業の成長効率を把握して課題を改善し、持続可能なビジネスを目指すことが大切です。新規顧客を獲得したり、エンゲージメントを高めたり、企業の課題に合わせた施策を実行しましょう。
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SaaSビジネスの重要指標とよくある疑問
単なる用語集ではなく、よくある疑問への答えや、各指標を改善するためのポイントを、図解を交えてゼロからわかりやすく解説しています。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- SaaS
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- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- KPI
- KPIとは、目標に対して施策がどの程度達成されているか、を定量的に表す指標のことをKPI(重要業績評価指標)といいます。
- フォーム
- フォームとは、もともと「形」「書式」「伝票」などの意味を持つ英単語です。インターネットの分野では、パソコンの操作画面におけるユーザーからの入力を受け付ける部分を指します。企業のホームページでは、入力フォームが設置されていることが多いようです。
- 広告
- 広告とは販売のための告知活動を指します。ただし、広告を掲載するための媒体、メッセージがあること、広告を出している広告主が明示されているなどの3要素を含む場合を指すことが多いようです。
- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
- PDCA
- PDCAとは、事業活動などを継続して改善していくためのマネジメントサイクルの一種で、Plan,Do,Check,Actionの頭文字をとったものです。
- エンゲージメント
- エンゲージメントとは、企業や商品、ブランドなどに対してユーザーが「愛着を持っている」状態を指します。わかりやすく言えば、企業とユーザーの「つながりの強さ」を表す用語です。 以前は、人事や組織開発の分野で用いられることが多くありましたが、現在ではソーシャルメディアなどにおける「交流度を図る指標」として改めて注目されています。
- エンゲージメント
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- マーケティング
- マーケティングとは、ビジネスの仕組みや手法を駆使し商品展開や販売戦略などを展開することによって、売上が成立する市場を作ることです。駆使する媒体や技術、仕組みや規則性などと組み合わせて「XXマーケティング」などと使います。たとえば、電話を使った「テレマーケティング」やインターネットを使った「ネットマーケティング」などがあります。また、専門的でマニアックな市場でビジネス展開をしていくことを「ニッチマーケティング」と呼びます。
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- エンゲージメントとは、企業や商品、ブランドなどに対してユーザーが「愛着を持っている」状態を指します。わかりやすく言えば、企業とユーザーの「つながりの強さ」を表す用語です。 以前は、人事や組織開発の分野で用いられることが多くありましたが、現在ではソーシャルメディアなどにおける「交流度を図る指標」として改めて注目されています。
- SaaS
- SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ユーザーにソフトウェアの「機能」をインターネット経由で提供することを言います。
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