SaaS」という言葉を知っていますか?聞いたことがあるけど、実は何を指しているのかよくわからないという方も中にはいるかもしれません。

この記事では、SaaSの概要やメリット、SaaSによって実現できること、有名なツールについて紹介します。

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SaaSビジネスの重要指標とよくある疑問

SaaSビジネスの重要指標とよくある疑問

単なる用語集ではなく、よくある疑問への答えや、各指標を改善するためのポイントを、図解を交えてゼロからわかりやすく解説しています。

SaaS(サース、サーズ)とは?

SaaSとは「Software as a Service」の略であり、「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。日本では「サース」、もしくは「サーズ」と呼ばれるのが一般的です。

ここで言うサービスとは「クラウドサービス」を意味します。つまり、SaaSインターネット経由で提供されるソフトウェアということです。
ソフトウェアを提供している側は「サーバー」、利用している側を「クライアント」として区別しています。

クラウドサービスが今日のように普及する前、ソフトウェアはCD-ROMやDVD-ROMなどのパッケージで提供されていました。ですがSaaSを利用する場合、こうしたパッケージはありません。ソフトウェアはサーバー側からデータとして提供されています。

インターネットにアクセスできる環境があれば、クライアントは任意のタイミングでソフトウェアを利用可能です。多くの場合、端末にソフトウェアがインストールされている必要はありません(一部のSaaSでは、端末にインストールしたクライアントアプリを利用します)。

「ユーザーがソフトウェアを所持しない」という特徴から、SaaSはソフトウェアの提供形態を大きく変化させました。SaaSが登場したことにより、ソフトウェアは「購入するもの」から「利用するもの」に変化したと言われています。

SaaS(サース、サーズ)でできること

SaaSはクラウド経由で提供されるという特徴から、それまでのパッケージ型ソフトウェアではできなかったことを実現しました。

SaaSを使うと具体的にどのようなことができるのかを紹介します。

異なるデバイスでのソフトウェア使用

SaaSは基本的に、インターネットに接続すれば利用できます。ソフトウェアはクライアントが所持しているアカウントごとに提供されているため、アクセスする端末を問いません。普段使用しているパソコンと違うパソコンからソフトウェアを利用することも可能です。

オフィスや自宅ではデスクトップPCで、外出先ではノートPCで利用することもできます。このように利用するデバイスが違っても、利用しているのはサーバーから提供されている「同じソフトウェア」です。保存されているデータや使用感に違いはありません。

さらに、サービスが対応していればパソコンとスマートフォン、タブレット、WindowsとMacOSなどデバイスの種類やOSをまたいだソフトウェア利用もできます。タブレットで作業デスクトップしたのちPCで作業を継続……といった使い方も可能です。

遠隔でのアクセス

SaaSはサーバーがインターネット経由で提供しているため、そもそもが「遠隔で利用するサービス」とも言えます。つまり、インターネットさえあればユーザーの場所は問わないということです。利用場所はオフィスや自宅に限定されていません。

ビジネスシーンでは、このSaaSの特徴が従業員の働き方を大きく変化させつつまります。今まで、仕事はソフトウェアが入っているパソコンでしかできなかったので必ずオフィスへの出勤が必要だった人が、アカウントさえ知っていれば自宅のパソコンや外出先に持参したノートパソコンで手軽にリモートワークができるようになりました。

このような背景もあり、SaaSを導入して、従業員にリモートワークを許可している企業もあるようです。

複数人での同時作業

ドキュメント編集機能とストレージ機能が搭載されているSaaSでは、複数人で同じデータの共有が可能です。しかも「単に保存先が同じというだけ」というのではなく、一人のユーザーによる編集が即座に他のユーザーのデータにも反映されるグループワークに適した仕様です。

これにより、一つのファイルを複数人で共有し、同時編集ができるようになります。スケジュールの問題からメンバーの集合が難しい場合も、アイデアを出し合えるでしょう。

パッケージ型のソフトウェアでもファイルを送信して編集してもらった後に送り返してもらうことで共同編集は可能ですが、「同時作業」とは言えません。限りなくタイムラグのない同時作業ができるのは、クラウド経由で利用するSaaSならではのポイントです。

SaaS(サース、サーズ)のメリット

SaaSは多くのメリットから、パッケージ型のソフトウェアにとって代わる存在として普及しています。

SaaSを導入する主なメリットを3つ紹介します。

ソフトウェアをインストールする必要がない

SaaSでは、パッケージ型のようにソフトウェアをインストールする必要はありません。アカウントのユーザーIDとパスワードさえあれば、サービスにログインするだけで利用できます。ユーザーにとってインストール作業を省けるのは大きなメリットです。特に、大人数でソフトウェアを利用するようなビジネスシーンでは、インストール作業がないだけで大きな時間的ロスを回避できます。

また、インストールしなくても利用できるため、デバイス側のストレージ容量を要求しません。ストレージが小さいデバイスでも問題なく利用できます。限られたストレージを圧迫することもないため、デバイスの動作も安定するでしょう。

さらにマシントラブルの際もハードウェアとソフトウェアの場所が独立しているため、ソフトウェア自体やデータは無事です。もちろん、ソフトウェアを再インストールする必要もありません。

導入コストを削減できる

パッケージのソフトウェアは、料金を支払って購入する買い切り型でした。一方、SaaSの多くのは使った分だけ料金を支払う方式で提供されています。毎月料金を支払う月額制が一般的です。

一般的には、買い切り型のソフトウェアを一括購入するよりも、SaaSの方が導入時のコストを抑えられることが多いでしょう。もしも従業員の増減が激しいような現場でも、アカウント数を増減させれば無駄なコストが生まれにくくなります。

長期的なことを考えればコストが発生し続けるというデメリットもあります。しかし買い切り型のソフトウェアであっても最新のものを利用するには買い替えが必要なことを踏まえると、SaaSの方が最新のサービスをコストを抑えつつ利用できると言えるかもしれません。

ユーザー側での管理が不要

パッケージ型のソフトウェアの場合、インストールした後はユーザーが管理する必要がありました。例えば、最新バージョンへの更新やセキュリティ対策なども、パッケージ型のソフトウェアではユーザーの仕事です。ビジネスでソフトウェアを利用する場合、こうした管理を担当するシステム部門には大きな負担がかかります。

対してSaaSの場合、こうした管理業務を担当するのはソフトウェアを提供しているサーバー側です。クライアント側がアクセスした時点で、ソフトウェアは最新のバージョンになっており、セキュリティ対策も万全です。

基本的には、クライアント側がソフトウェアの管理を意識する必要はありません。

SaaS(サース、サーズ)で提供されているサービスの種類

SaaSは上述したように「サービスとしてのソフトウェア」です。
実際には、「ソフトウェア」という言葉の一般的な意味を超え、さまざまなサービスがSaaSとして提供されています。

SaaSとして提供されているサービスの例を紹介します。

OS・ミドルウェア

アプリケーションを管理・稼働させるOSも、SaaSのひとつと言えます。パソコンのデスクトップそのものがクラウドで提供されているようなイメージです。OSと各アプリケーションを連携するためのミドルウェアもSaaSとして提供されています。

OS・ミドルウェアは、言わばソフトウェアを起動させるための土台(プラットフォーム)です。そのため、SaaSとして提供されているこれらを指して「PaaS(Platform as a Service)」と呼ぶことがあります。

サーバー・ストレージ

サーバーやストレージも、SaaSの一種と言えるでしょう。データを格納するサービスそのものがクラウドサービスとして提供されている例も少なくありません。

サーバーやストレージは、「インフラ」に分類されます。これらSaaSとして提供されている場合、「IaaS(Infrastructure as a Service)」と呼ばれることがあります。

アプリケーション

それぞれ独自の機能・役割を持つアプリケーションもSaaSの一種です。

一般的なSaaSのイメージに最も近いのは、このアプリケーションかもしれません。

SaaS(サース、サーズ)は種類ごとに呼び名が異なる?

SaaSの種類分けについてはさまざまな意見がありますが、上述したサービスをSaaSと総称するのが一般的です。OS・ミドルウェアも、サーバー・ストレージも、ソフトウェアもSaaSに含まれています。

サービスの含有範囲によって「SaaS(Software as a Service)」「PaaS(Platform as a Service)」「IaaS(Infrastructure as a Service)」というそれぞれの言葉を使い分けることもありますが、どちらかと言えば用途によって使い分けられることが多いようです。

例えば、開発用プラットフォームのクラウドサービスにはPaaSという言葉を、オンラインストレージなどにはIaaSという言葉を用います。

SaaS(サース、サーズ)の有名ツール

SaaSとして提供されているツールの中から、国内外で有名なものを紹介します。

G Suite

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G Suite

Google AppsはGoogleが提供するアプリケーションパックです。
メーラーの「Gmail」、スケジュール管理ツールの「Googleカレンダー」、オンラインストレージの「Googleドライブ」、ドキュメント編集ツールの「Googleドキュメント」、チャットツールの「ハングアウト」など多くのアプリケーションがパッケージされています。

アカウントは組織単位で管理できるため、業務との親和性が高いツールと言えるでしょう。クライアントアプリもありますが、インターネットさえあればブラウザ上からも利用可能です。

参照:600円から利用できる!Googleのビジネス向けプラン「G Suite」の登録方法を解説

Dropbox

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Dropbox

DropboxはDropbox, Inc.が提供するオンラインストレージサービスです。
シンプルな操作性と共有の自由度の高さから、数あるオンラインストレージサービスの中でも高く評価されています。

パソコンだけではなくスマートフォンやタブレット用にもクライアントアプリを開発するなど、幅広い端末をカバーしているツールです。

Evernote

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Evernote

Evernoteはオンラインメモのツールとして爆発的に普及しました。デバイスを意識せずシームレスにメモをアップロードできるツールとして人気です。チームでの利用に最適な「Evernote Business」というサービスも提供されています。

参照:業務効率化が加速!ビジネスの質を変えるEvernoteの便利機能30選

Salesforce

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Salesforce

Salesforceは、主に顧客管理や営業支援用のツールを展開しているアメリカの企業です。同社のツールはすべてクラウド経由で提供されています。世界的なシェアをほかすSaaSです。

SaaS(サース、サーズ)を導入し効率的な働き方を!

SaaSを導入することで、企業には様々なメリットがあります。またSaaSは、インターネットデバイスがあれば利用できるという利便性から、働き方にも大きな影響を与えていると言えるでしょう。

今後もますます便利なSaaSが登場してくるかもしれません。無料お試し期間を設けているSaaSも多いので、ぜひ利用してみましょう。

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単なる用語集ではなく、よくある疑問への答えや、各指標を改善するためのポイントを、図解を交えてゼロからわかりやすく解説しています。

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